【空間軸を広げて自分という存在を感じる】〜自分という存在の根底にあるもの・可能性を感じてみる〜
周りの期待に応えなければならないというプレッシャーは、自分が持っている力を発揮するためのエネルギーを妨げる要因となる。世界チャンピオンになってから、スポンサー、観客、他のプレーヤー達からの期待などに意識が奪われてしまい、パフォーマンスに影響してしまう心配や不安を抱えていた石田選手。空間軸を広げ、自分自身にフォーカスを切り替えたことでどんな体験があったかを伺ってみた。
抱えていた問題
■人からどう見られているかが気になり、自らプレッシャーを背負ってしまう
プロとなり、世界一となったからこそ生まれる様々なプレッシャー。スポンサーからの期待や、観客の目、他のプレーヤー達にどう思われているかが気になってしまい、今までには感じなかった不安を感じて、自信がない自分自身を感じることが増えた。
石田選手:プロとして世界一になってからは、それ以上はなく、負けたら下がるという恐れとの戦いがあります。スポンサーもつくようになり、期待されているのに関わらず、もし優勝できなかったらどうしようというプレッシャーを感じるようになりました。また、観客からはチャンピオンという目で見られるプレッシャー、他のプレーヤー達には「実はそんなに上手くないじゃないか」と思われていたらどうしようなど、漠然とした不安や、自信がない自分が浮上してきて、自らプレッシャーを背負ってしまうところがありました。
解決方法
■自分という存在の中心を感じ、自分の本質を味わう
周りではなく、自分自身にフォーカスを向けていくために「自分という存在の中心となる部分はどこか?」「自分とは何者なのか?」ということに意識を向け、感覚をイメージ化した。
石田選手:座って目を瞑りながら、自分の中心にあるものを感じて、その感覚の中に入っていき、自分自身がその感覚になるというイメージをしていきました。その時に気づいた自分という存在の中心とは「石田太志・僕自身」で、「誰かに左右されない自分」です。さらにそこを観察していくと「最初は丸くて青いものがぐるんぐるん回っていて、途端にいろんな色(虹色のようなもの)が360度上に向かって絶え間なく放射状として出ている」イメージが湧いてきました。それによって、自分の中にすでにある本質、ゆるぎない自分自身を感じることが出来ました。
得られた結果
■他人の評価から解放され、ゆるぎない自信を手に入れた
誰にも左右されない、自分の中にある“ゆるぎない自分に気づけたことで、人の評価や期待から解放された。また、純粋にフットバッグを楽しむ自分を大切にでき、それが大会中のプレーにも繋がった。
石田選手:プレーに一番大きく影響していたプレッシャーという他人の評価や期待から解放され、ゆるぎない自信を手にすることができ、同時に、プレッシャーは自分の中で作り出していた幻想だったことに気づかせてもらいました。その結果、8月16日(金)~18日(日)にアメリカ・ボストンで開催された全米選手権「2019 Footbag US Open Championships(US Open)」では、リラックスしていつも通りの自分でプレーができ、総合優勝することが出来ました。昔からずっと動画で観ていて憧れていた大会だったのですごく嬉しかったです。
2019 年のFootbag US Open Championshipsでは総合優勝を果たした
コーチ補足
■自分という存在から宇宙まで、空間軸を広げて探求することで、自分には底知れないパワーがあることに気づく
柘植コーチ: 周りは自分のことをこんな風に思っているのではないか?という思い込みは、意識が自分の外側に向いている状態の時に起こります。そこで、「そもそも自分とはどんな存在なのか」を感じてもらうために、宇宙まで広げるくらい無限の可能性の中で、自分という存在を感じてみてもらいました。人には誰にでも自分で気づいていない、(あるいは忘れてしまっているだけの)底知れないパワーがあるはずなので、自身の「生命力」や「自分の根源にあるもの」を感じとってもらうためです。自分という存在そのものからから宇宙まで、いろんな空間軸で自分を探求してみることで、本来持っている無限大の可能性を感じることが出来るようになります。
世界チャンピオンとして、華々しい実績を持ちながらも、さらなる高みを目指すために、2019年の3月から本格的にコーチングを導入した石田選手。わずか数ヶ月間の間で手に入れた成果は、大会での実績、それだけでなく、自分自信を知り、底知れぬ可能性に気づくということだった。最後に成功とは何かを聞いてみた。
石田選手:失敗の積み重ねにある成果だと思います。成功って良いものに感じますけど、単なる結果であるだけで、いきなり成功する(そこに達する)ということはないと思います。なので、いかに常に失敗を恐れずに挑戦し続けるかだと思います。