【今と未来がつながれば、今の価値が変わる】〜競技と人生の目標を明確にする〜
現状把握を行い、自分を客観視できたことで、柔軟な動きを取れるようになった。次に、タイムラインを使って、人生全体の目標や競輪選手としての目標を明確にし、見える化していった。
抱えていた問題
■目標が明確ではなく、ただがむしゃらに練習しているだけだった
同じく2022年6月頃、競輪選手としてどんな選手になりたいのかという目標が明確ではなかった徳田選手。今振り返れば、頑張ってはいたものの、ただがむしゃらに毎日練習するだけで、思うがままに生きていただけの日々だった。
徳田選手:それまでは夢は「スーパーマンになりたい」「120歳位まで生きるぞ」とかそんな漠然とした感じで(笑)、選手としての目標も「ゆくゆくは最高峰のレースで走れる選手になりたい」とか誰でも言えるレベルでした。なので、練習もただただ毎日いっぱい自転車に乗ったり、いっぱいおもりを持ち上げたりという程度だったんです」
解決方法
■タイムラインを使って、人生全体の目標や競輪選手としての目標を明確にした
人生全体の目標(生涯・人生観・家族・あり方など)と、競輪選手としての目標(目指す大会・レース・選手像など)、そして次のレースまでのスケジューリングなどを、タイムラインというコーチング手法(*解説図参照)を使って、いくつかの時間軸に分け、自分の目標を明確にしていき、見える化していった。
徳田選手:「「何歳まで生きたいか、子どもは何人ほしいか?」や「どういう選手になりたいか、何歳まで選手をしたいか、選手としてのピークをどこに持って行きたいか?」、そして「その為に今どうするか」など、細かい点まで阿部さんが聞いてくれて。そのおかげで、これまで具体的に考えたことのなかった自分の人生について、目標や夢など、しっかり現実をたどって設定できたので、長い人生と今とがつながるようになりました」
タイムラインを用いて、人生全体の目標(右)や競輪選手としての目標(左)を明確にした
得られた結果
■1つ上のレベルの選手達との戦いの中でも対応でき、成長も感じられた
A3班からA2班に昇班できたことは、1つ上のレベルの選手達と戦うことを意味する。だからこそ、昇班後はこれまでとは全く別物のレース展開が増えていく。だが、そんな厳しい戦いの場にも上手く対応していくことができ、自分の成長を感じられた。
徳田選手: 「明確になった目標に向けて「今すべきこと」を考えられるようになったのが大きいです。例えば、トレーニングのスケジュール化や、次のレースまでの期間の取り組みなどを、しっかり考え行動できるようになりました。先輩選手からの練習の誘いも「今日はこれをする予定なので」といい意味で断れるようになったり、トレーニングをしっかり自分のペースに上手く持っていけて、いいとこどりできているかなと思います」
コーチ補足
■今と未来、そして人生とのつながりを体感することで今の価値が変わる
阿部コーチ:今行っていることと、自分の未来や人生とのつながりが感じられると、「自分はこういう生き方をする為に、今この瞬間を生きているんだ」と、今と未来が一致してくるんです。それを体感してもらう為にタイムラインを行いました。まず時間軸を引き、人生全体と選手としての目標を、それぞれ意識化・見える化します。人生全体の目標としては「何歳まで生きたいか」や、「どんな人生を歩みたいか」、「どんな家族でありたいか」などを明確にし、次に選手としての目標としては「どこを目指すのか」、「どういう選手でありたいか」、「その先の自分の人生にどうつながっていくのか」などを明確にしていきました。そして、今すべきことを明確にする為に、次レースまでの日数・予定を踏まえ、行いたい練習を確認し、スケジューリングする。その上で身体の疲れ具合を見て、休みを取るか追い込むかを調整していくようにしていきました。
コーチングはさらなる問題を解決する。次は、最近の事例を