HIGHFLYERS/#27 Vol.4 | Feb 22, 2018

夢を見ずして夢を叶えることはできない。熱意と実行力を持ち合わせ、人と共有することの喜びを知る、利他的な人が成功する

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Photo Retouch: Koto Nagai / Cover Image Design: Kenzi Gong

MIYAVIさんインタビュー最終回は、世界で幅広く活躍する視点から、語学の習得方法や世界と日本の違い、今日本人に必要なことなどを話してくださいました。また、二人の娘を持つ父親であるMIYAVIさんは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の大使として、難民キャンプの子ども達を間近で知るひとりの人間として、未来に争いのない世界を作るためにも、特に語学と道徳に対しての教育の大切さを強く訴えています。MIYAVIさんの考えるチャンスと成功、最も成功したと思う人、そしてこれから叶えたい夢についてもお聞きしました。
PROFILE

アーティスト/ギタリスト MIYAVI

エレクトリックギターをピックを使わずに全て指で弾くという独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約30カ国300公演以上のライブと共に、6度のワールド・ツアーを成功させている。2015年にグラミー受賞チーム“ドリュー&シャノン”をプロデューサーに迎え全編ナッシュビルとL.A.でレコーディングされたアルバム『The Others』をリリース。2016年に8月にはLenny Skolnikをプロデューサーに迎え『Fire Bird』をリリース。また、アンジェリーナ・ジョリー監督映画「Unbroken」(2016年2⽉ 日本公開)では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、映画『Mission: Impossible ‒Rogue Nation』日本版テーマソングのアレンジ制作、SMAPへの楽曲提供をはじめ様々なアーティスト作品へ参加するなど、国内外のアーティスト/クリエイターから高い評価を受けている。2017年11月には日本人として初となるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使に就任し、難民支援活動をおこなっている。

ライフラインの次に大切なのは教育。日本は、もっと語学と道徳に対しての教育をするべきだし、外に出て色んな国の匂いや文化を感じてほしい

MIYAVIさんがギタリストとして最も大切にしていることは何ですか?

ギターとひとつになることです。逆に言うとそこから全てのパフォーマンスは始まると思います。

日によってギターと自分との距離感は微妙に違うものなのですか?

距離感は一緒でいつも変わらないかな。でも、一つじゃない時期もありましたね(笑)。覚えてないなぁ。もしかしたら本当の意味で自分とギターが一つになったのは、BOBO君と出会ってEMIに移籍して、「WHAT'S MY NAME?」(2010年リリース)を出してからじゃないかな。もちろんまだまだなんで、ギターにしても語学にしても毎日練習してます。

ドラマーのBOBOと。アメリカツアーのリハーサル時

大人になってから海外生活をし始めたにもかかわらず、英語はネイティブの方のようにお上手ですが、どのくらい練習されたのですか?

いっぱい勉強しました(笑)。25歳の時に3ヶ月だけ渡米したんですけど、この間においては一切向こうで日本人とはつるまないようにしていました。あとは、とにかくネイティブの友達を作りました。ギターにおいても、サッカーにおいても、語学においてもそうですけれども、どこまで自分を熱中させてあげられるかだと思います。

現在は海外と日本の両方で活動されていますが、海外と日本の大きな違いというのは何だと思いますか?

海外と言っても色んな国があります。何よりも「日本最高!」というのは、日本の中にいるだけじゃ言えないということ。ちゃんと外に出て色んな国の匂いや文化を感じて、初めて日本、良いんじゃない?と言えるんじゃないかと思います。こんなに安全で、豊かに何でも揃っていて、ある種くだらないことがニュースになるのは平和だからこそなんですよね(笑)。そういう意味では、この国を作った人たち、特に先人や、今も前線で頑張っている人たちに対して、ヤジを飛ばすだけじゃなくて、感謝もすべきだと思います。

今の日本人に対してはどう思いますか?

根本的な教育の質をもっとあげた方が良いんじゃないかと思います。アンジー(アンジェリーナ・ジョリー)に紹介してもらい、今、UNHCR、国連の難民高等弁務官という機関の人たちとお仕事させてもらっているんですけど、実際に難民キャンプで生きるか死ぬかの状況下において生活をしている人たちにとっては、最も大事なのがライフラインである食料や水、医療、衛生状況なのですが、その次は教育。これは未来への投資でもあるし、レバノンにしても、タイにしても、子供たちにちゃんとした哲学、モラルを学べる機会、教育を与えるということが、紛争の抑止力につながる。それは日本も一緒ですけど、特に日本は宗教というものが浸透していないので、良し悪しは別として、何をもって人として正しいのかということの根本が、若い子たちに、本当の意味でちゃんと教育されていないんじゃないかと思います。 あとは語学もそうですよね。語学と道徳に対しての教育はもっとやった方が良いと思います。

他にも世界がもっとこうなったら良いのにと思うことはありますか?

やっぱり争いの無い世界になってほしいですよね。お金のために戦争するのは決して正解ではない。そしてそのお金というもの自体が、人生の一番大きな価値ではないということ。そこでも教育が関係してくると思うんです。「何をもって人生を良しとするか」の価値観が教えられる機会が足りていないんじゃないかなと。それは大人の義務ですし、そういう意味では、教育者の給料をもっと上げるべきだと思います。人の人格形成に係っている仕事だから、対価をもらって対価の分だけやるという話じゃないし、子供たちがその国の未来をつくっていくという意味では、別次元の話ですよね。僕は教育が一番重要なクリエーション、ある種の創造だと思っていて。だって真っ白な子供たちに教えていくわけでしょ。人を殺していいんだよと教えたら、そりゃそうなりますよね。何はなくとも幸せである、そういった人生の定義を身をもって教えてあげる必要がある。そうじゃないと、いつまで経っても幸せにはなれないと思います。

MIYAVIさんはお子さんが二人いるそうですが、お二人を育てる上で一番大切にしていることは何ですか?

対話ですね。メチャメチャ喋ります。子供ってちゃんと見ていますし、親が思っている以上に色々感じてるんですよね。ただそれを表現する語彙力が僕たちほど無いだけの話であって、そこはこちらが目線を合わせて話を聞いてあげて、全てに対してちゃんと説明するということが大事だと思います。そこをないがしろにすると、やはりどこかで歪みが出てきちゃう。

凄い良いお父さんですよね。

実際に自分は一緒にいられる時間が限られているので、一緒の時間は凄く大切にしています。でも色んな育て方があるだろうし、僕からしたら、定時で家に帰って、毎日一緒にお風呂に入ってあげられるお父さんはすごく素晴らしいなと思いますし。僕が幸いなのは、自分がやっていることを子供たちに見せてあげられること。ライブに連れて行ったりだとか、作品を聴かせてあげたりだとか。お父さんはこういうことをして生きていて、家族のため、世の中のために働いてるんだよというのを見せることができるのは幸いなことですよね。

それでは、夢を実現するのに必要なことは何だと思いますか?

夢を見ることじゃないですか。夢を見ないのに夢は実現させることはできないですから。実現させたいことを強烈に思い、実行することですね。

では、MIYAVIさんにとってチャンスとは何ですか?またチャンスを逃さないためにすべきことは?

チャンスはチャンスじゃないですか。チャンスを逃さない方法は、月並みなんですけど、やっぱり日頃の準備をしておくことじゃないですかね。

成功する人と成功しない人の違いは何だと思いますか?

最終的に、利他的でいられるかどうかじゃないですかね。これは自分も勉強中ですけど。人と喜びを共有できて、それから熱意と実行力、全てが合わさって、色んな物事が結果として形になっていくと思うんですが、一過性な成功というのは多分みんなすぐに得られると思うけど、何よりも利他的でいられるということが、精神含め、本当の意味での成功なんじゃないですかね。

MIYAVIさんの中で最も成功したと思う人は誰ですか?

じいちゃん、ばあちゃんかなぁ。もう亡くなったんですけど、決して裕福ではなかったけど、死ぬときまで愛し合って、笑って生きていたので。理想形ですね。ベストじゃないですか。どれだけお金持ちになっても、どれだけ有名になっても、苦しみながら、自分で命を絶ってしまう人もいる中で、天命を待って寿命ってね。理想ですよね。

MIYAVIさんにとって、成功とは?

この瞬間、一瞬一瞬を燃え尽きられるかどうかだと思いますね。そしてまぁ、笑って死ねることですかね。

最後にまだ叶っていない夢があったら教えてください。それはいつ頃までに叶うと思いますか?

叶ってない夢…。本当の意味で世界中から争いがなくなる世界。まぁでも、昼と夜があって、男と女がいて、光と影があってっていう、その観点から見た時に本当の意味で争いの無くなる日が来るのか、って自問自答すると、実際ハッキリしていない部分も正直あるんですけど、本当に自分の奏でるギターで世界中の人々が一瞬でも争うことを止めて、平和を感じられる瞬間を作り出すことができたらいいと思います。そういう意味では、自分がギターを弾いている時というのは、目の前にいる人たちは少なくとも誰も争っていない。それを世界中の人たちに届けたいですね。死ぬまでには実現したいですね。

必ず実現するんじゃないかと思います。

頑張ります。

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 ジャケ写真があればここに配置。掲載不可の場合は、トルツメになります。

MIYAVI「SAMURAI SESSIONS vol.2」
2017年11月8日発売/配信開始

ジャンル/キャリア/国境さえも超えたアーティストと真剣勝負を繰り広げる対戦型コラボレーション・アルバム第2弾!

  1. 1. Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知
  2. Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI 
  3. Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI
  4. Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL(m-flo/PKCZ®)
  5. Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato(coldrain)
  6. No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな
  7. Flashback / MIYAVI vs KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)
  8. All My Life / MIYAVI vs HYDE
  9. Forget You / MIYAVI vs シェネル
  10. Slap It / MIYAVI vs 雅-MIYAVI-
  11. Long Nights feat. Sonita / MIYAVI (デジタル配信限定商品)
  12. The Making Of “Dancing With My Fingers” Music Video [Music Video] / MIYAVI vs 三浦大知

iTunes「SAMURAI SESSIONS vol.2」予約URL:http://po.st/it_miyavi_ss2

◆初回限定盤(CD+DVD/5,000(税別) TYCT-69120
【CD】全10曲収録
【DVD収録内容】

  • 「Dancing With My Fingers」MIYAVI vs 三浦大知 Music Video
  • 「MIYAVI 15th Anniversary Live“NEO TOKYO 15”」ライブ映像5曲
  • 「MIYAVI 15th Anniversary Live“NEO TOKYO 15”」ドキュメント映像

◆通常盤(CD/3,000(税別) TYCT-60108
【CD】全10曲収録

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