ON COME UP
#6 | Oct 8, 2015

パンク精神とダダイズムを愛し、音楽とファッションの相関を具現化するデザイナー、岡本ユウジ

Text & Photo: Atsuko Tanaka

未来に向かって躍動する人たちをフィーチャーする“On Come Up”。第6回目のゲストは、ファッション界の大御所デザイナーからも一目置かれている「CYDERHOUSE」デザイナーの岡本ユウジさん。学生の頃から 大貫憲章さん、宇川直宏さんの元で学び、2008年に自身のブランド、CYDERHOUSEを立ち上げる。彼が作るクオリティー高いオーダーメイドの革ジャンは、著名人も含め、多くの感度の高い人たちを魅了している。また、音楽を愛する彼の作品には、ミュージシャンのファンも多い。もうすぐ6回目となる来春のコレクションの発表を前に、彼の人生が大きく変わった出会いなどについて語ってもらった。
PROFILE

DesignerYuji Okamoto / 岡本ユウジ

1983年金沢市出身。文化服装学院アパレルデザイン科卒業。レザーアイテムのオーダーメイド制作から服作りを始めた後、10年同ブランドを設立。オリジナルブランドの名称“CYDERHOUSE”はイギリスのパンクバンドCHAOS.UK.(カオスUK)の楽曲「Farmyard (Cyder House Mix)」から発想を得たもの。日常を楽しむためのお供である“CYDER(サイダー)”をつくる場所としての“HOUSE”でありたいという思いからブランド名にした。 

Yuji Okamoto / 岡本ユウジ

このお仕事を始めたきっかけ

学生の頃に作ったライダースをいつも着ていたのですが、それを見た方に同じものを作ってくれと言われ、オーダーメイドを始めたのがきっかけです。オーダメイドと言っても、ほぼライダースしか作っていなかったのですが。

自分のスタイルを言葉で表すと?

ひょうひょうと自分らしく。

いつからそのスタイルに?きっかけはありましたか?

最近です。その前はすごく暗かったですよ(笑)。斜に構えた姿勢で、常に不満が溜まっている感じでした。きっかけというか、単純に自分で仕事をし始めて、人と沢山接して話さなきゃならないようになったからですね。 

オリジナルでいるために気をつけていることは?

 “他を知る”ということに気を付けています。他を知らないと気付かずに同じようなものを作ってしまったり、新しいと思っていたことなどが実は、、ということがあるから。

最近気付いた自分に足りないこととは?

普通に忘れがちなところです。

通っていた学校はあなたにとってどんな場所でしたか?

みんな物腰が柔らかくゆるくて、高校生に戻ったみたいな感覚で過ごしていました(笑)。自分が2年遅れて入ったっていうのもあって、学校生活よりも外の課外活動の方が刺激的でした。学校が終わった後に、友達の家で溜まって課題をやって、夜になったら新宿か渋谷のクラブ行くみたいな毎日でした。

活動の中で学んだことのうち、学校教育では教えられなかった大事なことはありますか?

ほぼすべて。仕事、人間関係、デザインとは、などについて、直接は教えてもらえないけど、自分で拾い集めていくような感じで学ばせていただきました。学校で服以外で何かを教えてもらおうとは最初から思ってなくて、学ぶ事は基本的に服を作る知識とか技術です。後は全部外で学びました。

あなたにとって「個性」とは何ですか?

人生の過ごし方の結果。

「CYDERHOUSE」を一言で表すと、どんなブランドですか?

ホームっぽさ。そういう安心感を着る時に感じてくれたら最高です。

憧れの人や尊敬している人、恩人はいますか?

たくさん居りますが、最初に僕に良い氣の流れをつくってくれた、イギリス在住のアーティスト、Gee Vaucherさんです。

好きなアーティストや歌、映画や本などで一番影響を受けたものは?

CRASS、PSYCHIC T.V.、2001年宇宙の旅、ケルアックの小説「路上」など。

音楽とファッションの関係性について、どの様に捉えていますか?

音楽>ファッション。常に対で、優先的には音楽の方で、ファッションはそれに付随している感じ

自分の作った服を着てくれて嬉しかったミュージシャンはいますか?もしくは、来て欲しい方はいますか?

ミュージシャンの方は基本的に皆尊敬しているので、どなたに着てもらってもすごく光栄です。

大貫憲章さん、宇川直宏さんから受けた影響を教えて下さい。

大貫さんからは好きな事を貫く精神を、宇川さんからは物を作る人としての在り方を教えてもらいました。

社会で起こっていることで、気になることは何ですか?

色んなジャンルでロボットを導入しているのが単純にヤバいです。画的にも面白いですし、生活面でも普通にこれからもっとロボットが職場に参入して、働く時間が少なくなり、休みが増えて趣味にかける比重が強まって、皆が今よりもっと着飾るようになっていけば、ファッションももっと細分化していくんじゃないかなって思います。

過去のファッションで羨ましいという時代があるとしたら、どんな部分ですか?

過去よりも自分がまだ生きていない未来の服の方にとても興味が有ります。 

仲間を見つける方法を教えてください。

“匂い”ですね。匂いとしか言えませんが、そこに居るべくして居る、みたいな。ライブ観に行って、“やっぱりアイツも来てるな、好きなんだな”みたいな事ですね。

子供の頃に着ていた洋服で印象的なものは、どんなものがありますか?

姉が居たのでお下がりでよく女物を、、、。姉が6つ上なんですが、小学生の頃はプールの水着入れるバッグが赤色でキティちゃんみたいな、、。

東京の特徴は?日本の特徴は?

東京は早い、日本は遅い。東京の流れはすごく早くて、流行とかも早いし、移り変わりも早い。日本はいつも先進国よりやることが遅いし、順応出来ていない。その相対的なところが面白いなと思います。

岡本さんの夢は?叶えるための次のステップは何ですか?

目の前にある課題を一つずつこなしていくことが、次なるステップの助力になるんじゃないかなと思います。 夢というか課題は、とにかく服のクオリティや完成度などをもっと突き詰めていかないといけないと常に思っています。

ファッション業界は、今後どういった時代を迎えると思いますか?

よく分かりません。僕は好きな物をとことん追求して、出来るだけ長く作り続けるだけです。

他人が思う自分の像と、実際の自分自身との差があると感じる部分を教えて下さい。

僕は天然ではないと思っているのに、周りは僕のことを天然だと思っていること。分かる人には分かってもらえるんですけどね(笑)。

一気に視界が開けた瞬間や、自分が成長したと実感した出来事があったら教えて下さい。又、その時の感想も教えて下さい。

学生の頃、CRASSというパンクバンドが好きで、ライブがあるとHPを見て知り、友人達からお金を借りて単身イギリスに観に行きました。金髪ソバージュで、ボロボロのパンツにバッジだらけのギャルソンのブルゾンを着て行ったんですが、2、3人モヒカンのザ・パンクスが居たぐらいで、 後のお客さんは良いお年を召された人達ばかりでした。ライブもオーケストラって感じで、全然予想していた感じとは違ったんですけど、それがまた良くて。ライブが終わって、変な東洋人が混じってるなと思ってくれたのか、金髪のおばちゃんが話しかけてきてくれたのが、CRASSのメンバーでありグラフィック全般を担当しているGee Vaucherというアーティストの方だったんです。そこで夜の宿をとっていないことを伝えると、じゃあウチのホテルに泊まっていきなよって(笑)。もうそこからは宙に浮いたような気分でBARで過ごしました。それから帰国後、暗くて卑屈的だった自分の人生が上向きになりました。

3年後、5年後の自分はどうなっていると思いますか?そして、どうしたらそれになれますか?

きっと見た事が無い景色を見ているだろうと思うと、それに向けて今を頑張ろうと思います。「こうなりたいみたい」なのは無くて、やらなければいけない事を信念持ってずっとやり続けていれば、なるようになると思っています。

Cider.inc
03-5428-5110
info@cyderhouse.jp
取材協力: 終日one
取材コーディネート協力: Naoki Kobayashi

Yuji Okamoto / 岡本ユウジ オフィシャルInfo