ON COME UP
#39 | Dec 10, 2018

フェンディやモスキーノからも支持される話題のファッショニスタ。日本のポップカルチャーを象徴するアイコニックな双子姉妹

Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Flower: Mami Yamamoto / Make-Up: Kaori Kubota / Hair: Kaori Miyake / Retouch: Koto Nagai

未来に向かって躍動する人たちをインタビューする“ON COME UP”。第40回目のゲストは、モデル・jouetieクリエイティブディレクターのAMIAYAさん。ピンク色のヘアスタイルに個性的なファッションが印象的な日本人双子姉妹が、有名ブランドや企業に注目され、今、世界のファッションシーンやSNSで話題になっています。「VOGUE」、「装苑」、「Numero」などの人気雑誌や、海外でもフェンディ、H&M/MOSCHINOなどのハイブランドにもフィーチャーされました。また、自身のファションブランド「jouetie(ジュエティ)」では、現在もクリエイティブディレクターを務めるなどされています。音楽シーンにおいても、DJとして様々なイベントに出演するなど、マルチに幅広く活躍。しかし、こうしためまぐるしい活躍の裏には、AMIAYAさんの並外れた努力と苦労、そして行動力がありました。浜松から上京して夢に向かって生活していたバイト時代のこと、双子としてどう世界に認められるかという葛藤、目的をどのように達成してきたのか、AMIAYAさんにとってのチャンスと成功についてなど、色々伺いました。
PROFILE

モデル/jouetieクリエイティブディレクターAMIAYA

TOKYOを代表するファッションアイコンとして活躍中のツインズユニット。 原宿のストリートスナップで注目を集めモデルとしてデビュー。活動はアーティスト、DJと音楽シーンへ展開し、日本のポップカルチャーを世界へ発信する存在となる。さらにクリエイティブディレクターを務める「jouetie」は幅広い層から支持される人気ブランドへと成長。ファッションと音楽を融合させた彼女たちの表現に、さらなる活躍が期待されている。

amiaya

小さい頃は、どんな子供でしたか?

AYA:恥ずかしがり屋。二人でいつもお母さんの後ろに隠れていました。でも好奇心旺盛で、幼稚園の頃はお母さんが昼寝してる間に二人で前髪を切ったこともあります。

AMI:幼稚園の入園式の前日、明日から幼稚園だと思ったらテンション上がって、前髪が立っちゃうくらいまで二人で前髪を切り合いっこして。それでお母さんにめっちゃびっくりされました。

AYA:恥ずかしがり屋だったわりには、お母さんに内緒で勝手にスーパーに行って、自分の好きなお菓子とかアイスとか買ってきちゃったりするやんちゃなところもあったと思います。

子供の頃になりたかったものはありますか?

AMI:PUFFYさんに憧れてました。上京しようと思ったきっかけも、二人でPUFFYさんみたいになりたかったからです。

PUFFYさんのどんなところに憧れてたんですか?

AYA:二人のキャラクターがアニメになったり、子供心をくすぐる要素がいっぱいあったし、曲も、ふわふわのヘアをしてジーンズ履いてっていうファッションも、とにかくアイコニックなのが憧れでした。

他に何か夢中になったものはありますか?

AMI:お洋服もメイクも、小学生の頃からオシャレするのが好きでした。昔、美容部員だったお母さんの持っていたメイク用品を使ってお互いやり合いっこして。小さい頃はお洋服を二人で共有してたので、お気に入りの服をいつもケンカして取り合ってました。

今もケンカします?

AYA:今一緒に住んでるし、仕事で仲良い友達も多いし、常に一緒にいるのでケンカはよくしますね。最近だとコーディネートを決める時にこっちの靴がいいと思うとか、小さなことでよくケンカします。

最後はどっちが折れるとか、終わり方は決まっているんですか?

AMI:その時々で違って、AMIが折れる時もあるし、AYAちゃんが折れる時もあって、「この前私が折れたから今日は強気に」みたいなバランス取りながら(笑)。

15歳で東京に来てからのキャリアはどう始まったのですか?

AMI:読者モデルだったりサロンモデルだったり、自分たちができることから始めました。自分たちを知ってもらう通過点として読者モデルをしていました。

その頃経済的には安定してたんですか?

AYA:大変でしたね。上京して一年くらいは、歌や演技のレッスンをしながらオーディションを受けてチャンスを掴みたいって思ってたけどなかなか難しかったです。

読者モデルとしては結構すぐ順調に行ったんですか?

AYA:いやいや、全然無理で。最初は東京でもカフェなどでバイトをしながら、少しずつ読者モデルの撮影ができるようになりましたけど、お金がなくてもセルフプロデュースして読者モデルとしてやっていくには洋服も買わないといけないので大変でした。

そこから本当にやりたいことだけでやっていけるようになったきっかけみたいなものはあったんですか?

AMI:徐々にモデルの仕事が増えて、渋原系の雑誌「PopSister」のレギュラーが決まって、自分たちの本を出版するって決まったのが20歳の時です。私たちがプロデュースしてるアパレルブランド「jouetie」がスタートしたのもほぼ同時でした。自分の私服でスタイリングして読者モデルをしていた雑誌を見て声をかけられて、まだ事務所に入ってないタイミングでブランドの話がスタートしたんです。

jouetie」はどんなブランドですか

AMI:ブランドコンセプトはミックスガールで、ストリートスタイルをベースにグランジやロマンティック、ヴィンテージスタイルなど様々な要素をミックスしたスタイルを提案しています。ルールにとらわれることなく、自由にファッションを楽しもうという想いを込めたブランドです。

そういう思いはどこから来ているのでしょう?

AYA:小さい頃から双子だからって一緒に見られるのが嫌で、人と違うことをしたいと思ってました。二人が一緒に見られているのがコンプレックスだったのかもしれない。「私は私」っていう考えは双子から来てるのかな。

ブランドでは、どういう役割をされているのですか?

AYA:クリエィティブディレクターとして、ブランドコンセプトからシーズンごとのコンセプト、ひとつひとつのアイテム、スタイリング、お店の内装まで全てのクリエイティブを考えています。

次のシーズン(2019年春)のテーマやポイントなどは?

AMI:テーマは「stereophonic」。毎シーズン、音楽にまつわる要素をコンセプトに入れています。2つの違う要素が一つに重なりあって音が響いていくようなイメージで、相反するものや様々なテイストの融合に、私たち二人のそれぞれの要素が交わって一つになり完成していく。時代が変わっても色褪せずに続いていく魅力や個性をコンセプトに込めています。

ファッションブランドを始めたきっかけは?

AMI:読者モデルでセルフプロデュースしてきた経験がそのままファッションブランドに繫がった感じではあるかなと思います。特殊かもしれないけど、自分のスタイルを持つことでそういうチャンスは巡ってくると思う。

AYA:自分たちの考え方次第で何にでも変えられるし、チャンスはいろんなところに転がってるから、一つの道だけじゃないですよね。自分の願望、行動力と信念を持って貫き続けることは大事だと思います。

AMI:その時自分がなりたいものに向かってどんな風に行動するか、今何をやったらそれが次に繋がるかを考えてきて今があるのかなって思います。

AYA:ファッション、DJの音楽活動、モデルのどれか一つ欠けても違って、洋服の良さも音楽の良さも、そういうスタイル全部含めてAMIAYAだから、表現する手段がたくさんあることが自分たちのカラーっていうか強みだと思ってます。

今までで一番しんどかったのはいつですか?

AMI:15歳の時も、24~25歳の時も、今までずっとしんどかった(笑)。大変なことは多かったけど、諦めないで続けてきたから今良かったなと思えることがいっぱいあります。

そういうしんどさからどうやっていつも乗り越えるのですか?

AYA:目標が常にあるから、そこに近づくためにどうしたらいいか考える。常に前向きではあります。

お二人は、1年半前くらいからそれまで別々だった髪型を全く同じにしましたが、何かきっかけがあったのですか?

AMI:海外でも活躍するファッションアイコンをずっと目標に掲げていたんですけど、2年前くらいにミラノコレクションに招待してもらって行った時に、世界のいろんなセレブとかインフルエンサーとかに会って、双子としての見せ方、AMIAYAとしての見え方を改めて考える機会があったんです。

AYA:その中で自分たちが人の目に止まるってなかなか難しいなってすごく感じたんですよ、埋もれちゃうから。そこで、双子という武器をもっとアイキャッチとして利用するために、髪の毛の色も髪型も全部一緒にしようと決めたことが転機になりました。

AMI:しかも、そのコレクションの帰りに飛行機の中でティム・バートンの映画「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」を観た時に、見た目が全く一緒の双子が出てきて、やっぱり双子は全く一緒の方が面白いって感じて。それをきっかけに、見た目を全く一緒にしようって決めたんです。

そうしたことで環境はどう変わりました?

AMI:やっぱり海外の仕事や目標としていた仕事が増えましたね。去年の9月はニューヨークのコレクション、今年の2月はパリとミラノに行って、そこから海外の仕事が増えていきました。自分たちがそこを目標にしてきたので、今ようやくスタート地点に立てた感じがあります。

これからお二人はどうなっていきたいですか?

AMI:やっぱり世界的なファッションアイコンになりたいですね。

世界を代表するアイコンって言ったら誰を思いますか?

AYA:ツインズだったらオルセン姉妹。私たちも、やっぱり双子と言えばAMIAYAって言われるようになりたいですね。目標が大きいです(笑)。

お二人のスタイルを言葉で表すとなんですか?

AYA:ミラー、シンメトリー。全く同じってこと。

お二人の存在がこれだけ注目されているのは何が理由だと思います?

AMI:カラフルだから(笑)。なんでだろう、珍しいのかな。日本人だけど、何者なのかわからない、宇宙人みたいな感じ。「どこの星の人?」みたいな、漫画から出てきたみたいな感じもあるって言われるし。

AYA:海外の人には“You look so manga!(漫画の登場人物みたい)”みたいなことを言われます(笑)。多分こういう感じでそっくりな双子が海外にいないんだと思う。”Kawaii“の要素もあるし、カラフルでクレイジーなイメージもあるんで、海外の人が抱く東京っぽさに通じるのかもしれません。

AMI:コケティッシュな雰囲気や髪型も日本人ぽいので、海外に行った時に引き立つのかなって。

でも歩いていたら二人ってすぐわかりますよね。どう隠してるのですか?

AYA:このままですよ。こういう格好で撮影現場に行くと、「その格好で歩いて来たの?」ってよく言われますけど、普段からこういう格好です。派手だから二度見されることも多いですけど(笑)、そういうのも気にしなくなりました。あと、海外によく行くようになって「そのスタイルかっこいいね」とか「髪の色綺麗だね」とか言ってもらえる機会が増えて、自分のスタイルを貫くところが海外では評価されるんだってわかって自信に繋がりました。

AMI:海外で褒めてもらうことが増えて潔さが出たかもしれない。自分たちの中でも吹っ切れました。「これが自分たちのスタイルです」って自信を持てるようになりました。

今世界的に注目される存在になったわけですが、世界にどういうメッセージを発信していきたいですか?

AMI:いくつになってもファッションもメイクも、いろんなことを楽しむというか、この歳だからこの服はちょっと…とかじゃなくて好きなものを貫くことの素晴らしさを、自分たちを通して感じてもらえたらなと思います。

AYA:私たちが何かきっかけを与えられる存在になれたらいいなと思いますし、あとはやっぱり海外に行くことがもっと増えて、私たちを通して日本を知ってもらうきっかけになればいいなって思います。

今年は活動の幅が以前より増したと思いますが、実現して嬉しかったことは?

AYA:海外だと例えばフェンディの撮影や、H&MとMOSCHINOのキャンペーンのルックブックをやらせてもらったり、日本ではVOGUEの撮影をしたり、私たちがやりたかったことができて嬉しかったです。

では、次世代のインフルエンサーはどのようにして作られていくと思いますか?また、彼らにとって必要とされることはどんなことだと思いますか?

AYA:やっぱりインスタグラムなどのSNSは続いていくと思うし、新しいメディアも出てくるだろうし、表現の一つとしてそれがテレビよりメインになっていくと思う。インスタから出てきたアイコンとかスタイルみたいなものがもっと増えていくと思うけど、それは架空の人物でもいいわけじゃないですか。そうなった時にリアリティーとかパーソナリティーが大事になってくるんじゃないかと思います。中身が濃いアイコンが残っていくと思うし、見極めが大事になっていくと思いますね。

ところで、小さい頃から影響を受けてきたアーティストはいますか?

AMI:小さい頃からいろんな音楽を聴いてるんですけど、すごい影響を受けたのはニルヴァーナとかセックス・ピストルズとか、ファッションに通じる人たちの音楽に影響を受けてます。

AYA:私もそうですね、あと、私は邦楽もすごい好きで、PUFFYさんとかJUDY AND MARYのYUKIさんとか、ファッション、特徴的な独特のスタイルがある人は、見た目含めてトータルで憧れます。

では、AMIAYAさんにとって理想の女性像とは?

AMI:芯があって、ブレない、自分のスタイルを持った強い女性に憧れます。いくつになっても年齢を気にせずに楽しんで、キラキラ輝いてる女性に自分もなりたいです。

AYA:私も全く同じなんですけど、クロエ・セヴィニーが「Age is just a number(年齢はただの数字です)」と言ってたのを聞いて、まさしくそうだなって思うし、私もいくつになってもファッションで自分自身もどんどん楽しんでいきたい。私たちのスタイルはそういう発想から生まれているし、これからもそういうスタイルでいきたいなと思います。

これから挑戦してみたいことは?

AYA:海外に行き続けること。ファッションウィークはミラノとパリに毎シーズン行きたいし、どっちも短期で一回ずつ住んでみたい。行くだけではなくて住んでみないとわからないことってあると思うので、一つでも多くの経験をすることが大事かなと思ってます。

他に住んでみたい国は?

AMI:一番はイギリスなんですけど、ニューヨークとかパワーのある活発な街に住んで、エネルギーをもらいたいなと。

社会で起こっていることで、気になることは何ですか?

AMI:オリンピックもあるし、日本にまつわる仕事ができたらいいなと思います。あとは地球に優しい素材を使ったお洋服など、地球環境を考えた取り組みは考えていきたいなと思います。

お二人のやっていることで、日本や世界が変えられるとしたら、どんなことだと思いますか?

AMI:自分たちのファッションを通して、「人と違うスタイルを持つことは素晴らしい個性なんだよ」っていうのを伝えられたらと思います。私たちがきっかけを作ることで、人と違うことを楽しめる女の子が増えていったらいいし、勇気を与えられる存在になりたいと思います。自由に表現する楽しさを知ってもらえるような影響は与えられるのかな。

AYA:自分たちが作ったお洋服を着ることで、明日が楽しくなったり、誰かの生活の中にちょっとした喜びや楽しみを与えられているとしたら、そういう意味では誰かの生活を少しでも変えられるのかな。憂鬱を吹き飛ばしたり、ちょっとしたことかもしれないけど。

AMI:私たちの作るお洋服を着たことで自分にちょっと自信を持てたり、お洋服やクリエィティブを通して少しでも誰かのパワーになっていたら嬉しいなと思います。

それでは、AMIAYAさんにとって成功とは何ですか?

AMI:心が裕福であることが一番の成功だと思います。お金よりも自分が幸せとか楽しいとか思えることが成功なのかな。 成功が何かって人の物差しじゃなくて自分の物差しで決めればいいと思う。人から見たら成功してるって思えても自分は成功してると思わないかもしれないから。それは自分の心が決めたらいいと思う。成功って自分では言わないことだし、一つの到達点でしかない気もします。

成功はゴールではないということですか?

AMI:ゴールを決めたくない。目標でいいと思う。

AYA:いつも何かしらの目標があって、それを一つ達成したらもう一つの目標、さらに上のものが見えてきたりとか、それを追い続ける人生ですね(笑)。

AMI:そのほうが楽しいですよね。それに、自分が成長するのかな。

3年後、5年後、10年後の自分はどうなっていると思いますか?どうしたらそれになれると思いますか?

AMI:3年後は結婚してたいな。二人で同じ時期に結婚したい。同じ時期に子供を産んで、双子マタニティーを撮るのが夢。

10年後は?

AMI:仕事も恋愛も、もう子供が生まれていて、子供も一緒に海外を飛び回る。とにかく好きなことをやっていたいですね。

AYA:今のこのスタイルを10年後も続けていたいなと思います。

AMI:でももうちょっとゆったりかな(笑)。

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