HIGHFLYERS/#36 Vol.1 | Jul 4, 2019

最新作「GUITARHYTHM Ⅵ」を聴いて、自由になって魂を解き放って欲しい。僕は、颯爽と風と光を浴びているような音をずっと出していきたい

Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Photo Retouch: Koto Nagai / Cover Design: Kenzi Gong

今回HIGHFLYERSに登場するのは、ギタリストの布袋寅泰さん。長年のギタリストとしての世界的な活躍はもちろんのこと、プロデューサー、作詞・作曲家としても才能を高く評価されています。布袋さんは、あの伝説的ロックバンドBOØWYのギタリストとして日本のロックシーンに多大な影響を与え、解散後はソロ活動のほか、吉川晃司さんとCOMPLEXを結成したり、多くのアーティストに楽曲提供したりするなどして活躍。クエンティン・タランティーノ監督からのオファーにより、「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(新・仁義なき戦いのテーマ)」 が映画「KILL BILL」のテーマ曲になったことはいまだ記憶に新しく、今も世界中で愛され続けています。また、2012年にイギリスへ移住し、海外を拠点に新たな生活をスタートした布袋さん。移住後に4度のロンドン公演を成功させたほか、2018年には、ベルギー、フランス、スイス、イタリア、イギリスと、5カ国でのヨーロッパ・ツアーを開催し高い評価を得ました。そして、1988年にリリースしたソロデビューアルバム「GUITARHYTHM」から31年の年月を経て、今年5月29日に「GUITARHYTHM Ⅵ」を発売。HIGHFLYERSでは、6月からジャパンツアーが始まった布袋さんのインタビューを4回にわたってお届けします。第一回目は、「GUITARHYTHM Ⅵ」の内容を中心に、ギタリストとして大切にしている事や、布袋さんの音楽の根底に流れている考え方、若者へのアドバイスなどをお聞きしました。
PROFILE

ギタリスト布袋寅泰

日本を代表するギタリスト。 日本のロックシーンへ大きな影響を与えた伝説的ロックバンドBOØWYのギタリストとして活躍し、1988年にアルバム『 GUITARHYTHM』でソロデビューを果たす。 プロデューサー、作詞・作曲家としても才能を高く評価されており、クエンティン・タランティーノ監督からのオファーにより、「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(新・仁義なき戦いのテーマ)」 が映画『KILL BILL』のテーマ曲となり世界的にも大きな評価を受け、今も尚、世界で愛されている。 2012年よりイギリスへ移住し、4度のロンドン公演を成功させる。2014年にはThe Rolling Stonesと東京ドームで共演を果たし、 2015年海外レーベルSpinefarm Recordsと契約。その年の10月にインターナショナルアルバム「Strangers」がUK、ヨーロッパで CDリリースされ、全世界へ向け配信リリースもされた。 2018年も国内外問わず、精力的な音楽活動を行い。10月にはベルギー、フランス、スイス、イタリア、イギリス5カ国でのヨーロッ パ・ツアーを開催し、海外のオーディエンスの心を掴み、11月から12月30日にかけて全19公演の国内ホールツアー『HOTEI Live In Japan 2018 ~ TONIGHT I'M YOURS TOUR ~supported by ひかりTV』を開催。このツアーはニュー・アルバムのリリースに合わせたものではなかったにも関わらず、各地でソールド・アウトが相次いだ。 そして、2019年5月29日に「ギタリズム」シリーズ最新作となる『GUITARHYTHM Ⅵ』が発売した。アルバムリリース後には全24公演からなる「HOTEI Live In Japan 2019 〜GUITARHYTHM Ⅵ TOUR〜」がスタートしており、今年も精力的な活動が続いている。

CONTENTS

根底にあるのは、いつも“Something new, Something different”を探し続け、変わり続けること。自分自身が誰にも越えられない高い壁でありたい

10年ぶりのGUITARHYTHM(ギタリズム)を発表されましたが、何かきっかけはあったのですか?

そうですね。今年は僕がバンドを離れ、ソロになって初めて作った「GUITARHYTHM」から31年目、前作の「GUITARHYTHMⅤ」から10年目なんです。ギタリズムは、とても挑戦的で冒険的な、アバンギャルドな一つのコンセプトでスタートしたシリーズですから、あの頃を振り返って原点に戻りつつ、今の自分を見つめるという意味では、今がとってもいい時期だったと感じています。

平成から令和に時代が変わることを踏まえた上で制作したものなのでしょうか?

平成、令和は意識したつもりはないです。アルバムのコンセプトのひとつとして、「あの日見た未来」というのを掲げていますが、大好きな映画「ブレードランナー(Blade Runner)」の続編、「ブレードランナー2049(Blade Runner 2049)」が昨年リリースされたことは、僕にとって象徴的な出来事でした。続編が出ることを楽しみにしていたんですけど、改めて「ブレードランナー」を見直したら、設定が2019年のロサンゼルスだったんです。

1982年の映画で描いた未来が今年(2019年)だったのですね。

まだ車は空を飛んでないし、幸い酸性雨は降ってないけど、AIやテクノロジー、VRなど、あのSF映画が描いた未来がまさに今、目の前にある。やっぱり普通は30年前に今こういう時代になっているなんて誰も予想もしないですよね。でも、そうやって思い描いた未来に本当に辿り着いたにも関わらず、今の時代はどこか閉塞感がある。もしも、このままテクノロジーが進化し、人間が自由に未来を作っていったら本当に取り返しのつかないことになるんじゃないかって一抹の不安を抱くし、単にファンタジーだけの未来が待っているわけではないと思う。そういう「未来」がやって来たからこそ、今出来ることがあるだろうなと思ったことがこのアルバムを作ったきっかけですね。

今作も素晴らしいアーティストとコラボレーションをなさっていますね。

コラボレーションというのはお互いが真剣に向き合って、お互いのスタイルがぶつかり合った時に、自分だけでは描けない世界を描ける楽しみや興奮があるんです。今回コラボした小山田圭吾くんとMAN WITH A MISSION(マン・ウィズ・ア・ミッション)の二組は、 海外でも評価が高いし、僕とは違うスタイルだけど、日本から世界を目指して活動しているという面では志が重なる部分もあるし、今を描くにはふさわしいアーチストだった思います。オオカミくんたちはね、何と言っても人間以外とコラボレーションするのは初めてだったので楽しかったですよ。小山田くんは嫉妬するくらいの才能に溢れていて、僕がとっても尊敬している、ある意味憧れの人であって、以前にも一度リミックスをお願いしたことはあったけけど、今回のように一からガッチリ組んでの曲作りは初めて。とても嬉しかった。「クローン」という曲はアルバムの中でも異彩を放っています。

31年ぶりに、BOØWYのメンバーの松井常松さん、高橋まことさんと製作した「Thanks a Lot」はいかがでしたか?

楽しかったし、感慨深かったし、なにより嬉しかった。やって本当に良かったです。それぞれのメンバーとは、僕のバンドに参加してくれたりと以前も交流はあったけど、こうやって3人揃ってスタジオで音を出すのはLAST GIGS(1988年4月4日、5日の2日間にわたって東京ドームで開催された BOØWYの最後のライブ)のステージ以来ですから実に31年ぶり。彼らも緊張したでしょうけど、僕もドキドキでした。 でも、古い仲間と「懐かしいあの音を出そうぜ」っていう気持ちではなく、「今の俺たちが組んだらどんな音になるんだろう?」という純粋な気持ちを共有できたし、言葉以上に音と音でいろんな会話ができました。

素晴らしいです。

BOØWYという存在は、皆さんにとっても、それ以上に僕らにとっても大きな存在だから、なんとなくアンタッチャブルというか、どこか自分の中でいつも大切にしているがゆえ触ってはいけない部分でもあったんですけど、今回は“BOØWYをやろうぜ”ということではなく、スポーツじゃないけど、“久しぶりに一緒に気持ち良く汗をかこうよ”っていう感じに近かったかもしれないね。

収録は爽やかな雰囲気だったんですか?

うん、スタジオ内も笑顔に溢れていたし、終わった後も笑顔でセレブレートできました。うちの近所のパブに行って久々に3人で飲んで、もちろん懐かしい話もしましたよ。でも、30年経ってどこか変わったところがあるか楽しみにしていたけど、結局3人とも何も変わってなかったっていうのが嬉しいような、本当にこれでいいのかっていう(笑)。

いいですね。「Thanks a Lot」っていう曲の歌詞に「自由になれよ」という言葉があり、アルバムのサブタイトルとしても書かれていますが、布袋さんがその言葉に込めた想いを聞かせていただけますか。

「自由」というのは、全ての人の願望ですよね。自由っていう言葉を聞いただけで自由になれるというか、特に音楽はやっぱり表現する方も、聴く方も自由。僕の長年のファンも、皆大人になってますから、人生そんな楽しいことばかりじゃないことも知っている。だけど僕の音楽を聴いてる時は、魂を、そして自分自身を解き放って欲しい。僕もそういう風(かぜ)のような音を届けたいと思う。今の時代は様々なものに恵まれて、とても便利で何でも思い通りにできるけど、テクノロジーや固定観念に縛られて、自由などころか逆に不自由な気がする。一度そういったところから自分を解き放ち、今を見つめ直そうよ、というメッセージを伝えたかったんです。

それが「GUITARHYTHM Ⅵ」に込めたメッセージでもあるんですね。ところで、布袋さんにとってギターはどんな存在ですか?

僕からギターを取ったら布袋寅泰じゃなくなりますからね。職業欄はずっと『ギタリスト』ですし。ギターは、いつも僕を導いてくれる、迷った時に僕に答えをくれるものですね。道具とは自分を表す鏡だし、欲しい音が鳴らなかったらそれは自分の未熟さゆえであって、ギターのせいにはできないじゃないですか。そういう意味では奥深く、未だ答えが出せない楽器だけど、無限でルールもなく、自由だからこそ惹かれ続けているんでしょうね。

ギタリストとして大切にしていることはなんですか?

様々な音楽があり、様々なギタリストがいますから、何が良いかはリスナーが感じ取ってくれればいいと思うけど、やはりプロフェッショナルである以上、「自分はこれだ」っていう思いを音に乗せ伝えなければいけない、というプレッシャーもある。ただ僕は、聴く人がふと元気になって塞いでいた気持ちが開くような、心に颯爽な風と光をさすような、そういう音をずっと出していきたい。また、プロとして下の世代に対し、そう簡単に越えられない高い壁でありたいなとも思いますね。

布袋さんをギタリストとして唯一無二な存在にした、布袋さんの根底に流れているものはなんだと思いますか?

変わり続けること。いつも“Something new, Something different”(新しい何かや違う何か)を求めて、一歩先に行くためにそれを探し続けていることかな。もちろん理想はあるけど、そこにたどり着いて満足しちゃったら、もうそこはゴールではなく新たなるスタート地点。そこからまた、「さて、次はどこに行こうか」と考え、突き進まなければならない。人生ってそういうもんじゃないですか。

なるほど。では、布袋さんのようなミュージシャンになりたいという若者にはなんとアドバイスしますか?

誰も僕のようにはなれないでしょうね。なぜなら僕も誰かになろうと思ってここまで来たわけじゃないし。とにかく唯一無二のオリジナリティが大切です。「自分であること」っていうのは簡単そうで一番難しいから。自分であるためには、いろんなことを経験し、吸収し、トライと挫折を繰り返さないと判らないもの。音楽の道は自由ではあるけれど、特にロック・ギタリストというのはテクニックがあればいいわけではないし、シャープでカッコ良くなくちゃいけないけど、ただカッコ良いだけじゃ説得力ないしね。なかなか「布袋寅泰」を超えるのは大変だと思いますよ。

次回へ続く

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布袋寅泰『GUITARHYTHM Ⅵ』発売中

UNIVERSAL MUSIC STORE限定販売:完全数量限定盤 GUITARHYTHM Ⅵ BOXセット
【CD+GUITARHYTHM Ⅵグッズセット】PDCV-1034 10,000円(税抜)
LIVE Blu-ray付 初回生産限定盤 【CD+BD】TYCT-69141 8,900円(税抜)
LIVE DVD付 初回生産限定盤 【CD+2DVD】TYCT-69142 8,400円(税抜)
通常盤 【CD】 TYCT-60138 3,000円(税抜)

  1. Welcome 2 G VI
  2. Middle Of The End
  3. Doubt
  4. Shape Of Pain
  5. Black Goggles
  6. Give It To The Universe (feat. MAN WITH A MISSION)
  7. Calling You, Calling Me
  8. Thanks a Lot
  9. Clone (feat. Cornelius)
  10. Secret Garden
  11. Freedom In The Dark
  12. 202X
  13. Tracker
【HOTEI Live In Japan 2019 〜GUITARHYTHM Ⅵ TOUR〜】
  • 7月6日(土) 千葉 市川市文化会館
  • 7月12日(金) 神奈川 相模女子大学グリーンホール
  • 7月15日(月・祝) 富山 富山オーバード・ホール
  • 7月17日(水) 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール
  • 7月18日(木) 長崎 長崎ブリックホール
  • 7月21日(日) 島根 島根県芸術文化センター「グラントワ」
  • 7月27日(土) 青森 弘前市民会館
  • 7月28日(日) 岩手 北上市文化交流センター さくらホール
  • 8月3日(土) 香川 サンポートホール高松
  • 8月4日(日) 京都 ロームシアター京都 メインホール
  • 8月10日(土) 福島 いわき芸術文化交流館 アリオス
  • 8月11日(日) 山形 やまぎんホール(山形県県民会館)
  • 8月18日(日) 静岡 焼津文化会館
  • 8月23日(金) 埼玉 大宮ソニックシティ
  • 8月24日(土) 愛知 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 8月29日(木) 神奈川 神奈川県民ホール

前売り/全席指定 8,000円(税込)
※3歳未満入場不可(3歳以上有料)
※お子様の会場における安全責任は、同行保護者に負っていただきます。

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