HIGHFLYERS/#50 Vol.3 | Nov 25, 2021

子育てでも何でも、大変なことは良い修行。自分の限界を超える経験をした後は、今まで見たことのなかった景色が待っている

Text: kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Cover Design: Kenzi Gong / Photo Retouch: Koto Nagai / Photo Assistant: Shusei Sato

アーティストAIさんインタビュー3回目は、デビューしてからヒット曲が生まれるまでのことなどを中心に、現在の子育てや衝撃だった言葉についてを伺いました。デビュー後にAIさんの人生を変えたのはどんな出会いだったのでしょうか。また、アーティスト活動のターニングポイントになった曲「Story」は、どのように永遠の名曲として語り継がれるようになったのか、さらにそのヒットをきっかけに初出場したNHK「紅白歌合戦」や、自身の心境の変化について、とてもユニークなエピソードを交えて話してくださいました。
PROFILE

シンガー AI

アメリカ合衆国ロサンゼルス生まれ。鹿児島県鹿児島市育ち。 ゴスペルクワイアーで鍛えた本格的な歌唱力、L.A名門アートスクールで学んだダンス・センス。完璧な英語、バイリンガルでラップもこなせるストリート感覚。アンダーグランドからオーバーグラウンドまで支持を得る唯一無二の存在、それがAI。 安室奈美恵やEXILE ATSUSHIなど国内トップアーティストはもとより、クリス・ブラウンやスヌープ・ドッグ、ザ・ジャクソンズ、チャカ・カーンなど国境を越えた数々のレジェンド・アーティストとのコラボレーションも多数。 これまで3度のNHK紅白歌合戦出場、第59回日本レコード大賞・優秀作品賞の受賞を果たす。 そして、2020年、次世代リーダーが集まる⻘年版ダボス会議「One Young World Japan」オフィシャルアーティストに就任し、「Not So Different」がテーマソングに決定。SDG’sメッセージソングとして、AIがいま最も伝えたい想いが込められた曲となっている。同曲のRemixには、最重要アーティストのAwichをフィーチャリングに迎え、音楽ファンのみならず話題となっている。 AIは音楽、人柄、その溢れ出る愛を通してアジアや世界の架け橋となっていく。

「Story」をきっかけに沢山の人から手紙が届くようになり、カッコつけずにもっと素直でいていいのかな、と思うようになった

アーティスト人生を変えた人との出会いを教えてください。

2001年頃、前のレコード会社との契約が終わり、ちょうどDef Jam Japanができた時だったんですけど、当時のエグゼクティブだったRIKOとの出会いは大きかった。帰国して初めてR&B、Hip Hop推しの人に出会ったという感じでしたね。彼女と朝までファミレスで喋ってすごく盛り上がった時があって、突然彼女が電話しはじめて、“I found the one!(求めてた人を見つけた) ”みたいな感じで話していると思ったら、相手はリオ・コーエンというアメリカのデフジャムの重鎮。そうしたら突然、RIKOに “SING!(歌え!)”って言われて、とっさに、ローズ・ロイスの“Love Don’t Live Here Anymore”っていう、かなりマニアックな切ない曲を歌いました。歌い終わって、“OK!Bye!”って言って切ったのを覚えています(笑)。ちょどDef Jam Japanを作った時ですね。彼女は自分の好きな音楽をなんでもわかっていて、すごく気が合った。それで「絶対大丈夫だ、この人は!」って確信して移籍したんです。そこには、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDとか、亡くなってしまったけどTOKONA-Xとか、Sphere Of Infulence、HI-Dとかみんないて、日本のHip Hopの人ともいろいろ交流が深くなっていきました。

Def Jam Japanに移籍した頃

では、20年間のアーティスト活動で、1番のターニングポイントはいつですか?

やっぱり「Story」が出た時は、ちょっと違いましたね。当時は、クラブでばかり歌っていたので、いきなり「一人じゃないから〜」っていうような歌詞を歌うことにギャップを感じる人もいれば、私のことを知らなくて単純に「いいな」って思ってくれる人もいて、賛否ありました。Storyを発表したのは2005年なのですが、 実は2003年以降、自分の中に変化があったんです。それまでは契約していたレコード会社の言うことを聞いた方がいいかなって思うこともいっぱいあったけど、2003年以降は全部自分の意思で決めてやっていたので、Storyで路線変更したわけでもなく、もともとバラードも綺麗な曲も昔から好きだったから、あの曲が生まれたのは自然だったんです。

Storyはリリースされた途端にヒットしたんですか?

いきなりヒットしたわけじゃないんですが、いろんな人から手紙をもらうようになったんですね。それまで手紙って、コアなファンの人からいただくぐらいだったのに、「感動しました」とか、「自分の息子が亡くなったけど、この曲で救われる」とか、結構いろんな手紙が来るようになって。なんか文字でわかるんですよ、この人辛いんだなって、封筒を見ただけで感じるし、とにかく手紙がいっぱい来るようになって。でもこの曲のおかげで、世の中にはいろんな経験をして生きている人がたくさんいることを知ることができました。それに、それまでの自分の曲って、 「チェイチェイチェイ〜」って、パーティーみたいなノリの良い曲が多くて、10曲のうち2曲くらい真剣な曲が入る感じだったんです。でもStoryで「一人じゃないからね」って、 初めて素直にかっこつけないことを言ったらすごく良い反響があったので、そんなに格好つけすぎなくてもいいのかなって思うようになりました。

素直な気持ちを出した曲が、 永遠に語り継がれる名曲になりましたね。

誰も予想していなかったかもしれない。当時は夜中に流れる花屋さんのCMに使われていたくらいで、別にチャートで急にヒットしたわけではないんです。人がカラオケで歌うようになったりとかして、ジワジワと広がっていった曲ですね。Storyが出来た頃、結構私は落ち込んでいて、本当に周りの人に助けられた時だったので、そういうのが自然に曲に出ていて、そこに人が共感してくれたんです。この曲で紅白に出場することになりましたし。その当時は、まだ時代も時代だったから、R&Bアーティストが 紅白に出ることに物申す人もいましたけど、私は逆に色々経験してみるのはいいことだと思っていました。

紅白歌合戦に出場されて、いかがでしたか?

一番リアルな番組だなと思いました。やっぱり何か一つのことを続けている人たちって性格もちゃんとしてるし、筋が通ってますよね。出てみて初めてわかるというか、ここまで来るのにみんな色々経験してるだろうし、いろんな想いがあってこうなっているんだろうなとか、リアルにその人を感じることができました。そういうことを経験すればするほど、自分がクラブでやってた時のことを振り返っても、今もそこでやってる人たちのことも、そんなに悪くないよって言いたくなりますね。

ところで、AIさんは、お二人のお子さんの母でもありますが、母になられてから、ご自身の音楽に対する考え方やライフスタイルなどに変化はありましたか?

家にいることが増えたと思いますね。子供が一人だった時と今とも違うので、また言えることが変わってくるし、それも全て経験だから、何か自分の限界を超えることをするって大事だと思うんです。子育ては、自分の欲求ももちろん我慢しないといけないし、 どれだけ夜が遅くても朝早く起きて弁当を作って、着替えさせて、おむつを変えて、チャリに乗せて幼稚園に行って、その繰り返しで、夜も疲れていてもやらないといけない。面倒くさいなって思うし、自分の意思とは違うけど、子供のことはやらないといけない。やっぱり大変なことだから、すごくいい修行になってますね。これを乗り越えただけでも前の自分とは違う景色が見えると思います。

すべては経験ですね。

子供じゃなくても何でもいいと思うんですけど、 辛いことをやったり超えたりすると自信にもなる。人へのアドバイスだって、自分が何もしないで言うより、経験したことを話したほうが真実味が増して、説得力もあるのでいいですよね。

ご自身を変えた人や言葉との出会いを教えてください。

たくさんありすぎて難しいけど、やっぱり父の言葉は衝撃でした。 2006年に「What's goin' on A.I.」というアルバムを作った時、インタールードで、ハワイとかニューヨーク、LAや 鹿児島とか世界の友達に電話して、みんなに世界の子供たちの貧困や悲劇的な事件についてどう思うかを質問して、それについてみんなが喋るのをレコーディングしたんです。それで、ダダ(父親)にも言葉をもらおうと思って電話したら、「何?今野球見てるんだけど」って言われて。録音してることは言わずに、「ちょっとでいいから世界で色々起きてることについて、どう思うか今言って!」ってしつこくお願いしたら、 「みんな元気だったらいいねん、じゃあねバイバイ」って言われて。

すごい。

え?って思ったけど、結局それが一番素晴らしい答えかもって思いました。それ以降、自分がいろんなことに悩むこともあるし、世界のトピックについて色んな人と議論することもあるけど、やっぱりあの時のダダの「みんな元気だったらいいのよ、バイバイ」の言葉が全てだなって。ああいう感じが世界中にあったら本当に最高だなって。 さすがダダはすごい、私はまだまだだなって思わされましたね。

次回へ続く

第4章

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12/9UP

AI「アルデバラン」

作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ
デジタル配信中:https://lnk.to/AI_ald
ミュージックビデオ:https://youtu.be/8IOSztadymc
Special Site:https://sp.universal-music.co.jp/ai/aldebaran/

TikTok「#AIと歌おう」キャンペーン開催中

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