HIGHFLYERS/#21 Vol.4 | Feb 23, 2017

人生を変えたライゾマ創設メンバーとの出逢い。テクノロジーと表現をさらに最大化させた、MIKIKOやその他の仲間の重要性とは

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Cover Image Design: Kenzi Gong

世界的メディアアーティストの真鍋大度さんインタビュー最終回は、真鍋さんが関わってきた約20年間におけるメディアアートの変化と、今に至るまでに出逢った人達がもたらした奇跡についてを伺いました。また真鍋さんの考えるチャンスと成功や、御自身の今後の展望も語ってくださっています。
PROFILE

メディアアーティスト/DJ/プログラマ真鍋大度

2006年Rhizomatiks 設立、2015年よりRhizomatiksの中でもR&D的要素の強いプロジェクトを行うRhizomatiks Researchを石橋素氏と共同主宰。プログラミングとインタラクションデザインを駆使して様々なジャンルのアーティストとコラボレーションプロジェクトを行う。米Apple社のMac誕生30周年スペシャルサイトにてジョン前田、ハンズ・ジマーを含む11人のキーパーソンの内の一人に選出されるなど国際的な評価も高い。 2008年、自身の顔をデバイスとして用いて制作した『electric stimulus to face-test』 は世界の30都市以上で発表されてきた。その後 Ars Electronica(Linz)、STRP Festival(Eindhoven)、Resonate(Serbia)、Sónar(Barcelona) などの海外フェスティバルに数多く招聘され、様々なインスタレーション、パフォーマンス作品を発表。石橋素氏との共作『particles』は2011年、Ars Electronica Prix Interactive部門にて The Award of Distinction(準グランプリ)を受賞。同部門において2012年に『Perfume Global Site』、2013年には『Sound of Honda / Ayrton Senna1989』が Honorary Mentionを受賞。またインスタレーション、データ解析を担当した『Sound of Honda / Ayrton Senna1989』は2014年 Cannes Lions International Festival of Creativityにおいて Titanium & Integrated部門グランプリ、8部門でゴールド6つ、シルバー6つを含む15の賞を受賞している。 文化庁メディア芸術祭においてはこれまでに大賞2回、優秀賞3回、審査委員会推薦作品選定は8回を数える。 DJのキャリアは20年以上。国内ではFlying Lotus、Squarepusherをはじめとした海外アーティストのライブに出演し、海外の音楽フェスティバルからも数多く招聘されている。 また国内外のミュージシャンとのコラボレーション・プロジェクトも積極的に行い、Nosaj Thing、FaltyDL、Squarepusher、Timo Maas、岡村靖幸、やくしまるえつこらのミュージックビデオの監督のほか、坂本龍一とのインスタレーション作品『Sensing Streams』、Nosaj Thingのライブセットのビジュアルディレクションとプログラミング、Perfumeのライブ演出の技術面を担当している。 2011年よりダンスカンパニーELEVENPLAYとのコラボレーションをスタート。新たな身体表現を発明するためにコンピュータービジョンや機械学習技術、ドローン、ロボットアームなどのテクノロジーを用いて作品制作を行う。Sónar(Barcelona)、Scopitone(Nantes)、Mutek(Mexico City)等のフェスティバルで作品を発表し、WIREDやDiscovery Channel等、国内外のメディアで賞賛を受ける。

チャンスとはリスクを恐れないこと。僕の周りの成功した人は皆、人と人との繋がりを大切にしている

10年近くメディアアートに携わっている間に、メディアアート業界は大きく変化しましたか?

テクノロジーを用いた作品はどんどん大衆化して、誰でも使える当たり前のものになりました。例えば、SnapchatやSNOWのように顔に絵が合成されるようなスマホのARアプリは、僕が広告のコミッション仕事で作成した「facetracking happy halloween!」を発表した2011年頃はパソコンでしか出来なかったし、顔のパーツ解析自体が珍しいものだったけど、5年経ったら誰でも当たり前の様に使うものになる。そういったことが色んなところで起きている気がします。

次から次へ新しくなっていく環境に身を置いて、不安を感じることはないですか?

そうですね。皆が同じ状況だと思うので不安になることはないですが、大変にはなって来ています。

ところで、生活のリズムはどのような感じですか?日々の生活で習慣にしていることはありますか?

海外出張が多いのでヨーロッパに行く際は夜型にするなど、時差ボケには特別気をつけていますね。特にパフォーマンスの本番ものは集中力が要されるので。

音楽はいつも真鍋さんの身近にあるものだと思いますが、今一番好きな音楽は何ですか?

今は何でも聴きますが、新しい音楽だと、シカゴのハウスとロンドンのダブステップとヒップホップが合わさったBPM160(Beats Per Minuteの略/ BPM160の場合、1分間に160拍)くらいのジューク/フットワークというジャンルを聴いてます。ここ数年はMachinedrumがやってることを追いかけてる感じかもしれないですね。

聴いている音楽が、真鍋さんが手がけるメディアアート等に影響することはあるのですか?

どうなんですかね。作品づくりとは違いますが、例えばケンドリック・ラマーのプロデューサーの一人でもあり、Timetableというレーベルを主宰するノサッジ・シングとは、 「NO REALITY TOUR 2016」で僕が映像を作ってコラボレーション・パフォーマンスを行い、 LAや世界最大級の音楽フェス「コーチェラ」などを一緒に回りました。確かノサッジが僕のTwitterをフォローしていて、僕が最近彼の曲を聴いてるってつぶやいたら、ノサッジから連絡をくれたのがきっかけだったと思います。プロジェクトの話はいくらでもあるけど、ちゃんと予算をつけて形にするのが中々難しいので、実際仕事になるのは本当に限られています。ツアーのプロジェクトも実現するのに4年くらいかかりました。セッティングが結構大変だったり、条件が厳しかったので中々受け入れてもらえないんですよね。

Nosaj Thing at Coachella, in Indio, CA, USA, on 22 April, 2016
© Goldenvoice/ © Coachella/ Nate Watters

ところで、真鍋さんの周りはとても有能な方が多いと思いますが、ご自身の人生を変えた出逢いをあげるとしたらどなたを思い浮かべますか?

10年前とか15年前、芽を植えただけでまだ花が咲くかどうか分からなかった時代から、今のようになることを信じて一緒にやってきたメンバー、特に今の会社の役員チームの、齋藤(精一)と千葉(秀憲)、石橋さんとの出逢いは凄いことだと思います。あとはやっぱりMIKIKOさんと、電通のクリエイティブ・テクノロジストの菅野薫くんです。広告代理店の人を挙げるのはちょっと珍しいと思うんですけど、僕らの世界って結局他のフィールドの人達と繋がらないと広がっていかないんですよ。もともと僕たちがシアターとかミュージアムでやっていたものを、まずMIKIKOさんがエンタメの世界で広げてくれて、菅野くんがスポーツやカンヌ広告祭などの国際的なイベントで広げてくれました。出来ればお世話になった方全員のお名前を挙げたいくらいですが。

それでは、チャンスとはどういうことだと思いますか?

リスクを取ることだと思います。株の投資でも何でもそうですけど、リスクを取らないと絶対にリターンがないですよね。チャンスってことはリスクが結構ある状態だと思うんで。それはどんなプロジェクトにおいても同じことが言えると思います。

今まで、精神的にどん底だと感じた時はありますか?

不安とまではいかなかったですけど、僕が昔いた会社を辞めた時でしょうか。後に一緒にライゾマティクスを立ち上げた齋藤は既に広告代理店で働いて稼いでいたのに、僕はほぼ収入がないような状態だったんで。でもそこまでいくと、半分諦めているからガツガツすることはなかったです。

真鍋さんのようなメディアアーティスト/プログラマになりたいという若者がいたら、どんなアドバイスしますか?

僕が今やっているようなことは、10年前はブルーオーシャンだったけど今はそうではないので、この先10年後を見据えて、飛距離が出ることを見つけて欲しいと思います。

HIGHFLEYRSのテーマである「成功」について聞かせて下さい。真鍋さんにとって成功とは何ですか?

自由があることです。

成功する人と成功しない人の違いは何だと思いますか?

一番はやっぱり運だと思うんですけど、すごい古くさいことを言っちゃうと、最後の最後は仁義とか、人と人との繋がりとか、人間関係みたいなところを大事にするかどうかのような気がします。僕の周りにはそういうことを大切にする人が多いと思います。

まだ叶ってない夢があったら教えて下さい。

平常運転、現状維持が出来て、今の状態が続いていけばいいなぁと思っています。

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