今後の目標は自分が主体のドキュメンタリー映画を作ることと、海外のオーディション番組に出ること。日本人のマジックに対する見方や考え方を変えていきたい
―慶祐さんは船橋のご出身で、小さい頃から船橋大神宮に来ていらっしゃるそうですね。
はい、七五三はここでしましたし、毎夏船橋市で行われる本町祭りは、この神社からスタートしていて出店も多く出るので、毎年恒例で遊びに来ますね。
―この神社で一番古い記憶で覚えている思い出はなんですか?
多分幼稚園の頃だったと思うんですけど、相撲好きのおじいちゃんと土俵で相撲をとって遊んだことです。うちは母子家庭で、母が仕事で忙しかったので、ずっと祖父母が僕の面倒を見てくれていました。今年の春に、芸名をK-SUKEから白百合慶祐に変えたんですが、白百合は当時祖父母が経営していた化粧品店の名前なんですよ。

―そうなんですね。ちなみに神社には今はどのくらいの頻度で来ていますか?
年に2、3回くらいですね。大神宮様にお参りに来てお願いすると、大きな仕事が決まることが多いです。お参りする時はいつもつけているネックレスにパワーを注いでもらうようなイメージを頭の中でします。僕にとってお参りとネックレスは結構大事なセットなんです。
―ネックレスは昔からつけていたものなんですか?
そうです。ブルガリで見つけたもので、いい仕事に恵まれるようにと、げん担ぎで買ったんです。そうしたら、その後いろんな媒体に出る機会を頂いたりして、仕事の幅が広がりました。
―太陽のモチーフなんですね。
その頃結構ネガティブ思考で明るくなりたいと思っていたので、太陽っていいなって思って。

―毎回この神社に来た時はどんな風に回りますか?
結構特殊なんですけど、僕が小さい時に、一人っ子の僕に弟代わりにとおばあちゃんが買ってくれた狐のリュックがあって、今でも大事にしているんですが、お参りする時は一緒に来ることが多いです。「こん吉」っていう名前で、本当に家族の一員みたいな存在なんです。まずお稲荷さんが祀られているところに挨拶をして、その後お参りする感じのルーティーンですね。
―素敵ですね。
祖母が認知症になってしまった時も、ダメ元でこん吉を持って行ったら急にしっかりして、「けいちゃんが来た、支度しなきゃ」って言い出してすごいびっくりしました。こん吉がいれば記憶が戻るというか、家族のみんなが繋がる何かなんだと思います。
―船橋大神宮からはどんなエネルギーを感じますか?
鳥居をくぐった瞬間から別世界に飛び込むような感じで、エネルギーをもらうというよりは、自分の中に溜まった悪いものを洗い流してくれるような感覚があります。そして、「頑張ってきなさい」って背中を押されるような、姿勢を正してくれる感じもありますね。

―では、最近の活動について教えてください。主にどんな活動をされていましたか?
名前を白百合慶祐に変えたタイミングで YouTube を始めたり、色々リニューアルしました。あと、マジシャン仲間から声をかけてもらって、7月から2ヶ月半ほどオーストラリアに行って、色々な箇所でショーをしました。
―どうでした?
昔マジック修行で外国を回っていたし、英語は結構勉強してたんで大丈夫と思ってたんですけど、なまりが聞き取れなくて最初は苦労しました。ただ、オーストラリアの方は優しくて、僕の言おうとしてることをちゃんと聞こうとしてくれるので助かりましたね。他に感じたことは、声が大きい方が多く、会場のBGMも大きいので、自分も声を張り上げて喋らないといけなくて、喉のコントロールが本当に大変でした。
―色々な出会いがあったと思いますが、特に印象的なものはありましたか?
ショーを観に来た男の子でマジックにハマった子がいて、会場で売っていたマジック用のトランプをお母さんに買ってもらって、出来ないながらも必死にやろうとしていたんです。すごい簡単なマジックを教えてあげたらめっちゃ喜んでくれて、僕も嬉しくなりました。そうしたら何と翌日偶然スーパーでその子に遭遇して。ご縁を感じましたね。他は、出会いではないけど、一緒に行った日本人のマジシャン達と現地で共同生活をして、今まで知らない面を知れて、より尊敬できるようになりました。滞在の終わりにみんなでお揃いのブレスレットを買って、また一緒にオーストラリアに来れたらいいねって話しをしてたら、本当に来年行けることになったんですよ。
―それは楽しみですね!ところで、いつもマジックのアイデアはどうやって考えるんですか?考えるのはやっぱり難しい?
自分的にはそんなに難しくなくて、結構思いつく方だと思います。まずは目に入ってくるもの、例えばフォークでもカップでも、ボイスレコーダーでも何でもいいんですけど、それらを使って何かをできないか考えます。そして何が人を不思議に思わせるのかを考えて、その先はアイデアを枝分かれさせて練っていく。あとは、マジックってセリフが結構大事なんですけど、セリフに関してはシャワーを浴びてる時に考えます。中学生の頃からずっとそう。シャワーはアイデアの宝庫なんです。

―技術においては、スキルアップさせるために日々努力していることはありますか?
技術に関しては反復練習しかないですね。人前でやるって、やっぱりとても難しいんですよ。新しいテクニックを実践する時は独特の緊張感がありますし。お金をもらってやる以上失敗は許されないので、ひたすら練習して、人前でやりながら成長していくしかないです。
―逆にやらないように気をつけていることはあります?
練習の時になるべくまばたきをしないこと。あと、人前でやる時は、お客様が傷つくようなことは絶対言わないように気をつけます。何がトリガーになるかわからないので。自分がもともとネガティブ思考な人間だったから、その辺の察知は結構いいかもしれないです。
―ネガティブ思考には全く見えないですが、そうだったんですね。
前はなんでも一旦暗く考えちゃう性格でした。でも、お客さんは元気になったり楽しみたいと思ってマジックを観に来ているのに、自分がテンション低かったらアウトだなって思って、それから変わりました。
―では、最近の慶祐さんの人気マジックについて教えてください。
シェイカーカクテルを使ったマジックと、親友のマジシャンと一緒に考えた、香りを使ったマジックです。お客さんからは今までと全く違うリアクションをもらえるので、やってる方も楽しいですね。

ー今後の目標は何かありますか?
自分が主体のドキュメンタリーを作ることです。映画みたいな自分のマジック人生を映像として残せたらなと思います。それともう一つは「America’s Got Talent」や「Fool Us」など、海外のオーディション番組に出たい。それと、海外でいろいろ活動してみて、やっぱり日本はまだマジックが生活に根付いてないといないと思ったので、そこは変えていきたいと思ってます。
―7年前にインタビューさせていただいた時にも同じことをおっしゃっていましたよね。日本と海外では観客の反応は違いますか?
違いますね。海外はマジックも演劇とかと全く同じで、エンターテインメントとして捉えていて、楽しんでちゃんと観ようっていうマナーがあるんですけど、日本はどうしてもトリックを見破ろうとか、そういう気持ちで観る方が多いように思います。僕は今後輩の育成もやっていて、マジックだけでなく、ダンスやミュージカルで得たノウハウもどんどんシェアしてます。いいマジシャンが増えることで、いいお客様も増えていけばいいなと思ってます。
―マジシャンになりたいという若い方は増えているんですか?
最近はちょっとずつ増えてるとは聞きます。タネを覚えられるしラッキーみたいな感じで始める人もいれば、途中から更に目覚めて上を目指す人もいるので、いいマジシャンが育つといいですね。

―でも、いいマジシャン が増えるとライバルも増えますね。
確かに増えますけど、ライバルがいなかったら自分も見てもらえないことに気づいたので、今はいてくれることに感謝してますし、敢えてなるように育成してる部分もありますね。中にはひどいことをしてくる人もいますけど、そういう時は弁護士を雇ってちゃんと法で対応します。マネージャーさんや自分を応援してくれる人がその対処で大変な思いをするくらいなら、そこは自分でお金をかけてちゃんとオフィシャルに戦って、勝てば今後のお守りにもなるし。
―では、尊敬するマジシャンはいらっしゃいます?
メディアには出ないのであまり有名な方ではないですけど、自分がマジックショーを10年位やらせていただいてるマジックレストラン銀座GIOIA(ジョイア)のオーナー兼マジシャンの、龍野洋介さんという方です。その方は、もっとマジックを普及させていこうと多くの後輩を育てていらっしゃって、僕はその意思を継いでいるところがあります。
―日本のマジック界の未来、期待してます。それでは最後に、慶祐さんにとって成功とは何か教えてください。
誰かの記憶に残るマジシャンになることです。自分が小さい時に初めてマジックを見て衝撃を受けたマジシャンを未だに探していて、いつか会えたらいいなと思い続けています。ちなみに僕がオーストラリアで出会った少年に教えたマジックは、その方から教えてもらったものなんです。いつか自分をきっかけに、マジシャンになったという人に出会えたらすごい嬉しいです。あとは、日本で一番稼げるマジシャンになることですね!

意富比神社
住所:千葉県船橋市宮本5-2-1 電話 : 047-424-2333(電話受付 9時~17時)
http://www.oohijinja.jp/