HIGHFLYERS/#26 Vol.3 | Nov 30, 2017

夢のような出来事だった矢野顕子と松任谷由実との共演。今まで4度経験した武道館は、やはり特別な場所だった

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka / Cover Image Design: Kenzi Gong

清水ミチコさんインタビュー3回目は、仕事を通して経験した喜びや葛藤についてをお話ししてくださいました。過去に武道館で4回ライブを開催されたほか、昨年は念願叶って憧れのアーティスト達との共演を次々と実現。子育てと仕事を両立させながら、芸能生活のキャリアを積み重ね、現在も第一線で活躍されています。テレビでブレイクした20代を経て、タレントとして活躍するようになった30代から40代、色々な悩みや葛藤を繰り返し、そのたびに克服して前進する力に変えてきた様子をお聞きしました。また、多くのことを経験された清水さんから、悩み多き女性へのアドバイスも伺っています。
PROFILE

タレント 清水ミチコ

岐阜県高山市出身。学生時代よりラジオ『オールナイト・ニッポン』、雑誌『ビックリハウス』等に投稿。1983年、ラジオ番組の構成作家を始める。次第に出演機会も増え、翌年からはテレビCMの声のキャラクターを務め始める。1986年、渋谷ジァンジァンにて初ライブ。1987年、フジテレビ系『笑っていいとも!』レギュラーとして全国区デビューを果たす。また、同年12月発売『幸せの骨頂』でCDデビュー。翌1988年スタートの『夢で逢えたら』にはダウンタウン、ウッチャンナンチャン、野沢直子とともにレギュラー出演、「伊集院みどり」のキャラクターが大ブレイク。以後、独特のモノマネと上質な音楽パロディで注目され、テレビ、ラジオ、映画、エッセイ、CD制作等、幅広い分野で活躍中。毎年の武道館単独公演も恒例となっている。近著に酒井順子氏とのリレーエッセイ集『芸と能』(幻冬舎)、『顔マネ辞典』(宝島社)、CDに『趣味の演芸』(ソニーミュージック)、DVDに『私という他人』(ソニーミュージック)などがある。

正直に堂々といることで強くなる。今も思い返す、20歳年下のマネージャーから言われた「気負けしないように」という言葉

今までのキャリアで印象に残っている仕事や、一生忘れられない出来事があれば教えてください。

5年前の矢野顕子さんのツアーに参加できたことはまるで夢のようで、「これでもういつ仕事をやめてもいい」って本当にそう思いました。それから今年の7月、ユーミンさんと初めて一緒にステージに立てたことがあったのですが、それもまた大きい刺激になりましたね。

2013年の年末に初めての武道館ライブを開催されてから今までに計4回やられていますが、武道館でのライブはずっと目標にされていたのですか?

武道館は多くの人が一つの目標とする場所なのかもしれないですが、私は目指してたわけじゃなくて、たまたま12月30日に武道館で予定されていたイベントがキャンセルになって私に声がかかったんです。最初はとても無理って思ったんですけど、結局椿鬼奴さんとか私みたいに音楽とお笑いの狭間みたいなことをやってる人をたくさん集めて、10組くらいで3時間ほど、フェスのようなライブをやりました。それは凄く楽しかったですね。その翌年からは単独でさせてもらうようになりました。

武道館での単独ライブ

やはり武道館は違うものですか?

そうですね。音響も凄くいいですし、お客さんが丸く囲んで自分を見ている感じもして、なんだか高揚するんですよ。凄く特殊な感じがします。ある批評家が新聞に「清水ミチコの武道館はなぜか密室芸っぽい」って論評を書いてましたね。

モノマネ界で成功する人と成功しない人の違いは何だと思いますか?

自分が成功してるとは思ってないけど、違いは芸能界が好きなのか、芸能が好きなのか、じゃないですかね。芸能界が好きでこの世界に入った人は、同じことを何度もやらされたりするので一年とかで飽きてしまうんだろうけど、芸能が好きでやってる人は面白くって止まらないんだと思います。

清水さんはお子さんがいらっしゃるそうですが、子育ての時期、仕事との両立はどうなさっていたのですか?

実家が商売をしていて、仕事と育児の両立が当たり前の環境で育ったせいか、悩むことはなかったですね。子育てで仕事をやめようなんて全く思わなかったです。

子育て以外の理由でも、この仕事をやめようと思ったことは今までなかったのですか?

30代から40代になる頃、「これで、仕事がなくなるな」って思ったことはありましたけどね。今日もバラエティーで一言も喋らなかったという時が続いて自信を無くしちゃって。お笑いとはいえ私はタレントでもあるわけですが、前に出しゃばるのは違うんじゃないかとか計算しているうちに、「あれ?今日も喋れなかった、どうしよう」ってなってしまった時がありました。タレントは自分を出さないといけないんですけど、その“自分を出す”ということがあまり上手じゃなかったんですよね。

それは何か解決方法があったのですか?

解決ってほどでもないんですけど、あまり考えすぎると自分の首を絞めてしまうので、やっぱり無責任にただ明るく楽しくやった方がいいんだってことを体感したという感じですかね。

芸能界という特殊な世界にいると、自分らしくいることはとても難しいように思うのですが、清水さんはいつ頃から自分らしくいられるようになったと思いますか?

具体的にいつとか何かはわからないけれど、自分に正直でいることや、どう見られても嫌われてもしょうがないという気持ちを持つと強くなるんじゃないですかね。きっと、中年になったことも大きいと思います。この間、初めてユーミンさんとお話できる機会があったんですけど、その時「今まで怒っていると思ってドキドキしてたんですよ」って言ったら、「私は愉快犯でやってると思ってたので、怖がってるなんて知らなかった」っておっしゃったんです。それを聞いた時、自分も怖がらずに堂々とやれば良かったなって思いましたね。パロディをする側は煙たがられても仕方ないのかな、と思ってましたが、一流のプロの方には瑣末なことに過ぎないのかも。

それぞれの年代で色々悩みを抱えている女性は多いと思うんですけど、各世代に対して思うことはありますか?

10代、20代は自殺率や鬱になる確率が高いって聞いたんですけど、自己卑下してみたり、自分で勝手に転んだりしてることが多いと思いますね。そういう人たちには、「中年になるともう笑い話だよ」って教えてあげたい。若い頃の自分にも教えてあげたいです。

結婚や出産、仕事との両立などで悩む30、40代の悩める女性たちには?

自分がやりたいと思っていることは、実は他人からこう見られたいと思う自分、例えば「私は子供がいて幸せなんですよ」っていう自分を演出したいだけなのかもしれない。本当にそれが自分の願望なのかというのを一回考えた方がいいと思います。

ふさぎこんでしまった場合、その状態からの脱し方はありますか?

私が40代の頃、私より20歳くらい若いマネージャーの女性に、あるドラマの撮影の直前に「みっちゃんは気負けする時が多いから、今日はこの俳優さんに気負けしないぞって思ってから出てください」と言われたことがありました。その時、そうやって自分に言い聞かせて臨んでみたら、実際気負けせずにいい感じでできたんですよ。だから、その言葉を今でも思い返すことがあります。そういう言葉を自分に言ってあげたらどうですかね。人って結構目の前の人に弱いから。

最近のお笑い界について感じることを教えてください。清水さんの若い頃と比べて変化しましたか?

私たちの時代は、コントは5分から10分くらいと、与えられた時間が結構長かったんですけど、ネット時代になった今は、30秒以内とか、長くても3分以内じゃないと視聴者がすぐに飽きるんですって。ネットは自分のスケジュールに合わせて見られるけど、テレビは途中から観てもよくわかんないっていう若い人もいるんだってね。選択肢が増えたのはいいことだし、昔のネタをネットで観てくれる人もいて助かっている部分もあるけれど、ネットのせいでテレビではもう長いネタができないのかと思うと、良いところも悪いところもあると思いますね。タ

大御所の清水さんが、若手から相談を受ける機会はありますか?

「あの女優にこんなこと言っちゃったんだけど大丈夫かな」とか、そういうことでお互いに相談することはありますけど、芸事の相談はそんなにないですね。やっぱり自分で考えていくことができないとダメな世界だから、アドバイスすることなんてないし、もししたら「うるせえ」って嫌われるわ、多分(笑)。やっぱり若い感覚ほど正しいんですよね、お笑いって。だからそこは口出さないです。

次回へ続く

1
 
2
 
3
 
4
 
 国民の叔母 清水ミチコのひとりジャンボリー

「 国民の叔母 清水ミチコのひとりジャンボリー」

ツアースケジュール

2017年
  • 11月03日(金・祝) 神奈川/相模女子大学グリーンホール 17:00開場/17:30開演
  • 11月12日(日) 岡山/倉敷市芸文館 15:30開場/16:00開演
  • 11月21日(火) 鹿児島/宝山ホール 18:00開場/18:30開演
  • 11月26日(日) 新潟/りゅーとぴあ劇場 15:30開場/16:00開演
  • 12月01日(金) 広島/広島NTTクレドホール 18:00開場/18:30開演
  • 12月08日(金) 北海道/わくわくホリデーホール 18:00開場/18:30開演
  • 12月10日(日) 宮城/東京エレクトロンホール宮城 15:30開場/16:00開演
  • 12月16日(土) 大阪/大阪国際会議場 グランキューブ゙大阪メインホール 15:15開場/16:00開演
  • 12月22日(金) 沖縄/浦添市てだこホール 大ホール 18:30開場/19:00開演
  • 12月24日(日) 福岡/福岡市民会館 15:30開場/16:00開演
  • 12月26日(火) 愛知/名古屋市芸術創造センター 18:00開場/18:30開演
  • 12月27日(水) 静岡/静岡市民文化会館 中ホール 18:00開場/18:30開演

「 国民の叔母 清水ミチコのひとりジャンボリー~祝 武道館5回目スペシャル~」

5回目の武道館公演、年末に開催決定!

2017年
  • 12月 30日(土) 日本武道館 15:00開場/16:00開演
    【問】キョードー東京 0570-550-799 チケット(税込)/指定席(お土産付) 6,500円

「 国民の叔母 清水ミチコのひとりジャンボリー RETURNS」

ツアースケジュール

2018年
  • 2018年2月4日(日) 岩手/盛岡市民文化ホール 大ホール 開場15:30/開演16:00
    【問】キョードー東北022-217-7788
  • 2018年2月9日(金) 埼玉/さいたま市民会館おおみや 開場18:00/開演18:30
    【問】ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-999
  • 2018年2月23日(金) 秋田/秋田市文化会館 大ホール 開場18:00/開演18:30
    【問】キョードー東北022-217-7788
  • 2018年3月2日(金) 千葉/千葉県文化会館  開場18:00/開演18:30
    【問】ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-999
  • 2018年3月10日(土) 愛知/名古屋市芸術創造センター 開場15:30/開演16:00
    【問】サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
  • 2018年3月11日(日) 兵庫/神戸国際会館こくさいホール 開場15:15/開演16:00
    【問】サウンドクリエーター 06-6357-4400
  • 2018年3月23日(金) 青森/リンクモア平安閣市民ホール 開場18:00/開演18:30
    【問】キョードー東北022-217-7788
  • 2018年3月30日(金) 東京/中野サンプラザ 開場17:45/開演18:30
    【問】キョードー東京 0570-550-799
  • 2018年3月31日(土) 東京/中野サンプラザ 開場14:15/開演15:00
    【問】キョードー東京 0570-550-799

チケット/全席指定¥5,800円(税込)
詳しくは清水ミチコホームページ 4325.net まで。

<2次先行予約受付詳細>

  • 受付URL:http://eplus.jp/4325hp2018-2/
  • 受付期間:2017年12月1日(金)12:00〜~2018年1月4日(木)18:00
    ※ 先着順となります。予定枚数に達し次第受付終了となります。尚、お座席は抽選となります。
    ※ 注意事項をご確認の上お申し込み下さい。
    ※ 毎月第1・第3木曜日2:00-8:00はメンテナンスの為、全ての受付が不可となります。

ARCHIVES