【計画を立てる】〜逆算思考で長期的かつ具体的なプランを計画〜
目的が明確になった次に重要なのは、計画。行き先が分かっても、そこへ行くために何が必要かを分からなければならない。それまで行き当たりばったりの発想で行動していた高木選手は、未来の「目標を実現した自分」をイメージすることで、そこへ行き着くための具体的な計画を立てる方法を身につけていった。
抱えていた問題
■具体的な計画が思い浮かばない
目的が明確になった次に大事なのは、行動に移すことである。「パラ五輪で金メダルを獲る」という目標に向けて、達成するために何が必要なのかを考えた。
高木選手:2020年に向けて、長期的な練習プランを立てた方が良いことは分かっていても、実際に具体的な計画の立て方が全く浮かびませんでした。今まで成り行きの人生だったので、*逆算思考が自分にはなかったのです。パラカヌーに対する知識も浅く、ほとんどゼロからスタートした僕が、2年間でパラ五輪に出場するというのは無謀かもしれないですが、必ず達成するためにはどうしたら良いかを水崎コーチと考えました。
*逆算思考とは:ゴール(目標)を先に想定して、そこに到達するために、現在とゴールまでの過程でやるべきことは何か、どのように進めて行くかを逆算してプランを考える思考方法
コーチング風景。鵜原海水浴場にて
解決方法
■未来の自分をイメージし、今何が出来るのか、逆算思考で計画を立てる
達成したいゴールがあった時、そこに行き着くには、具体的な計画があると行動がよりしやすくなる。高木選手は、初めて逆算思考を知り、セルフイメージを変える方法を使って長期的な計画の立て方をマスターした。
高木選手:金メダルを獲るために目の前の練習をこなしていくだけではなく、予め、「金メダリストの身体はどんなものなのか?」「チャンピオンのパフォーマンスはどう素晴らしいのか?」というように、イメージを膨らませました。次にそれらを元に自分を主役にして「東京パラ五輪で金メダルを獲っている自分はどんな自分なのか」を想像し、そしてそれまでの日々を振り返って、「いつ、どんなことをしてきたからこそ、金メダルを獲れたのか?」と、現在までの日々のプランを逆算する「逆算思考」を行いました。
逆算思考を用いてタイムラインを作成
得られた結果
■金メダルを獲得するまでの長期的プランを計画する
逆算思考とセルフイメージを変えて、それまでにない考え方をした高木選手。それによって、現在から考える「積み上げ思考」の時には出てこなかった視点やアイデアがどんどん出てくるようになった。そして、自分に必要なものやゴール達成に向けて、長期プランの明確化を果たした。
高木選手:金メダルを獲った前提で、獲得までの日々の中で「どんなチャレンジをしたから?」「いつ何に取り組んだから?」と、未来から現在という時間軸の中で起きている出来事を認識していき、具体的な長期プランの鍵を見つけていきました。その時のセルフイメージは、未来の金メダルを獲った自分でしたが、その自分と今の自分とでは、考えることや、やっていることが全く異なります。鮮明に未来をイメージしていくことで、パラ五輪までの限られた期間内で、一番重要となる練習メニューや、トレーニング内容に、優先順位をつけることができました。
コーチ補足
■セルフイメージを作り変えると、計画やアイディアが変わる
水崎コーチ:「逆算思考」と「メンタルマネジメント」の著者、ラニー・バッシャムの「セルフイメージを作り変える」という方法を用いました。今の「何もできない自分」の視点から、未来の「チャンピオンの自分」の視点に切り替えることで、セルフイメージは変わっていきます。金メダルを獲った時の自分の思考パターンと行動パターンをイメージし、意識に変化を促すことで、セルフイメージが変わっていき、金メダル獲得のための計画やアイディアを、自ら出せるようになったのです。
コーチングはさらなる問題を解決する。次は、最近の事例を