14年目を迎えたGREENROOM FESTIVAL。ジミー・クリフも熱唱!ビーチカルチャーに酔いしれた2日間の祭典【ライブレポート&インタビュー】
2018/06/05

2018年5月26日、27日の週末、サーフ&ビーチカルチャーの祭典「GREENROOM FESTIVAL(グリーンルーム・フェスティバル)」が横浜で開催された。このフェスは、“Save The Beach, Save The Ocean”をコンセプトに、ビーチを愛する国内外のミュージシャンやアーティストが集結し、音楽やアートを通して、未来の子供達に大切なビーチを残していこうと2005年にスタートした。
GREENROOM FESTIVALがどれだけの飛躍を遂げてきたかは、来場者数を見ても一目瞭然だ。初年度である2005年の集客数は1980名、その翌年は3850名、一年ごとに大きく来場者数を伸ばし、昨年の2017年にはとうとう11万人に。14回目を迎えた今年も、同じく11万人の来場者を迎えた。
毎回素晴らしいアーティストがラインナップされることでも話題になるが、今年も例年同様、豪華な顔ぶれが話題になった。2014年以来2度目の登場のジャマイカを代表するレゲエシンガーのジミー・クリフ(Jimmy Cliff)、2015年にロックバンドとして初めてジャズの名門レーベルブルーノートと契約したヴィンテージ・トラブル(Vintage Trouble)も2013年以来、2回目の出演。2日目はアメリカ西海岸のスカ・パンクのレジェンドバンド、サブライム・ウィズ・ローム(Sublime with Rome)、伝説のレゲエバンド、ザ・ウェイラーズ(The Wailers)などが来日したほか、国内アーティストは、UAや大橋トリオを始め、今年初登場となったASIAN KUNG-FU GENERATION、ハナレグミ、EGO-WRAPPIN、水曜日のカンパネラ、Monkey Majik、SOIL &“PIMP”SESSIONS、SANABAGUN.などの実力派が幅広いジャンルにわたって揃った。
会場は、メインステージの「GOOD WAVE」と、「BLUE SKY」が向かい合うように設置され、国内外の人気アーティスト達が交互にパフォーマンスを披露する。そのほかに、草原の中にあるライブステージ「HUMMING BIRD」と赤レンガ倉庫をバックに繰り広げられるガレージライブステージ「RED BRICK」があり、合計4ヶ所で様々な音楽を楽しめる。また、「PARADISE SHIP」では、船に豪華DJ陣のダンスフロアが登場し、船上でパーティ気分を楽しめたり、芝生の上で行うヨガエリア、子供が遊べるキッズエリア、ビーチカルチャーにゆかりのあるアーティストの作品を展示したアートギャラリーなどが設置されたりして、音楽、アート、ビーチに関わるライフスタイルを丸ごと満喫できる空間を作り上げていた。

左上から時計回りに:「GOOD WAVE」、「BLUE SKY」、GREENROOM のアートギャラリー、「RED BRICK」
HIGHFLYERSは気になるアーティストを中心に、26日の会場を取材した。
2017年4月号のBICULTURAL SOULSに登場したMONKEY MAJIKは、RED BRICKに登場。今年発売されたニューアルバム「enigma」のリード曲「Tokyo lights」からスタートし、シンバルとドラムの音の後、「Let’s Kung fu!」と叫ぶと、「Around The World」が始まり会場の盛り上がりは2曲めにして最高潮に。 「皆さんこんにちは。仙台から来たMONKEY MAJIKです!毎回来ると最高に楽しい。呼んでくれてありがとうございます!」と言って、ニューアルバムから「A.I. am Human」、2009年リリースの「虹色の魚」「Frozen」「fly」「wonderland」「Alive」を披露し、最後は2007年に大ヒットした「空はまるで」を演奏して締めくくった。

Monkey Majik
同じ時間に「BLUE SKY」では、ブレイク中のNulbarichが登場。会場から溢れるほどの観客の大きな歓声をものともせず、相変わらずのリラックスした雰囲気で、グルーヴを効かせつつ飄々と淡々と歌いあげた。「Everybody Knows 」「Follow Me 」「Ordinary」「Kiss You Back」「 Supernova 」「 On & On 」と続き、来場者にどちらの曲を歌って欲しいかなど聴きながら「みんなが選んだ曲ですからね」と言って、「NEW ERA 」を歌う。終盤は「Zero Gravity」、そして「歌える人は歌ってね。歌えない人は踊ってね」と言って、「ain’t on the map yet」「Almost There」と最後までほぼ休むことなく歌い続け、「すげー楽しかったです。まじありがとうございました!」と言ってさらりと舞台袖へ消えて行った。

Nulbarich
その後、向かいのGOOD WAVEではEGO WRAPPIN’が歌ったあと、再びBLUE SKYに戻ると、THE KING ALL STARSとして登場した加山雄三が全く年齢を感じさせない溌剌とした姿でギターとボーカルを披露。会場も最高潮に盛り上がる。その後は満を辞してVintage Troubleが登場。会場を一気にダンスホールへと導いた。また同時刻にRED BRICKのトリを飾っていたのは、人気急上昇中のヒップホップ集団 SANABAGUN.(サナバガン)。会場に入りきらずエリアの外にまで溢れた観衆が、ラップやヒップホップ、ジャズ、ロック、そして歌謡曲全てのテイストを盛り込んだ新感覚の音楽と、ステージ上で次々と起きるエンターテイメント満載の迫力あるパフォーマンスに夢中になった。「I’m back」「板ガムーブメント」「8manz」「三種の神器」「居酒屋JAZZ」「P・A・N・T・I・E」「デパ地下」「SFT」「FLASH」と4月に発売された新アルバム「OCTAVE」からも5曲を披露。終演後もアンコールの声は鳴り止まず、一度舞台に戻り挨拶をしたメンバー。観客は名残惜しそうに、会場をなかなか離れなかった。

上段:Vintage Trouble 下段:SANABAGUN.
ちなみに、SANABAGUN.とVintage Troubleのインタビューは後ほど改めて公開するのでお楽しみに。
GOOD WAVEのラスト、1日目のGREENROOM FESTIVALのトリを飾ったのは、レゲエ界のレジェンド、ジミー・クリフ。 「Many Rivers to Cross」「I can See Clearly Now 」「One More」などの名曲を続け、アンコールの「Journey」まで、魂に響くほどの力強い声と圧倒的存在感を見せつけた。会場からは、「よく日本まで来てくれたなぁ」と観客が感動している言葉があちこちから聞こえてきて、多くのファンが待ち望んだ来日だったことが伺えた。夜になって幻想的にライトアップされた会場では、ジミー・クリフの歌声に合わせて、最後まで大勢の観客が一緒に口ずさみ、踊り、飲みながらはしゃぎ、滅多に見ることのできないレゲエ界のレジェンドの貴重なステージの一瞬一瞬をかみしめた。
さて、HIGHFLYERSは、ライブ終了直後のMONKEY MAJIKにインタビューを行った。

MONKEY MAJIK
—今回3回目の出演となったGREENROOM FESTIVALはいかがでしたか?
メイナード(以後M)「最高でしたね。みんな笑顔だったね。4年に1回出てるからオリンピックのような気持ちで、3回目のゴールドメダル。GREENROOM FESTIVALは毎回どんどん大きくなっているからびっくりしました」
—GREENROOM FESTIVALは他のフェスと比べて何がユニークですか?
M「海が近いから結構ジメジメしてるんだけど、口の中はしょっぱくていい感じ(笑)。お客さんがおしゃれな人が多くて、横浜はおしゃれな街だなって思いますよ。刺激を逆に受けます。それに、暑すぎないし、子供もたくさんいていいなと思います」
ブレイズ(以後B)「オーガニックっぽいおしゃれな人が多い。アーティストがポップ過ぎないしロック過ぎないし、フォーク系、レゲエ系が結構多くて好きですね。“Save the World”(世界を救おう)みたいなイメージがあって大好き」
タックス(以後T)「若い人も多いし、いいなぁと思います」
—出演しているアーティストで知り合いや気になっている人はいますか?
B 「EGO-WRAPPIN’のライブを観たけど、ヴォーカリストのパフォーマンスがよかった。日本に初めて来た時に買ったCDがEGO-WRAPPIN’なので、僕にとってすごいヒストリーがあります。18年経ってようやく会えてちょっと感動しました」
ディック(以後D)「Port of Notesさんやハナレグミの永積くんは、前からちょいちょい会うことがあるので知っています」
一1曲目を新アルバムに収録されている「Tokyo lights」にしたのは?
B「新アルバムから盛り上がる曲をやろうかって。まあ、ここは横浜だけど、僕たちにしたら東京みたいなものだから(笑)」
M「僕たちは仙台にいるから、こういう曲を作れる。毎回東京に来るたび東京ってすごい街だなって思うんですよね。世界のトップワンかもしれない。でも人が多いし、眠らない街なのは僕のライフスタイルには合わないので住むのは無理ですけどね」
—仙台はやっぱりいいですか?
B「去年全国ツアーもやったし、全部都道府県回ったけど、仙台が一番好き。大きな街だけど、10分くらいドライブすれば温泉にも山にも自然にも行ける。若い街。新アルバムの『enigma』ともぴったり。モダンとクラシック」
M「東京にいない理由でもあるんですけど、今、仙台の山の方で養蜂場をやってるんです。子供の時に親戚がやっていて、昔は夏によく育てていたんですけど、今はニホンミツバチも育てていますよ。田舎にずっと住んで養蜂場をやるのが昔からのドリームなんです」
—いいですね。他の皆さんのこれからの夢も聞かせていただけますか?
T「今『BLUE SKY』で演奏してる偉大な大先輩・加山雄三さんのように、いつまでも健康で音楽を続けていけたらいいなと思います。あんなに声も全然変わらないなんて考えられない。まずは日常を大切に過ごせば加山さんみたいになれるのかな」
D「続けていられればいいし、完全にやったことないこともやってみたいです。レコード、CD、配信ってどんどん音楽シーンが変化しているので、音楽について新しいこともやってみたいです」
B「音楽以外にも、もう結構いろんなこといっぱいやりすぎてる。もうすごく楽しいし忙しくて。リラックスしてやってます」
終始リラックスした雰囲気の中、和やかなムードに包まれたインタビューだった。アーティスト、来場者の双方に大きな笑顔を見ることができたGREENROOM FESTIVAL。来年はどんなビーチカルチャーを横浜にもたらすのか。未来のGREENROOM FESTIVALにも注目したい。
また、オーガナイザーの釜萢直起氏がGREENROOM FESTIVALを始めた経緯や音楽、アート、ビーチに対する想いを語ったHIGHFLYERSのブログインタビュー記事も是非読んでいただきたい。
Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka(一部会場写真はオフィシャル写真を使用)