HIGHFLYERS/#50 Vol.1 | Oct 25, 2021

聴いた瞬間、最高!と思った。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』主題歌「アルデバラン」は、コロナ禍で辛い思いをしてきた人達が勇気をもらえる一曲

Text: kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Cover Design: Kenzi Gong / Photo Retouch: Koto Nagai / Photo Assistant: Shusei Sato

今回HIGHFLYERSに登場するのは、昨年アーティスト活動20周年を迎えたシンガーソングライターのAIさん。アメリカ生まれ、鹿児島育ちのAIさんは、幼い頃から祖母の暮らすアメリカを毎年訪れ、ダンスやゴスペル音楽に触れて育ちます。中学卒業後に渡米し、ダンスと歌の実力を磨き、ガールズグループで活躍していましたが、日本でのソロデビューを決意して2000年に帰国しました。そんなAIさんの半生についてのインタビューを4回にわたってお届けします。AIさんは、11月1日スタートのNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の主題歌「アルデバラン」を歌われています。そこで第1回目は、「アルデバラン」の制作ストーリーから歌に込めた想いを中心に、コロナ禍で感じたことや、20周年を振り返っての面白いエピソードを楽しく聞かせていただきました。
PROFILE

シンガー AI

アメリカ合衆国ロサンゼルス生まれ。鹿児島県鹿児島市育ち。 ゴスペルクワイアーで鍛えた本格的な歌唱力、L.A名門アートスクールで学んだダンス・センス。完璧な英語、バイリンガルでラップもこなせるストリート感覚。アンダーグランドからオーバーグラウンドまで支持を得る唯一無二の存在、それがAI。 安室奈美恵やEXILE ATSUSHIなど国内トップアーティストはもとより、クリス・ブラウンやスヌープ・ドッグ、ザ・ジャクソンズ、チャカ・カーンなど国境を越えた数々のレジェンド・アーティストとのコラボレーションも多数。 これまで3度のNHK紅白歌合戦出場、第59回日本レコード大賞・優秀作品賞の受賞を果たす。 そして、2020年、次世代リーダーが集まる⻘年版ダボス会議「One Young World Japan」オフィシャルアーティストに就任し、「Not So Different」がテーマソングに決定。SDG’sメッセージソングとして、AIがいま最も伝えたい想いが込められた曲となっている。同曲のRemixには、最重要アーティストのAwichをフィーチャリングに迎え、音楽ファンのみならず話題となっている。 AIは音楽、人柄、その溢れ出る愛を通してアジアや世界の架け橋となっていく。

この20年で日本の音楽シーンは変化した。デビュー当時は、客がパラパラを踊っているようなクラブしかR&Bを歌うステージがなかった

ニューシングル「アルデバラン」について伺います。今回、作詞作曲は森山直太朗さんが担当されましたが、どういう経緯で始まったのですか?

主題歌のオファーをいただいてから自分で何曲か作っていたのですが、他の人にもお願いしようってことになりました。うちの社長が、ある時テレビで流れていた曲を聴いて感動したので調べてみたら、作詞作曲が森山直太朗くんだったらしく、それでお願いして作っていただきました。

AIさんはご自身で作詞作曲して歌われるイメージがあります。

今回も、自分で先に9、10曲くらい作っていたし、自分的にはこれでいいんじゃないかなって思うものもあったんですけど、スタッフ全員がなかなか一致しないんです。NHK朝ドラともなると気合が違う(笑)。だからって、いつもは適当ってわけじゃないし、毎回いろいろ乗り越えて決まっていくわけですけど、やっぱり全員が良いと思えるものを目指していたので、直太朗くんの曲が届いて、私が歌ってみて、やっとみんなが一致しました。

最初に直太朗さんの声でこの曲を聴いた時はどう感じましたか?

曲がスタートしてからすぐに「もう最高!」って思いましたね。「君と私は仲良くなれるかな」って始まる感じ、そして、「この世界が終わるその前に」という歌詞は、どんな場面にも当てはまると思う。こうやって出会ったばかりのあなたに向けてもそれが言えるし、仲違いしてしまっている人のことも言えるし、家族のことも言えるし。そのたった一行だけを聴いて、「ああやられたな」って思いました。もちろんその先の歌詞とメロディも、自分の期待してるところにもいくんだけど、期待を超えるところにもいって、「うわぁさすがだな、すごくいい曲だなぁ」と思って。自分にもぴったりな曲だなって正直に思えるので、本当に素晴らしい曲をいただいてありがたいです。

私たちも聴いて心が震えました。それはきっと、コロナ禍で大変だった2年間があったことも影響していると思いますが、AIさんご自身はいかがですか?

そうですね。明らかにコロナ禍でこの曲が生まれたわけで、もちろん国民全員の生活を見て知っているわけじゃないけど、なんとなくみんな苦しいこととか辛いことに耐えて生きている毎日だったと思うんですよね。コロナよりも前からずっと苦しい人もいるだろうけど、特にコロナは世界中の人たちが我慢する時だった気がしています。そんなときにこの曲を聴いて、勇気をもらえたし、ありがたいなって気持ちになりました。「私だってそうよ friend」って歌詞を聴いた時に、もうこれだなって思いました。

「アルデバラン」という曲名について、直太朗さんは、なんとお話されていましたか?

直太朗くんからは、「アルデバラン」は“牡牛座の一等星の一つで後に続く者”といった意味があると聞きました。その言葉の説明を聞いて深い感じがしていいなと思いました。私だったらそのタイトルは絶対つけなかっただろうと思います。

他の方が作ったものを歌う時は、自分で作詞作曲するときと何か違いがありますか?

ありますよ。 慣れてないメロディだから自分のスタイルに変えがちだし、自分の心地良いメロディにいこうとして大事なところを飛ばしちゃいがちなんですけど、直太朗くんには、ちょっとでもブレると、細かいところまですごいマニアックに厳しく言われました。自分も人に作った時はやっぱり細かく言っちゃうので、気持ちはよくわかります。

「アルデバラン」を歌い上げる際に、苦労したところはありましたか?

自然な気持ちで歌うのが難しいなと思いました。直太朗くんはそれがすごく上手で、まず聴いたときに自然だなって思ったし、喋ってる感じだったのに、私は歌ってしまう。その言葉ひとつひとつを、自分が喋っている感じに歌うのに苦労しました。最後Dメロを歌い終わって、「祈りながらシング・ア、、、」の後からは自由に歌えるんです。逆に言えば、その最後の最後までは、ずっと神経を研ぎ澄ませていないといけない。本当にひとことひとこと、気持ちも入れなきゃいけないし、伝えるということが大変でした。でも他の人が書いた曲を歌うのは楽しいです。

最近の他の曲についても伺いたいです。三浦大知さんや¥ellow Bucksさん、Awichとのコラボレーションはいかがでしたか?

曲は自分で書いてはいますが、一緒に歌う人がいるので、 この人だから言えること、彼・彼女が言うからかっこいいとか、その人に合った内容であることを一番大事にしました。私がそれぞれの歌詞を歌っても違うものになるし、やっぱり彼らが歌うからいいんですよ。それってやっぱり経験してることが違うからですよね。その人の性格とか、その人の辿ってきた道とかで歌詞やメロディが決まってきちゃうから、いつもその人らしさが出る曲になるように気をつけています。

三浦大知さんとの曲の「IN THE MIDDLE」という言葉がすごく好きです。

その言葉の意味を、「どっちにもつかない」って勘違いする人がいるんだけど、言ってることわかりますよね?例えば、子供が喧嘩したときでも、どっち側のこともわかるってすごく大事だと思うんですよね。人に何か言うためには、いろんな人の気持ちをわかってあげられる人になりたいなって思うと、どっちか一方が悪いとは言えなくなるんですよね。人に何かを伝えるには、一回真ん中を知らないとだめだと思う。

素晴らしいです。ところで、AIさんは昨年、20周年を迎えられましたが、振り返っていかがですか?

そうですね。 20周年ということで、友人が昔のインタビューや写真、動画とかを送ってくれるんですけど、やばい格好してるんです。どうしたらこのポーズ?この格好?どうしたらこのしゃべり口調?ってなりますよね。振り返れば振り返るほど恥ずかしい(笑)。

そっちですか(笑)。

みんな振り返らなくていいのに(笑)。先日も青山テルマが、「この時代のあんたやばいよね」って 1999年か2000年くらいの写真でやばいの見つけてきて。昔のインタビュー動画なんですけど、ギャルの格好して会議室の机の上でグラビアモデルみたいな格好して、「まじで〜、なんとかで〜」ってすごい鹿児島弁で喋ってるんですよ。あとは、安室奈美恵さんとSUITE CHICをやったときに、初めて「ミュージックステーション」に出演したんですけど、タモリさんへの喋り方が、「あ〜まじで〜?まぁ、やばいね」みたいな敬語も喋れない鹿児島弁になってたのは、本当に恥ずかしかったです。子供には絶対見せられないわって。びっくりしますわ(笑)。そういうのを振り返ってみると、ずいぶんいい感じに普通になったと思います。

(笑)。AIさん自身が見てきた景色は変わりましたか?

もちろん変わりましたよ。昔はお客さんのノリ方も違いました。日本ではみんなR&Bに興味なかったし。だから最初は大変だったけど、だんだん時代が変わって、人の興味も変わりました。 当時全然人気がなかった頃は、歌で惹きつけるように最初はホイットニー・ヒューストンとかマライア・キャリー、セリーヌ・ディオンを歌っていたし、歌える場所自体もみんながパラパラを踊っているようなクラブだけでした。 自分が住んでいたLAではR&Bが流行っていて毎日聴いていたんで、そのギャップにやられましたね。「スヌープ・ドックとかドクター・ドレー知ってるよね?」って言っても、みんな「え?誰ですか?」っていう状態だったので、だいぶ変わりましたよね。

そう考えると、日本の音楽シーンもこの20年で本当に大きく変わったのですね。では、最近コロナ禍でAIさんの考え方やライフスタイルで大きく変わったことはありましたか?

特にないですね。妹にも、何も変わらないよねって言われます。もとからあんまり人に会わないし、引きこもりぎみですから。

普段から人に会うことに積極的じゃないのは何か理由があるんですか?

仕事柄、今までいろいろダメージを受けていますから。風邪がうつるかもしれないし、変な人が近寄ってくることもあったし。それに、自分はいろいろ人に言う性格なので、何か言うんだったら自分がしっかりしていないといけないと思ってるところがあるんです。多分私がコロナになっても、何か罪を犯しても、「あんなに頑張ってたのにね」ってみんな同情してくれると思う(笑)。それに今は子供が2人いるから、それで疲れてるっていうのもあります。いなかったらパーティで盛り上がっていたかもしれないです(笑)。

これから25周年、30周年に向けて達成したいことはありますか?

バク転がちゃんとできるようになりたい。今までライブではネタでフェイクなバク転をしてきたんですけど(笑)、本物のバク転ができるようになりたいです。他にもチャレンジしたいことはいろいろあります。アクロバティックなことにチャレンジしたいし、人をあっと驚かせること、楽しませられることをもっとできる人になりたいと思っています。

衣装/5-knot (ファイブノット)
問い合わせ先: info@5-knotdesign.com

次回へ続く

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12/9UP

AI「アルデバラン」

作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ
デジタル配信中:https://lnk.to/AI_ald
ミュージックビデオ:https://youtu.be/8IOSztadymc
Special Site:https://sp.universal-music.co.jp/ai/aldebaran/

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