【リフレーミングで自分の潜在能力を引き出す】~今備わっている要素のみをフル活用して最大の力を発揮する方法~
2017年の1月からコーチングを受け始めて9ヶ月が経過した。その中で篠原選手にとって一番印象的だったセッションは、恐らく自分一人では気付けなかっただろう、自分の強みを発見したことであった。
抱えていた問題
■勝敗に捉われてしまう葛藤から抜け出せない
2017年から「先にポイントを取った方が優位になる」というルール改正があったため、自分の得意なカウンターを使った戦術を変えていく必要があった。その時にどうしても攻撃する方に意識が行き、勝敗に捉われてしまったと語る。
篠原選手:試合中、勝負を捨てることが大切だとわかっているにも関わらず、勝ちたい思いが優先してしまいました。自分から攻撃しに行こうとしても、行ったら逆にやられるんじゃないかと弱気になってしまい、目の前の相手にではなく結果に意識が向いてしまって。分かっていても、どうしても勝ち負けを意識してしまうんです。
解決方法
■得意技以外の自身の強みを思い出し、自信を取り戻す
具体的に試合の場面を思い出しながら、自分が攻撃できている時はどんな動きでどのような技の入れ方をしているのかを確認してみた。すると、無意識に体が反応する感覚だけで、自分の思い通りの技が出せている時もあることに気付いた。
篠原選手: コーチと一緒に試合の場面を思い出して、体を動かしながら実際に自分が気付いていない強みを探していきました。するとカウンター以外で決めている技がいくつもあって、なんとなく自然体で動いてポイントを取っている時があることに気付いたんです。自分で思っていた得意である技以外に、“感覚で反応して出す技”があることに気付けて自信に繋がりました。
阿部コーチとセッションの模様
得られた結果
■フラットな状態で試合に臨むことができた
カウンター以外でも決めている技があるのを自覚して、戦術に対する視野が開けたそう。6月上旬のアジア選考会では、積極的にカウンター以外の技も入れていったと語る。
篠原選手:6月のアジア選考会では「カウンターだけでしか点を取れない」という思い込みがなくなっていたので、勝ち負けに拘らずフラットな状態で試合に臨むことができました。ファーストポイントを取ったり、蹴りを入れて大きく点差を離したりもしましたが、結果的に負けてしまいました。ですが、自分のスタイルや勝負に拘らず、試合に挑んで技を出していけるようになれたことは大きかったです。そして、今後は“ファーストポイントを取った後に攻撃を入れられても、焦らずに気持ちを切り替える”という新たな課題が見つかりました。
コーチ補足
■リフレーミングで思い込みを外し、戦術の可能性を広げる
阿部コーチ:篠原選手の強みであるカウンター以外の技で、良い動きからポイントを取ったことがあるか確認してみたところ、感覚で反応している技でもポイントを決めている時があることに気付きました。このように、「自分はこれしかできない」というような思い込みを変えることを「リフレーミング」と呼びます。自分の思考の枠を外して俯瞰して自分を見ることで、今までに見えなかった様々なことに気付くことができるのです。篠原選手の場合は、それまで見落としていた技を自分の強みにするよう意識的に練習に取り組み、新たな自分で勝負に挑むことができるようになりました。
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