HIGHFLYERS/#36 Vol.3 | Aug 1, 2019

最新の布袋が最高の布袋でありたい。誰も聴いたことも見たこともない、新しい音楽や世界を詰め込んだGUITARHYTHM

Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Photo Retouch: Koto Nagai / Cover Design: Kenzi Gong

布袋寅泰さんインタビュー3回目は、ギタリストとしてのターニングポイントや、今までの苦悩や覚悟、そしてこれから実現したいことなどを伺いました。BOØWY解散後、ソロとして新しい一歩を踏み出した布袋さんは、様々な苦悩や迷いを経験しながらも、それまでのフォーマットに縛られない、自由で新しい境地を見出しました。そこで作り出したソロアルバムが「GUITARHYTHM」です。GUITARHYTHMとは、布袋さんが最も大切にしている音楽的二大要素、“ギター”と“リズム”を繋げた造語で、それは布袋さんの音楽活動の原点でもあります。GUITARHYTHMにかけた想い、そして数々の素晴らしい経験をされてきた布袋さんのミュージシャン人生で忘れられない感動とは一体どんなことなのでしょうか。また、布袋さんのギターの音はどうやって作られているのかなど、貴重なお話をたくさん伺いました。
PROFILE

ミュージシャン布袋寅泰

日本を代表するギタリスト。 日本のロックシーンへ大きな影響を与えた伝説的ロックバンドBOØWYのギタリストとして活躍し、1988年にアルバム『 GUITARHYTHM』でソロデビューを果たす。 プロデューサー、作詞・作曲家としても才能を高く評価されており、クエンティン・タランティーノ監督からのオファーにより、「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(新・仁義なき戦いのテーマ)」 が映画『KILL BILL』のテーマ曲となり世界的にも大きな評価を受け、今も尚、世界で愛されている。 2012年よりイギリスへ移住し、4度のロンドン公演を成功させる。2014年にはThe Rolling Stonesと東京ドームで共演を果たし、 2015年海外レーベルSpinefarm Recordsと契約。その年の10月にインターナショナルアルバム「Strangers」がUK、ヨーロッパで CDリリースされ、全世界へ向け配信リリースもされた。 2018年も国内外問わず、精力的な音楽活動を行い。10月にはベルギー、フランス、スイス、イタリア、イギリス5カ国でのヨーロッ パ・ツアーを開催し、海外のオーディエンスの心を掴み、11月から12月30日にかけて全19公演の国内ホールツアー『HOTEI Live In Japan 2018 ~ TONIGHT I'M YOURS TOUR ~supported by ひかりTV』を開催。このツアーはニュー・アルバムのリリースに合わせたものではなかったにも関わらず、各地でソールド・アウトが相次いだ。 そして、2019年5月29日に「ギタリズム」シリーズ最新作となる『GUITARHYTHM Ⅵ』が発売した。アルバムリリース後には全24公演からなる「HOTEI Live In Japan 2019 〜GUITARHYTHM Ⅵ TOUR〜」がスタートしており、今年も精力的な活動が続いている。

過去は決して振り返らない。「死ぬまでギタリストでいよう」とベルリンで心に誓い、天国までギターと共に歩む覚悟を決めた日

BOØWYの音楽や存在があれほど多くの人を感動させ、社会現象にまでなったのは、なぜだと思いますか?

それはカッコ良かったからだと思うよ、何もかもが。カッコ悪いものがなかったし、カッコ悪いことをしなかった。自分たちの音楽を信じていたし、やっぱりオリジナリティを追求していたよね。 誰のコピーでもなく、他と違うものを。もちろん音楽的にはいろんな人からの影響を受けていて、それが一つのフォーマットになっているけれど、“自分達は自分達”っていう意識が強かったですから。4人それぞれの個性と若いエネルギーがぶつかり合って、化学反応が起きて奇跡的に生まれたものだし、火花を散らしながら一つになれたっていうのは良かった。

それでは、布袋さんのミュージシャン人生で今でも忘れられない感動といって思い出すものは何ですか?

ライブは数え切れないほどありますね。でもやっぱり、BOØWY時代に小さなライブハウスから始まり、お客さんがぐんぐん増えて、会場が大きくなっていく時のあのスリルは凄かったです。また、憧れのデヴィッド・ボウイや(ローリング・)ストーンズと一緒にステージに立った時は、ギタリストでいたことで夢のような瞬間を味わえました。最近では、イタリアの国民的アーティスト、Zucchero(ズッケロ)のライブ「WANTED Italian Tour」にスペシャルゲストとして出演したことや、昨年ベニスのサン・マルコ広場でのコンサートに招かれたことも大きな出来事ですね。こうして“ギターとともに世界を旅する”っていう僕の長年の夢が少しずつ叶ってきていることは感慨深いです。

素晴らしいです。

でも僕は、最新の布袋が最高の布袋でありたいんです。それは自分自身にとってもファンにとってもそうありたい。だから出来すぎた答えかもしれないけど、一番新しいコンサートが最高の自分だと思ってるし、それはこの先も更新し続けていかなければいけないと思っています。

布袋さんの人生で様々なターニングポイントがあったと思いますが、自分の人生を一番変えた出来事だと確信できるものはありますか?

たくさんありますが、ただ一つ挙げるならば、BOØWY解散後、ソロになって初めて一人で勝負すると決めた時に、BOØWYのフォーマットやサウンドをなぞらず、全く違う新しいものを生み出そうとして「GUITARHYTHM」を作ったことだと思います。あの時の勇気と、それを20代でやり遂げた自分は褒めてあげたいですね。よく思い切ったな、と我ながら今でも思います。

それは、BOØWYの時とは違う、何か「絶対にやってやろう」みたいな強い意志があったんですか?

そうね、チャレンジでありチェンジ、とにかくここではない、今ではない明日へっていうか、昨日までの自分とはさよならして新しい自分と向き合うっていう思いですね。それまではボーカリストがいましたけど、ソロになってから自分で歌い始めて、いろんな苦悩も始まるわけだけど、あの時、全くそれまでになかったフォーマットで、コンピューターとギターだけの音楽、ロックンロールっていうコンセプトに思い切って挑んだことがやっぱり今の自分を作っていると思うしね。あそこでもう一回過去をなぞっていたらなかなか抜け出せなかったんじゃないかなって思う。

あれだけの成功があっても、成功をなぞらずにまた一から挑めるのは元々の性分なんですか?

そうみたいですね。“Don’t look back(過去を振り返らない)”な性分で、あまり執着しない。そう言ってしまったら、まるでバンドに何も執着していないようだけど、そういうことではなくて、「よし、こっちに行こう」って決めたら潔くそっちを向くタイプです。殊、音楽に関してはね。

日常生活ではいかがですか?

普段は結構グジグジして、「どうしようかな、ああしようかな」って迷うこともありますけど、表現者としては明確な方向に自分が向かって行かないと何も見つからないじゃないですか。自分の音は、自分が楽器を操ることで出ているわけだから、テクニックはもちろんのこと、自分の精神や、自分自身がどこを向いているかっていうのが音に表れると思うんですよね。

ご自身の生き方や思考がそのままギターの音色になる、ということですね。

基本的にGUITARHYTHMのスピリッツである、“誰も聴いたことも見たこともない、新しい音楽や世界“っていうのは常に自分の中にあって、今回久しぶりにGUITARHYTHMに戻ったのは、やっぱり原点回帰じゃないけど、自分を自分らしくする場所に一度立ち返りたかったという想いもあります。「GUITARHYTHM」という言葉は、 僕が一番大事にしている音楽的二大要素、“ギター”と“リズム”をくっつけて作った造語なんですけど、(「GUITARHYTHM」を出してから)31年という年月とともに、ある種“布袋イズム”に近い、スピルバーグで言う「スターウォーズ」のようなシリーズ作になってきたと思っています。

素晴らしいです。ところで、ミュージシャンを辞めようと思ったことはありますか?

BOØWYの解散が決まった時、仲間と離れてソロになるということが想像できなかったり、元々アートやファッションにも興味があったから、音楽ではない道に挑戦してみたいな、とふと思ったことはあったけど、それ以上にやっぱりギターが好きという気持ちが勝るんですよね。色々悩みながらも結局ギターを選ぶ。バンド時代最後のレコーディングでベルリンを訪れた時、僕は「死ぬまでギタリストでいよう」って心に誓って、 “天国までギターと共に”という想いを込めて、「Heaven」という小さなタトゥを入れました。

話は変わりますが、ロックンロールという言葉からはどんなことを想像しますか?

“ロックンロール”って言葉は眩しくて大好きな言葉。ただの“ロック”よりも“ロックンロール”の方が踊り出したくなるような、弾けた感じがしますよね。アウトサイドに行け、というか、人と同じじゃない自分だけの道を行けっていう、そんな勇気を与えてくれて、元気にしてくれる言葉だとも思う。ロックンロールにルールはないですけど、ただその言葉を聞いた時にワクワクするっていうスリル感は、死ぬまで持っていたいなとは思います。

ロックンローラーとして生きていくのに必要な覚悟や知っておくべきことは何かありますか?

人の道を逸れるということでは決してないけれど、常識に縛られず常に自分らしい発想とともに、様々なことを自分らしく受け止め、発信するっていうことなんだと思います。僕は(内田)裕也さんとは違う世代で違う生き方だし、常日頃ロックンローラーを意識して生きているつもりはないけど、 彼がいつも言葉の最後に「ロックンロール」という彼なりの句読点を打っていたあのスタイル、素敵だなって思ってました。

まだ叶っていない、やりたいことはたくさんありますか?

やっぱり広い世界に出て、会ったことのないオーディエンスが僕のサウンドで笑顔になったり、何かを感じてくれたりする瞬間をもっと経験したいですね。それは僕自身が旅人でありたいという願いでもあり、ギターを始めたきっかけなんだろうし、そういうことを続けていけば、どんどん次に繋がっていくんでしょう。また、日本には素晴らしいマーケットがあって、ファンがいてくれて、だから今の僕があるわけだけど、 音楽を続けることで実力も理想もどんどん高まっていくのは、ミュージシャンとしての宿命だとも思います。でも、その答えはビルボードでNo.1になるとか、グラミー賞をもらうとかっていうことでもないんですけどね。 自己更新し続けていたいだけ。

次回へ続く

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布袋寅泰『GUITARHYTHM Ⅵ』発売中

UNIVERSAL MUSIC STORE限定販売:完全数量限定盤 GUITARHYTHM Ⅵ BOXセット
【CD+GUITARHYTHM Ⅵグッズセット】PDCV-1034 10,000円(税抜)
LIVE Blu-ray付 初回生産限定盤 【CD+BD】TYCT-69141 8,900円(税抜)
LIVE DVD付 初回生産限定盤 【CD+2DVD】TYCT-69142 8,400円(税抜)
通常盤 【CD】 TYCT-60138 3,000円(税抜)

  1. Welcome 2 G VI
  2. Middle Of The End
  3. Doubt
  4. Shape Of Pain
  5. Black Goggles
  6. Give It To The Universe (feat. MAN WITH A MISSION)
  7. Calling You, Calling Me
  8. Thanks a Lot
  9. Clone (feat. Cornelius)
  10. Secret Garden
  11. Freedom In The Dark
  12. 202X
  13. Tracker
【HOTEI Live In Japan 2019 〜GUITARHYTHM Ⅵ TOUR〜】
  • 8月3日(土) 香川 サンポートホール高松
  • 8月4日(日) 京都 ロームシアター京都 メインホール
  • 8月10日(土) 福島 いわき芸術文化交流館 アリオス
  • 8月11日(日) 山形 やまぎんホール(山形県県民会館)
  • 8月18日(日) 静岡 焼津文化会館
  • 8月23日(金) 埼玉 大宮ソニックシティ
  • 8月24日(土) 愛知 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 8月29日(木) 神奈川 神奈川県民ホール

前売り/全席指定 8,000円(税込)
※3歳未満入場不可(3歳以上有料)
※お子様の会場における安全責任は、同行保護者に負っていただきます。

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