第10回川越コーヒーフェスティバルがまもなく開催!全国のトップロースター30店舗が集結し、Original Loveの田島貴男や関口シンゴ、NakamuraEmiが初出演。momijiとのスペシャルコラボレーションも実現(LEAVES COFFEE ROASTERS石井康雄スペシャルインタビュー)
2025/12/01

コーヒーを通じてさまざまなクロスカルチャーを生み出し、川越の街に新しい風を届けたい──その思いで2017年に始まった川越コーヒーフェスティバル(主催:川越コーヒーフェスティバル実行委員会/株式会社KAYAWORKS)が、今年ついに記念すべき 第10回 を迎える。会場は例年と同じく、室町時代から続く由緒ある 蓮馨寺。開催日は 12月6日・7日 の2日間だ。
10回目となる今年のテーマは 「good things haven’t changed」。変化の激しい時代の中で、最後に残る“良きもの”はいつの時代も変わらない──そんな思いを込めたキーワードとなっている。
今年のフェスも、まず注目すべきは 全国からトップロースターが集まる圧巻のラインナップ。海外でも絶大な人気を誇る「 LEAVES COFFEE 」をはじめ、競技会で常に上位に名を刻む 「豆ポレポレ」、「Bespoke Coffee Roasters」、「KONDO COFFEE STAND」 など、名実ともに実力派が揃う。さらに今年は、初参加の店舗が大幅に増えたことが大きな特徴。沖縄の「uki」、東京・馬喰横山の「テ」、新宿の 「Brewman Tokyo」、世田谷の 「your daily coffee」、山口県柳井市の 「FUJIYAMA COFFEE ROASTERS」、三重県鈴鹿市の「coffee uno」、茨城県水戸市の 「MOOD coffee & espresso」、「HITACHINO COFFEE」 、熊本の「JUNCTION COFFEE ROASTER」など、いま勢いのあるロースターが名を連ねる。
加えて、1回目から参加している Life Size Cribe や G☆P COFFEE ROASTER など、このフェスを支えてきた常連名店も健在。参加エリアは沖縄・熊本・福岡・山口・島根・兵庫・三重・石川・富山・静岡・茨城・群馬・神奈川・東京・埼玉と、まさに 全国津々浦々からロースターが川越に集結する。

当日は、毎年好評の 飲み比べチケットシール を購入すると、気になるロースターのコーヒーを自由に選んでテイスティングできる。今年は例年以上に個性豊かな味が揃い、コーヒー好きにとって 忘れられない10回記念の2日間になるはずだ。
フードも、今年は豪華で個性豊かなラインナップが勢揃いする。恵比寿の伝説的グルメバーガー 「バーガーマニア」 を筆頭に、昨年お昼すぎに即完売した 「コンビニエンスストア高橋」 がドーナツやパンを携えて再登場。昨年に続く2回目となる埼玉・小川町の 「KIKI WINE CLUB」 は、日本各地から選りすぐりのナチュラルワインを提供する。そして地元・川越からは 「カフェパトリシア」 が今年も参加。冬の定番・牛すじビーフストロガノフに加え、人気のレモンケーキや限定タルトなど、コーヒーに寄り添う焼き菓子を幅広く展開する予定だ。
さらに、年々華やかさを増す音楽ライブも、10回目にふさわしい特別な顔ぶれが揃った。今年はなんと、Original Love の田島貴男 が初登場。さらに6回目となる 奇妙礼太郎、ギタリスト/プロデューサーとして国内外で活躍する 関口シンゴ、力強い言葉と歌声でファンを魅了する NakamuraEmi、ジャズ界大注目の実力派デュオ Ema × 井上銘、透明感あふれる歌声が魅力のルイ が出演する。コーヒー片手に楽しむライブは、きっとこのフェスでしか味わえない“特別な時間”になるはずだ。

上段左→右:田島貴男、 NakamuraEmi、奇妙礼太郎 下段左→右:Ema、井上銘、関口シンゴ、ルイ
また今年は、初のコラボレーション企画として、ライフスタイルブランド 「momiji」 との特別プロジェクトが実現した。momijiは、俳優・松山ケンイチ氏が代表を務め、自然や伝統のなかで活かしきれない素材に光を当て、クラフトマンシップで新たな価値を生み出すブランド。今回、momijiが川越コーヒーフェスティバルのためだけに開発したオリジナルストラップを制作。飲み比べ用マグのための専用デザインで、鹿革や真田紐といった伝統素材を活かした特別なプロダクトとなっている。

松山ケンイチ氏が代表を務めるライフスタイルブランド「momiji」が、川越コーヒーフェスティバルのために開発したオリジナルストラップ
このストラップが、フェス会場を彩り、参加者が襷のように肩からかけることで、会場の景色そのものがひとつの“カルチャー”として立ち上がる。10回目にふさわしい、新たな試みだ。
そこで今回は、川越コーヒーフェスでも圧倒的な人気を誇る LEAVES COFFEE・石井康雄氏 に特別インタビューを実施。一年を振り返りながら、競技会への挑戦、今後の展望、そして川越コーヒーフェスへの思いを語っていただいた。
初出場で準優勝の快挙も、“勝ち”にこだわりすぎた結果と振り返る。百年企業に向かって航海を続けるために、リーブスが唯一無二のブランドとして大切にしていること

—今年は石井さんにとって、ビッグウェーブのあった年だったと想像します。改めて、一年を振り返っていかがですか?
はい、やはりJBrC(ジャパンブリュワーズカップ)出場ですね。一年半前から準備していました。その間は、ほとんど休みらしい休みがなかったです。
—なぜ出場しようと思ったのですか?
これまでリーブスブランドとして、世界中からたくさんの評価をいただいていたにも関わらず、うちにはなにもタイトルがない状態で、コーヒーが1人走りしている気がしていました。「美味しいよ、美味しかったよ」が無限に広がっていくなかで、やっぱり本当に美味しいコーヒーがチャンピオンのコーヒーなんだよっていう証明がしたかった。 それに、ずっと掲げている「百年企業」という目標を考えたとき、後世に残せる確かな説得力が必要だと思ったんです。
—数ある競技会のなかで、ブリュワーズを選んだ理由はあったのですか?
競技のプレゼンでもお話ししたんですけど、僕はプロボクサーの道を諦めたり、レストラン経営の山あり谷ありを経験するなかで、人生のどん底で本当に生きる希望を失ってしまったことがあったんです。でも、2010年に飲んだある一杯のコーヒーに出会えたから今がある。コーヒーがいつでもそばにいてくれて、勇気をくれる存在だったんですよね。じゃあそのコーヒーって何だったんだろうと振り返ってみたら、フィルターコーヒーだった。だから、「フィルターコーヒーの世界で世界一になろう」と思ったんです。

Photo: SCAJブリュワーズ委員会
—そうだったんですね。でも、経営者で人気ブランドを背負っている人が大会に挑戦するのは、かなり無謀なチャレンジのような気がします。何かを大きく変えていかなきゃいけなかったんじゃないかなと思いますが、いかがですか?
まさにその通りで。体はひとつしかないし、焙煎もやって、経営もやって、そのうえで大会にも出るとなると、心が壊れてしまうんですよね。だからまずは、スタッフをロースターとして育てて、コーヒー以外の業務全般をほぼブランディングマネージャーに任せて、僕がとにかくコーヒーを淹れることに専念できる環境を、チームで作っていきました。そこは本当にみんなに助けられました。
—予選で落ちる人がほとんどのなか、初出場で決勝に行き、さらにあの強豪メンバーのなかで準優勝って、本当にあっぱれだと思うのですが、やはり悔しさが勝りますか?
皆さんにもそう言ってもらえるんですが、自分としては悔しさより、正直、大会が終わってからしばらく心が壊れてしまった感覚がありました。プロボクサーの時と同じ状況になってしまって。我々だけじゃなくて、全世界のいろんなブランドやチームにサポートしてもらって、たくさん力を貸してもらったのに、自分が練習通りの100パーセントを出し切れなかった部分がすごくあって、「申し訳ない」という気持ちのほうが大きかったですね。
—出しきれなかった部分とは、具体的にどこだったんですか?
オープンサービスでは、ありがたいことに1位は取れていたんですけど、実際にはプレゼンのなかで重要な部分が飛んでしまって。自分の体感としては65点くらいでした。あれだけ練習して、プレゼンも完璧にできる状態まで持っていっていたのに……と思うと、もちろん緊張もあったんですが、やっぱり“勝ち”にこだわりすぎていたんですよね。本当は己との闘いなのに、結果に意識が行きすぎていて、ちゃんと己と闘えていなくて。勝ちにこだわりすぎた時点で、すでに負けていたんだと思います。

—競技会に出る前と後で、自分が大きく成長したなと思うのはどんな部分ですか?
コーヒーのスキルですね。競技会に出る前は、自分たちが淹れるコーヒーは、これ以上ないくらい美味しいと思っていたんです。でも、世界一を目指してもっともっと高みを目指していくなかで、「こんなアプローチがあったんだ」と気づかされることが多くて。味全体もそうですし、淹れ方もそうですし、あらゆる部分で更新されていきました。
—大会前から十分美味しかったけど、また新しいリーブスの味になったのですね。ところで、世界一へのチャレンジは続けますか?
実はまだ、競技会に出られる心には完全には戻っていないんです。でも、おかげさまで素晴らしいスタッフに恵まれているので、またやろうとは思っています。とはいえ、今すぐ練習を再開しているわけではなくて、まだリハビリ中という感じ。 僕は多分すごくセンシティブで、心も体も目に見えないものをキャッチしやすいタイプなので、まだ完全には戻ってきていないですね。
—でもやっぱりトップに行く人はそういう人なんじゃないかなと思います。競技会に出るにあたって、意識的に生活も変えましたか?
よりストイックになっちゃいましたね。決めごとがかなり増えました。白米は食べない、グルテンは摂らない、不摂生をしない、早寝早起き、お酒は飲まない…。なんだろう、世間一般的に見たら、どんどんつまらない人間になってきてると思います(笑)。
—なんかもう仙人のよう。競技会を拝見して、ちょっと神々しい感じになってきてるなって思いました。
完全に見た目も仙人みたいになってきてますよね(笑)。

—ところで、なぜリーブスさんは海外でそんなに人気が高いと思いますか?
なんでしょうね。僕の中では大きく二つ理由があると思っていて。ひとつは、本当にプロダクトに対して「クオリティファースト」というコンセプトのもと、やり続けていられていること。だからコーヒーがひとり歩きしてくれている部分がある。もうひとつは、ブランディングマネージャーの存在ですね。海外に対しても、日本に対してもそうですけど、彼女の発信力と動き方の力がすごく大きい。その二つが大きな理由かなと思います。
—ブランドとして、ちゃんと確立し続けていくために大事にしていることはありますか?
「てんびん」を必ず持つようにしています。コーヒーを買うにしても、プロモーションをするにしても、イベントに出るにしても、何か発言をするにしても、「それをすることで世界チャンピオンに近づくか、近づかないか」という二つのてんびんだけで考える。すごくシンプルで決めやすいです。我々の場合はたまたま「世界チャンピオンかどうか」という軸ですけど、それは別にお店によって何でもよくて。その二択さえあれば、何も迷うことはないと思っています。
—ブリュワーズに出場するにあたり、ORIGAMIさんとドリッパーを共同開発されましたね。
コーヒーを徹底的に研究していくと、温度や挽き目以上に“抽出時間”が味を左右する一番の鍵だと分かったんです。ただ早く落とせば薄くなるし、時間が長いとネガティブな味が出てしまう。「良い部分だけを短時間で出しきるドリッパー」 が必要でした。そこで、まず理想の味を決めて、その味をつくるための形状をORIGAMIさんとは試作と修正を何度も繰り返して、一年半かけて探り続けました。完成したドリッパーのポイントは 55度の角度とリブの形状。通常より角度が急で、落ちるのが早い一方、オーバーエキストラクションにもなりやすく、扱いは難しい。でも径が小さいので、お湯に浸る時間が短く、不均一は出にくい。「早く、均一に、良いところだけ抽出する」ための独特な構造です。
一95度の高温で入れていたのも印象的でした。
本番では鉄を混ぜた釉薬の磁器を使いました。鉄が入ることで熱の上がり方も保持力も向上し、より安定した抽出ができる。技術的にはかなり難しいドリッパーですが、本当は世界中の人に使ってほしいし、“誰でも美味しく”にも近づけていきたいと思っていますし、これはバージョン1で、今後はバージョン2やサーバー、カップまで展開していけたらと思っています。

—今、石井さんはコーヒー業界をどう見ていますか?日本と海外で感じる違いはありますか?
日本の素晴らしさは、フィルターコーヒー文化が圧倒的に発達しているところです。海外でこのフィルター中心のスタイルがどう受け入れられるのかと思うこともありますが、日本のレベルは本当に高い。例えばフランスの卸先「Motors Coffee」では、一日に何百杯も出る中で、フィルターの注文は10杯ほど。ほとんどがエスプレッソです。一方、うちでは9割がフィルター。これは日本ならではの文化だと思います。だからこそ、この日本で育ったスタイルをそのまま海外で展開してみたい気持ちもあります。このパッケージをどう魅せられるのか挑戦したいですね。
—ブランド立ち上げ時から「町のロースターから世界へ」というコンセプトを掲げて、今その世界の頂点へ一歩ずつ近づいている気がしますが、今後の展望は?
準優勝もありがたいですが、いつか世界一を取れたら、コーヒー業界の価値観を変える瞬間をつくれるかもしれない。そう思うと自分でもワクワクしますし、そう言っていただけるのは本当に嬉しいです。
—石井さんにとって、チャンスとは何ですか?
チャンスとは「生きていること」、そして「健康でいること」です。やりたいことは、健康でなければできない。年齢を重ねれば体も変わるし、それに合わせて自分を整えていく必要がある。だからこそ、やりたいことに全力を注げる体と心でいることが、僕にとってのチャンスなんだと思います。健康を失ったら、そのチャンスも失われてしまうので。

—では、成功とは何ですか?
成功とは、誰かの人生を変えられた時かな、In a good wayで。僕にとってはそれが一番の成功です。
—そういう意味で、成功したことはありますか?
数はまだ多くないんですけど、僕のコーヒーを飲んで「会社を辞めてコーヒー屋を始めました」という方が何人もいます。その人たちが本当に幸せそうに毎日を過ごしている姿を見ると、ああ、これが自分の生きる使命なんだなと感じるんです。この「人生が変わった人」の数は、僕が世界チャンピオンになり、リーブスが航海を続けていくことで、もっともっと増えていくはず。その数が数え切れなくなった時、きっと僕は「人生、大成功だったな」と思えるんだと思います。
—素敵ですね。ところで、来月の川越コーヒーフェスティバルについてお聞きしたいです。石井さんにとって川越コーヒーフェスとはどういう存在ですか?
いや、川越はもう本当に特別ですね。今年はどのコーヒーフェスにも出られていないんですけど、なんとか川越だけは、とスタッフとスケジュールを調整しました。別に誰かと群れるためでもないし、ただイベントに出たいからでもない。でもよく考えると、さっき話した「僕のコーヒーで誰かがハッピーになる瞬間」が、川越では特に多い気がするんです。他のフェスにもコーヒー好きの方は来てくれますが、川越は特に、いろんなコーヒーを飲み比べて心から楽しんでいる人が多い印象で。その空気がすごく好きで、そこに自分たちのコーヒーを届けられるのが嬉しいんです。
ーそれをお聞きして、私もとても嬉しいです。
来場者が我々のコーヒーを受け取って、ブースの近くで一口飲んだ瞬間に「うーわぁ…!」と声をあげてくれることがあるんですよね。その顔を見ると、僕も思わず同じように「うーわぁ…」ってなってしまうんです。それが本当に嬉しくて。自分だけが満足しても喜びは80点くらいで止まるんですけど、誰かが心から喜んでくれた瞬間に、はじめて100点になるというか。自分の行動が誰かの幸せにつながっているのを見ると、「ああ、やってよかったな」と心から思えるんです。そして、その100点の瞬間をたくさん感じられる場所が、川越コーヒーフェスだと思っています。
Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka

川越コーヒーフェスティバルvol.10
【日時】12月6日、7日 【場所】蓮馨寺(埼玉県川越市連雀町7-1) 【入場料】1000円 プレミアムチケットなどあり
【出演アーティスト】関口シンゴ、田島貴男(Original Love)、奇妙礼太郎、NakamuraEmi、Ema x 井上銘、ルイ