HIGHFLYERS/#12 Vol.4 | Aug 20, 2015

作家・村岡恵理の半生と、これから

Text: Takeyasu Ando / Photo: Atsuko Tanaka / Cover Photo Design: Kenzi Gong

村岡花子の孫である、作家・村岡恵理さんへのインタビューも今回が最終回。二代、三代にわたり活躍する人がいる。偉大な先代、先々代の影に隠れる人がいる。「親の七光り」と言われる人もいる。その中で村岡さんが独特であるのは、時代の影に隠れそうな祖母の功績に光をあてたことだろう。書き手として意識したいこと、スランプに直面した時、成功とは、憧れの女性像、私たちに向けられる珠玉のメッセージは最後まで尽きなかった。
PROFILE
村岡恵理

作家 村岡恵理

村岡 恵理(むらおかえり) 作家。1967年生まれ。翻訳家村岡花子の孫。東洋英和女学院高等部、成城大学文藝学部卒。著書「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」(新潮文庫)は、2014年前期NHK連続ドラマ「花子とアン」の原案となる。「アンを抱きしめて」(絵・わたせせいぞう/NHK出版)。編著に「村岡花子と赤毛のアンの世界」(河出書房新社)など。日経ビジネスアソシエ、WEB女性自身にエッセイを連載中。

作家・村岡恵理の半生と、これから

書き手としてプロフェッショナルを目指す人は、何を意識するべきですか。

言葉はみんなが使えるものですよね。ブログやSNSを見てても、こんなに長くて面白い文章をよく書くなと思うことがいっぱいあります。だから、書くことを仕事とする人は、もっと言葉に敏感であり、言葉を選ぶ労を惜しんではいけないんでしょうね。それは海のように無限に広がるものと向き合うような大変なことだと思います。さらに、その言葉のもたらす先まで意識しなければいけない。ペンにはいろんな種類があって、自由に意見を述べたり、物語を書いたり、真実を明らかにすることもできる。でも、正当なことを主張したつもりが、正当な理由なく人を傷つけるかもしれない。表現によってはそれが凶器になる。同時に、自分の未熟さ、不徳の致すところを人前にさらけだすことでもあると思うんですよ。露出狂みたいになりたくはないですね。

村岡さんご自身が文筆活動の中で習慣にされていることはありますか。

日記とまでは言いませんが、思いついたことはメモをとるようにしています。自分の考えたことだからいつでも取り戻せると思っていると、忘れてしまうんですよね。なので、メモは習慣にしています。

スランプに直面した時、どう対処すればよいのでしょうか。

むしろいろんなものを吸収したり感じたりする時間なんだよという、自分からのサインと受け止めるのが良いと思います。また思考が良くなり、アウトプットできる状態になるはずです。たしかに人と会いたくなかったり、どうしていいか分からなくなる時もありますよね。そんな時は自分がエンプティーであることを認識し、受け身になってみるのも大切な気がします。

思いや夢を叶えるためにいちばん大切なことは?村岡さんは何をもってして成功だと思われますか。

叶うまでやり続けること。思いも夢も、叶う前にやめてしまったら、叶わないですよね。ずっとやり続けてみることじゃないかしら。成功とは、自分がイニシアチブをとって発信して、それを続けられる状態になることだと思います。

おばあさまの存在は、お母さま、お姉さまを経由して、村岡さんに何をもたらしたのでしょうか。

祖母はやはり特別な人です。仕事もそうですけど、甲斐性のある人だったと思います。自分の家族、夫の家族、婿の家族、みんな養ってきたわけですから。私は祖母に自分が振り回されてると思う時もありました。でも、それは祖母にそういう甲斐性があったからですね。祖母の本を書いたことが自分の足がかりになりました。これをきっかけに、私がどれだけやれるかは、私自身のこれからにかかってくるのだろうと思っています。

最後に、村岡さんはどんな女性に憧れますか。憧れの女性像をお聞かせください。

誰が一番というのは、ぱっと浮かばないですけど、いろいろな人と出会う度に、この人素敵だなと思います。一線でバリバリ仕事している方たちと会えば刺激されるし、素敵な奥さんでご主人を支えながら子育てしている友達を見ても、やはり素敵だなと思います。具体的にこういう人というより、その場その場を一所懸命生きてる女性はみんな素敵。そう、思います。

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