HF/#11 Vol.4 | Jun 18, 2015

挫折をどう切り替えるか。「夢」との向き合い方

関和亮

Text: Takeyasu Ando / Photo: Atsuko Tanaka / Cover Design: Kenzi Gong

前回は対応力について語ってくれた関さん。それは現場だけでなく生き方そのものにもつながっている。失敗や挫折は終わりではなく転換点と捉えるべき。関和亮とあまたのクリエイターとの違いは“こだわり”にある。こだわり抜くことでなく、こだわりを捨てて、柔軟性や視野の広さを持つことで、新しい作品が生み出せる。関さんはそのことを知っている。だから彼はこれからも独創的な映像ディレクターであり続けるだろう。
PROFILE
関和亮

映像ディレクター関和亮

1976年生まれ 長野県小布施町出身 98年にトリプル・オーに参加。00年より映像ディレクターとして活動。 04年頃よりアート・ディレクター、フォトグラファーとしても活動、現在に至る。PerfumeのMVおよびアートワーク全般のほか、サカナクション、OK Go、ASIAN KUNG-FU GENERATION、木村カエラなどのMV、近年はCM・ショートムービーなども手がける。

夢なんて持っちゃだめでしょ

夢を実現するために必要なことは何だと思いますか?

経験値から言わせてもらいますと、夢なんて持っちゃだめでしょ。だめでしょって言い方も変ですけど、「夢」というものにとらわれすぎないほうがいいと思うんですよね。例えば、メジャーリーガーになりたい人が100人いたとして、100人全員がメジャーリーガーになれることは絶対ない。メジャーリーガーにしても、映画監督にしても、全員がその夢を叶えられることはないんです。映像を例にとると、映画監督になることと純粋に映像を作ることは違うのです。一口に映像と言っても撮影、録音、編集、音声、他にもいろんな仕事があって、そこから技術とか経験とか人脈を積んで監督になることもできます。入口もあれば出口だってあるんですよ。

関さんも最初は?

僕なんかも演出をやりたいと思って、この業界に来たわけではなくて、映像に携われればいいなとか思ってたくらいなんですよね。その中でも編集をやってみたいとは思ってたんですけど、編集の技術とかだったり、知識だったりとか、客観的に見ても、もう絶対ダメだな、俺、みたいな。全然向いてないと思った時にやっぱり一度挫折するんですよね。でもそこでやめないで、映像はいろんな仕事があるのだから、続けて続けて、ようやくちょっとだけ演出する機会をいただいてから、ああ、これが演出の面白さかと思いました。何かその一つがだめだからって、全部あきらめてしまうのはもったいないと思います。目標がないということはないのだから、それが見えてないとか見つからないというのは、もっといろんなことやってみながら、これが違うんだったら他の違うことしてみるとか、もしかして全然違うことやってみたら面白いって思えるかもしれないし。自分のイメージだけで削ってしまうのはもったいないですよ。

切り替えるとか次に行くとかということをネガティブに考えない。

そうです。ちょっとでも違うと思うのだったら、パーンと変える方がいい。むしろ、その方がいい発見に出会えると思いますよ。先のない夢を追っかけ続けてもしょうがないですし。

大きくて曖昧な可能性と小さくて厳しい現実との間で悩みながらも、夢をカタチにしたいと思う人はたくさんいると思います。

夢とか目標とかいうものに対して、多かれ少なかれ人間は挫折するもんだと思うんですよ。せざるを得ないと思う。じゃあ、挫折した時にどうするか。ここでも「対応力」じゃないですけど、何か一つに固執しない柔軟性だったりとか、視野の広さとか、そういうものを持っていってほしいと思います。今は昔よりも仕事とか捉え方とか多様性がある時代です。むしろ全然違うものがそこから生まれるかもしれない。失敗は成功の母と言うじゃないですか。思ってもないところで、ぽんってひらめいたり、たどり着いたりすることもあると思うので、そういう意味で僕はあえていいます。夢なんて持たない方がいいと。

挫折とか屈折から得られたもので、今につながってることはありますか?

そうですね、編集をやりたいと思って、やっぱだめだなって思った時、じゃあどうしようと思ったら、編集が上手な人にやってもらえばいいんだってなったんですよね。そこにプロデューサーだったりディレクターだったりという自分の存在がみえてきて、転換点になりました。それが演出を目指すきっかけにもなったんで、編集だめだからもう映像をあきらめることではやっぱりない。自分はそうだったんですね。

まだまだご活躍されるであろうこれからの人生をどの様にクリエイトしていきましょう?

年齢も含めて結構ベテランの方に入ってきたし、仕事の仕方とかを自分でもコントロールできる立ち位置、状況にもなってきました。家族が増えたり、とりまく世界もどんどん変わっていくので、そういうのとうまく対応していきたいですね。20代、30代で仕事ばかりしてるのは、それはそれでいいと思うんですけど、何か増えてしまった分、間引いて偏らないようにしたいなと。そういう意味で普通の人間なので、偏った生活はできないのかもしれないなというのはありますね。「作家たる者、結婚してても女と飲みに行く」そんな破天荒な生き方もあると思うんですけど、僕は全くないので、むしろフラットにしてた方が集中できていいんですね。ちゃんとアベレージ保てるように、もういい大人なんだから、いい振る舞いでいたいなって。めっちゃ普通な話ですけど。ほんと普通なんですよ。結構みなさんから期待されて、期待を裏切るようで申し訳ないんですけど、めっちゃ普通なんで。

めっちゃ普通で裏切られた人もいるでしょう。同時に救われた人もいると思うんです。俺でも関和亮になれるんじゃないかって。

まぁ、挨拶が出来れば大丈夫ですよ。僕は若い時、挨拶と返事がいいと褒められましたから(笑)。

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