クリエイター達のスペシャルインタビュー。コロナウイルスの影響で受けた打撃や今後の業界の変化、気づいた大切なこと Part 1

2020/05/05

世界中に大きな影響を与えた新型ウイルスコロナウイルス。先日、日本では全ての都道府県に対して5月31日まで緊急事態措置を延長することが決定され、先の見えない状況はまだしばらく続きそうだ。

自粛が続く中、きっと多くの人が不安な気持ちを抱えながら、いろんなことに想いをめぐらし、毎日を過ごしていることだろう。そこでHIGHFLYERSは、これまでの出演者たちをインタビューし、どのようにして現状に向き合っているかや、コロナを通して改めて気づいたこと、携わる業界の変化、今後挑戦したいことなどを聞いた。Part 1に登場するのは、株式会社アイケイジー代表取締役 / 建築家 / デザイナーの池貝知子、DJ/音楽プロデューサーの須永辰緒、そしてスポーツジャーナリストのフローラン・ダバディの3名。

 

■ 池貝知子 株式会社アイケイジー代表取締役 / 建築家 / デザイナー

―最近はどんなことをして日々を送っていますか?

コロナ禍でも仕事はなるべくペース維持できるようにしています。出かけられないGWは、すっとやりたかったベランダ菜園でハーブを育てることにチャレンジ。それから、レバーパテを作ってみました。

ベランダ菜園(左)とレバーペースト(右)

―人との接触ができない中、オンラインでしている活動があれば教えてください。

仕事以外には特にやっていません。

―あなたが携わっている業界はどのような打撃を受けていますか?

プロジェクトが中止になったりしそうですが、建築業界には打撃がまだまだ先に来ると思います。

―その業界は今後どのように変わっていくと思いますか?

商業施設の新設は当分ないと思います。ネット販売だけでも十分にものが売れるようになってしまうと、今までの商業施設のあり方は大きく変わってくるでしょうし、デザインも大きく変わるはずです。設計事務所も、在宅組と出社組とで、役割分担も明確に変わってくると思います。

―コロナを通して気づいた大事なことはありましたか?

普通の生活のありがたさ。ちゃんとご飯を食べるとか、ちゃんと寝るとか、自分のペースを大切に生きていかないといけないということ。

―自分と向き合う時間が長いと、自分がどんなことが好きなのかわかるようになると思いますが、新たに知った自分について何かあれば教えてください。

これはまだです…..。自分と向き合うのは大変。人生の折り返し地点はとっくに過ぎているので、ちょっとダメです。反省しても忙しくてすぐに忘れてしまうので、今回こそはちゃんと向き合いたいと思います。

―コロナが落ち着いたらやりたいこと、挑戦してみたいことは?

田舎の生活。または二拠点生活。仕事量を半分か、1/3にすること。

―最後に、読者に向けて一言メッセージをください。

コロナは、私たちが行くべき未来を早めたと思います。インターネットができて、ここしばらくは猛スピードでたくさんの情報も飛び交い、変化し過ぎたから、世界中の人がちょっと一息して本当の幸せを見つめ直すチャンスになったのかもしれません。どんなことがあっても、まずは健康でいることが大切と気がついたのはいいこと。それから、自分がいつも加害者になる可能性があるってこともコロナは教えてくれました。コロナ収束まで一緒に頑張りましょう!

池貝知子 過去のインタビュー記事はこちらより

 

■ 須永辰緒 DJ /音楽プロデューサー

―最近はどんなことをして日々を送っていますか?

レギュラーでDJをしている「ORGAN BAR」存続支援のクラウドファンディングをオーナーに代わり立ち上げました。リターンにはそのオルガンに関わりの深い音楽家たちの音源(個人所有原盤のみ)を集めたコンピレーションCD、やはりオルガンでDJをしている漫画家の先生お二方による支援者様のイラスト、J-RAP 90’sを代表する名曲「証言」STE(私のソロユニット)「揺れる。」のトラックを下地に、シンガー akikoやYOU THE ROCK★、RINO LATINA Ⅱ、アニ(スチャダラパー)などをフィーチャリングした「揺れない。」のカップリング7インチなどがあります。それら制作物を全てリモートで粛々と作ってます。

―人との接触ができない中、オンラインでしている活動があれば教えてください。

毎週金曜日は銀座EXBAR TOKYOから「家飲みジャズ」というDJプレイの配信があります。これはリモートではありませんが、親会社であるTAITOのごく僅かのスタッフとの作業です。電車は使わず車で銀座まで移動します。いとうせいこうさんが立ち上げた「巣ごもりフェスMUSIC ROCK DOWN #MDL」に賛同し、その1コーナーとして機能しています。

「家飲みジャズ」配信の様子

―コロナの影響で、あなたが携わっている業界はどのような打撃を受けていますか?

打撃といいますか、全ての仕事がキャンセルになりました。野球で言えば打数が0なので打率も当然0です。クラブやライブハウスは個人経営のような業態がほとんどですので、生き残りも大変です。

―その業界は今後どのように変わっていくと思いますか?

先ほどの#MDLなどを通して様々な意見を持った方々が交錯し、むしろポジティブな機会と捉え、今後の音楽の発信のあり方とマネタイズの構築を考えられるようにはなりました。詳しくお知らせできる段階ではありませんが、ビジネスモデルが出来つつあります。

―コロナの一件を通して気づいた大事なことはありましたか?

家族の偉大さと絆。一人暮らしだったら耐えられなくて外に毎日飲みに行っちゃったかも知れません。

―自分と向き合う時間が長いと、自分がどんなことが好きなのかわかるようになると思いますが、新たに知った自分について何かあれば教えてください。

新たに知った自分は分かりませんが、レコードをじっくり聴く時間は増えたので、目当ての曲以外スルーしていた収録曲に新しい気付きがありました。「ああ、こんな良い曲が入っていたのか!」と。

新たに気づいたという曲を2つ挙げてもらった。左:Chet Baker Big Band/ Tenderly 「西海岸らしい洒脱なアレンジが最高」右:Tender Leaf/Oh Stop 「テンポチェンジも自在で、海沿いをドライブしたくなります」

―コロナが落ち着いたらやりたいこと、挑戦してみたいことは?

いつも以上に身体を動かせていないので、また格闘技を再開させてみようかと思います。あとは飲み会(笑)。

―最後に、読者に向けて一言メッセージをください。

先ずは最前線でお仕事をされている医療関係者の方々始め皆様に心より感謝を申し上げます。そして自粛を続けている皆さんもお辛いでしょうが、どうか堪えて下さい。コロナ感染症渦が収束したら、初動を見誤った挙句「マスク2枚」などという笑えないことしか出来なかった政府に3密抗議デモに行きましょう。

須永辰緒  過去のインタビュー記事はこちらより

 

■フローランダバディ スポーツジャーナリスト

―最近はどんなことをして日々を送っていますか?

不要不急な外出はしていません。#stayathomeです。週に1〜2回、サポートしたいレストランやカフェでテイクアウトを頼む以外、全食自炊です。そもそもオフィスは自宅にあるので、朝はメール、午後は勉強、夕方は運動、夜は読書です。朝は今まで通りのルーチンですが、午後は企画に向けての仕事が勉強やリサーチのための時間に変わりました。

―人との接触ができない中、オンラインでしている活動があれば教えてください。

特にないですね。週におよそ3回、ZOOMでの打ち合わせがあります。夏以降の企画についてが多いです。

―あなたが携わっている業界はどのような打撃を受けていますか?

基本的にスポーツイベントは全部秋以降に延期です。最悪、今年はキャンセルかもしれません。夏と秋はスポーツ日和ですので、中止ならば、私の収入は6割以上のロスになります。

―その業界は今後どのように変わっていくと思いますか?

スポーツイベントは変わらないですね。余裕のあるスター選手は参加する大会数を少しだけ減らすかな(アジアツアーなど)。スポーツ施設の公衆トイレなどがもっと衛生状況が改善されたら良いけれど…。そのために最前線に仕事している清掃員たちの労働基準を高めないといけないですね。

―コロナを通して気づいた大事なことはありましたか?

私の外出時間は以前が3割だとしたら、コロナ以降は1割に落ちました。私はそもそも、パーティやバーに行かない人間です。普段も街には思いっきり出ていきません。とはいえ、ずっと家に引きこもるのはよくないことだと気づきました。ジャーナリストや作家問わず、執筆する人だって、インスピレーションは朝のランニングや友達とのコーヒータイム、家族など大事な人たちに会うことです。私は平気で長い間冬眠できるタイプですが(執筆、読書好きですから)、日常(現実)を見ないといい仕事はできません。

―自分と向き合う時間が長いと、自分がどんなことが好きなのかわかるようになると思いますが、新たに知った自分について何かあれば教えてください。

読書はやっぱり好きです。古典文学を読めるのは(プルースト、三島)バカンスや今回のような時期だけですね。集中力が必要ですから。メールを気にしたり、SNSをチェックしていてはNGです。それとご飯を作るのも好きだと再確認しました。またやはり、電話がかかってこないのは楽ですね。私は電話恐怖症なんです(笑)。でも、GW明けに再びONにします。今回は外より内を大事に出来た時期ですから、溜まっていた宿題をほとんど片付けることができました。

―コロナが落ち着いたらやりたいこと、挑戦してみたいことは?

コロナのせいで大変苦しんでいる知り合いや友達が大勢いるために、珍しくポジティブに何にも考えられません。とにかく多くの被害がないように祈るだけです。世の中が変わるとか、マクロなことを願う余裕は全くありません。身近にいる大事な人々の健康を筆頭に、仕事のリスタートを心から願うだけです。今回2ヶ月間執筆と読書の時間が倍に増えたからといって、いきなり小説家に転職することはないし、コロナが終われば仕事場に戻るだけです。チャリティ寄付や思いやりの心は昔から持っているつもりです。それは変わりません。

―最後に、読者に向けて一言メッセージをください。

「コロナを気にしない!」という若い世代を攻めるつもりは一切ありません。みんなの生きる道はそれぞれです。そもそも希望のない世代に、社会の規律を守れ!と言っても、大きいなお世話ですよね。一方、経験で言わせると、こういった時期は人生に2、3回訪れるだけに、若い皆さんに伝えたいことがあります。人生はマラソンのようなものですから、ダッシュをする必要はありません。時には時間が完全に止まることもあります。携帯の充電のように、その期間を焦らずに過ごせばいいんです!ただし、なんとなく考え続けることは大事です。ファスト&スロー自論です。ファストに感じる時も、スローに感じる時も、過ごしている時間の長さは一緒です。唯一の差はその時間に与える「意味合い」です。ぼーっとしている時間でも、呼吸に集中したり、五感を大事にしたりするだけで変わります。無になってリラックスすることさえも小さな努力が必要なんです。それに成功することで、仕事や勉強のリスタートもすっと上手くいきます。

フローランダバディ 過去のインタビュー記事はこちらより

 

スペシャルインタビューは順次公開していく。 Part 2もお楽しみに!