見極めて、「これだ!」というチャンスが来たら見逃さないこと。そしてそれを掴んだら、死ぬ気で離さないと思う気持ちが大事
歌舞伎自主公演を続けていく中で学んだことは、継続の大切さ以外に何かありますか?
僕のやってる歌舞伎自主公演は規模がそんなに大きなものではなく、公演日数も毎回1週間や2週間させていただくわけではないので、役として得られることは本当に限られているのですが、その中で、自主公演で一番の魅力に感じることは、公演を作っていく工程を体感できることです。お客様が入らないなどのシビアさを経験できるのも自主公演ならではで、猿之助さんに教えていただいたように、自分が痛い思いをしないで済む自主公演はやる意味がないと思います。また、それを経験したことで、他の公演に対する意気込みというか感覚は変わるのかなと思います。やった人にしかわからないようなことですが、だからこそやる意味や価値がある気がしますね。
それでは、プライベートなことを少しお聞きしたいです。最近の生活で変化したことなど何かありますか?
比較的朝ごはんを食べることが多くなりましたね。以前は全く食べなかったのですが、去年体を絞らないとならなくなりまして、基本的には食事制限をしながら、トレーナーの方と相談して、筋肉がついて痩せやすい体になるように、朝だけはしっかり食べていました。昼夜はかなり制限をした食事をしなくてはいけないので、食の楽しみは朝しかなく、朝にご飯を食べるようになりました。お米を食べますね。
日常生活で必ず行うことを三つ挙げるとしたら?
運転と、僕ら歌舞伎俳優は基本眉毛がないので眉を描く。あとはYouTubeサーフィンですね。食事制限してるときは咀嚼音ばっかり聞いてました。あれで何とか空腹をごまかすしかなかったですね(笑)。
甘いものがすごくお好きだそうですね。
甘いものが好きなのは間違いないです。いろいろなところでお勧めを聞かれることがあるのですが、僕は食べ歩いて探すような人間ではなくて、これを美味いと思ったらそれしか食べないタイプなんです。今はパレスホテルのマロンシャンティが僕の中で世界一で、それ以外にないですね。生クリームが大好きで、クレープも好きです。
ところで、松也さんはかなりモテると思いますが、ご自身はなぜだと思います?
自分の中で、モテる男はこういう人というのがあって、それには僕ははるかに値していないと思います。もし僕がモテてるとすれば、それはモテようとしてるだけなので。男の人は大体がモテようとしてるじゃないですか。僕もその中の一人でモテたいから、モテようとして頑張ってモテてる(笑)。だけど僕の中でモテる男の人ってモテようとしていないのにモテる方なんですよ。
具体的にどなたか思い浮かびますか?
具体的にって言うと難しいですね。自分の世界だけで生きていこうとしてる人というか、例えばそれがファッションとかでも何でもいいんですが、周りの女性からどうこう言われても何も意に介さず、また、それがカッコつけてるわけでも何でもない方ってたまにいますよね。雰囲気的に言うと、例えばオダギリジョーさんとか。かっこいいですし、さらに独特な雰囲気と、自分の世界感みたいなものがあって、女性に素敵と言われてもそれに気づかない、というような。こっちがどれだけ頑張ってもみんなあっちに行っちゃうみたいな(笑)。
なるほど、面白いですね(笑)。では、今気になる俳優さんや演出家など、歌舞伎以外で気になる方はいますか?
演出家だと藤田俊太郎さんですね。ずっと蜷川さんの元で修行された方で、近年はとても活躍されていて、僕が「NINAGAWA十二夜」をさせていただいた時もそうですし、騒音歌舞伎「ボクの四谷怪談」をさせていただいた時もいらっしゃって、いつか一緒に何かをやってみたい方ではありますね。
音楽は聴かれますか?
聴きますね。最新のJポップは全然聴かないです。最近は玉置浩二さんが好きすぎて、「メロディー」を聴きまくってます。何かのきっかけで、昔の曲や、ちょっと前の曲にハマることが多くて、今の僕の中では玉置浩二さんがブームです。
それでは、松也さんにとって成功とはなんですか?
成功…なんでしょうかね。僕の中では、成功って常に何か追いかけるものというイメージですね。そして、そこに辿り着いたら終わりっていう感じがします。僕は成功はしたいですし、終わらせたい部分もあるんですけど、ここかなって思って辿り着いても常にここじゃなかった、まだ先、まだ先っていうイメージです。
では、チャンスとはなんですか?
自分で掴むものですかね。待ってるだけでは絶対にダメだということと、自分で見極めて、「これだ!」っていうチャンスを見逃さないっていうことですかね。そしてそれを掴んだら、死ぬ気で離さないっていう気持ちが大事だと思います。
その「これだ!」っていうのは、どうやったら見極められると思いますか?
難しいところですけど、やっぱり常に危機感を持ってそういうチャンスを模索してないと難しいかもしれませんね。余裕でいたら、まあいいでしょ、何とかなるでしょって流しちゃったりする。ですので常に危機感を持って、上りたい、ステップアップしたいっていう想いを常に抱いてることが大事なのかなと。継続は力なりじゃないですけど、基本的にモチベーションを継続することで、そういうチャンスが来た時にこれだって思えるんじゃないかと思いますね。
今世界で起こってることで気になることはありますか?
結婚多いな?って思います(笑)。僕の周りの同世代もたくさん結婚していますし、貫地谷(しほり)さんや、先輩の水川(あさみ)さんも結婚されたし、他の方も続々と発表してますよね。これはなんなんだ、全員乗っかってるのか?って(笑)。
最後にまだ叶ってない夢があったら教えてください。
ディズニーワールドに行きたいです。スターウォーズエリアができたんですけど、僕はスターウォーズが大好きなので、死ぬまでにはそこに行きたいなと思います。
歌舞伎での夢は?
現在僕らがさせていただいてる古典作品と言われている演目は、元は昔に作られた新作だったわけですから、今の僕らの世代と一緒に作品を作りたい夢はありますね。400年後に歌舞伎が続いていた時に、その作品が古典歌舞伎として演じれるなるような作品を。歌舞伎は時事ネタを物語にしてるものが多いので、今作るとしたら「通し狂言 結婚ラッシュ」ということになりますね(笑)。
新春浅草歌舞伎
出演:尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村米吉、中村隼人、中村橋之助/中村錦之助
- ◇第1部(午前11時開演)(年始ご挨拶)
- 『花の蘭平』、『菅原伝授手習鑑 寺子屋』、『茶壺』
- ◇第2部(午後3時開演)(年始ご挨拶)
- 『絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場』、『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』
毎年、次代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」は、1980年の初演から2020年で40周年を迎えます。
今回は、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村米吉、中村隼人、中村橋之助という若手俳優がエネルギー漲る熱い舞台をお届けします!
当公演ならではの、出演俳優による〈年始ご挨拶〉、お客様も劇場スタッフも着物を着る〈着物で歌舞伎〉、浅草の芸者衆がロビーで出迎える〈浅草総見〉といったイベントもみどころです!令和となってから初となる「新春浅草歌舞伎」にぜひご期待ください!
- 【公演日程】
- 令和2年1月2日(木)初日~1月26日(日)千穐楽
- 【会場】
- 浅草公会堂(東京都台東区浅草1-38-6)
- 【御観劇料(税込)】
- 1等席9,500円 / 2等席6,000円 / 3等席3,000円
○11月20日(水)午前10時よりチケット販売開始!
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