ON COME UP
#19 | Nov 8, 2016

映画「イタキス」で初主演。EXILE HIROや仲の良いLDHメンバーについてや、役者にかける思いを劇団EXILEの佐藤寛太が語った 

Interview: Hamao / Text & Photo: Atsuko Tanaka / Photo Retouch: Koto Nagai

未来に向かって躍動する人たちをフィーチャーする“On Come Up”。第19回目のゲストは、11月25日に公開される「イタズラなKiss THE MOVIE〜ハイスクール編〜」で初の主演を務めた俳優の佐藤寛太さん。2015年に劇団EXILEメンバーとなった佐藤さんは、中学生の時に観た映画に影響されて俳優を志し、高校の時に上京。2016年4月から放映された人気ドラマ「HiGH&LOW」の山王連合会のテッツ役で出演し、人気を博す。わんぱくな幼少時代から、野球に打ち込んだ学生時代、EXILEや三代目 J Soul BrothersやE-girlsを擁する所属事務所LDHを選んだ理由、EXILEのHIROさんに対する思いや仲の良いLDHメンバーについて、そして映画「イタズラなKiss THE MOVIE〜ハイスクール編〜」におけるエピソードや未来の夢など語ってもらった。
PROFILE

俳優佐藤寛太 / Kanta Sato

1996年6月16日生まれ、福岡県出身。 2015年、劇団EXILEメンバーに。その後、舞台「Tomorrow Never Dies 〜 やってこない明日はない〜」、映画「HiGH&LOW THE MOVIE」(16/監督:久保茂昭)に出演している。

佐藤寛太

俳優になることを志したきっかけは?

中学生の時に「ものすごくうるさくてありえないほど近い」という洋画を観たのですが、その映画の主人公のトーマス・ホーンが当時の僕と同い歳だったんです。彼を見て、俳優ってこんなに人を感動させられる職業なんだと思って、この業界を目指したいと思いました。

小さい頃はどういうお子さんでしたか?

将来の夢は「仮面ライダーになりたい!」っていう普通の子供でした。自転車でどこまででも行ったり、外でみんなと遊んで、疲れて帰ってきたらみんなでゲームしたりっていう少年時代でした。

ご両親はどんな方だったのですか?

お父さんはちょっと古風というか、「門限はしっかり守れ」みたいな厳しいお父さんでした。お母さんはその場に準じてというか、厳しい時は厳しく、優しい時は優しい人です。

ご兄弟は?

三人兄弟の長男です。なので、兄弟といる時は長男らしいはずなんですけど、メンバーといる時は僕が最年少なので、「お前、長男感ゼロだね」ってみんなに言われます(笑)。昔から年上の人が好きで、小学校1年の時から6年生の先輩と遊んでもらっていたので、昔から先輩が好きでした。

最近気づいた自分に足りないことはありますか?

持続性ですかね。今は一人暮らしをしていて、朝は大体いつも10時~11時くらいに起きるんですけど、そうなると洗濯物がどうしても後手になってしまうので、もう少し早起きするようにしたいです。

通っていた学校は、佐藤さんにとってどんな場所でしたか?

仲間と騒ぐとか、そんなイメージですかね。小学校の時は1年から6年まですごい熱血な担任の先生の元で育ったので、ドッジボールとか鬼ごっことか、みんなで一緒に何かするのが好きでした。

スポーツは何かやっていたのですか?

野球を9年間と、総合格闘技とダンスをそれぞれ1年間やってました。小1から中3まで野球部だったんですけど、途中で肩を壊したので高校でやめました。総合格闘技は中学2年生の時に一年上の先輩が誘ってくれて、得意ってわけではなかったですけど、自分がやってきたことを特技として使えたので楽しかったです。

役者の活動をやっていて、学校教育では教わらなかった大事なことはありますか?

いっぱいありますけど、役者になってから一番学んだことは先輩より早く現場に入るとか、「時間」の大事さです。あとは礼儀の大切さも学びました。

2015年1月に劇団EXILEに正式加入するまで、「VOCAL BATTLE AUDITION 4」など、オーディションで数回落選された経験がありますが、その時に学んだことは?

元々俳優をやりたくてLDHのスクールのEXPG(EXILE PROFESSIONAL GYM)に通っていたんですけど、受かろうと思ってオーディションを受けたわけではないんです。LDHにいつか俳優として雇ってもらいたいという夢があって、EXPGでボーカルレッスンやダンスレッスンを受けさせてもらっていたので、オーディションに落ちた時は悔しいというよりは、結果劇団EXILEに入ることが出来たので良かったというか、目的は達成出来たのかなと思います。

多くの事務所がある中で、LDHに決めたのはなぜですか?

青春時代に聴いていた音楽がEXILEさんや三代目さんの曲だったということもあって、皆さんを見ていて、自分もLDHに入れたら、これからの視野や夢を広げてくれるんじゃないかと思ったからです。

佐藤さんにとってHIROさんはどんな人ですか?

僕の人生経験がもっと豊かだったらもっと上手く説明できるんでしょうけど、HIROさんはHIROさんでしかない…。近しい存在という意味では、お父さんという言葉しか思い浮かばないですけど、お父さんとはまた違うので一言では言えないです。常に優しくて皆を先導してくれて、揺るがないしカッコ良くて、背中を追いかけたいと思わせてくれる存在です。

事務所内で仲の良い人はいますか?

今はEXILEの佐藤大樹さんが一番仲が良いですね。ダブル佐藤って良く言われてます。劇団内では、鈴木伸之さんと町田啓太さんとも最近仲良くさせていただいてます。20歳になってお酒が飲めるようになったので、ご一緒させて頂くことが多いです。

休日は何をして過ごしていますか?

家でまず掃除をして、洗濯物を取り込んでたたむところから始まって、そこから何をするか決めます。大体家でゲームをするか、漫画を読みに漫喫に行くか、映画を観に行くか、あとはバスケですかね。最近一人でバスケをしてるんですよ。あと、仲が良い大樹さんや鈴木さんとか、EXILE TRIBEのTHE RAMPAGEというグループの藤原樹くんとか浦川翔平くんと買い物に行ったりとか。でもほぼ家にいることが多いですね。映画は好きなので、映画館にいることも多いですけど。

最近見た映画で印象に残っているものは?

この前「怒り」を見たので、一番印象に残ってますね。映画3本分を凝縮したような感じで、凄かったです。一つの映画でこれだけ登場人物の一人ひとりがこんなにも存在するなんて、頭の中で鐘が鳴ったような感じがしました。

11月25日に公開される映画「イタズラなKiss THE MOVIE~ハイスクール編~」では初の主演を務めましたが、原作は90年代に大ヒットした少女漫画ということで、根強いファンがいる中、役作りに苦労したことはありましたか?

ありまくりでした。僕が演じた入江直樹と僕の似ているところと言えば身長くらい。彼はとてもシャープなので、頑張って体重を落としました。元々太っていたわけではないですけど、体重と体脂脂肪を落として、すごい痩せて撮影に挑みました。

過去に「HiGH&LOW」で演じたテッツ役とは真逆のキャラクターだったと思いますが、いかがでしたか?

撮影順で言うとイタKissの撮影が先だったので、苦労することはなかったですね。

相手役の相原琴子を演じた美沙玲奈さんの第一印象と実際は?

よく話す明るい人だなと思ってたんですけど、実はシャイで人見知りでした。たまたま縁があって、僕と地元がすぐ近くで育った地域も似ていて共通する部分があったので、最初から距離があるわけでもなく、良い距離のままお芝居させてもらいました。

佐藤さんが演じた入江直樹は恋愛において追われる側ですが、佐藤さんご自身は追う方が良いですか?それとも追われる方が良いですか?

多分追う方だと思います。男友達とも「明日飲まない?」とか「明日遊ぼう」とか誘われるよりは、自分から「何してるの?」という連絡をすることが多いです。だから恋愛もそうなのかなと。僕が好きになったら僕からアプローチすると思います。

撮影現場での面白エピソードは何かありますか?

体育祭のシーンの撮影の時に奇跡がありまして、天気予報は雨だったんですけど、撮影時は晴天で、撮影が終わった2~3分後にゲリラ豪雨になりました。今回のキャストは雨男雨女が多いのか、あまり天候に恵まれないことが多かったんですけど、その時は「やばかったね。奇跡だね」って盛り上がりました。面白いエピソードと言うと、大倉士門君がたくさん持ってると思います。

大倉さんはどのような方なのですか?

ムードメーカーで、メインキャストの皆を引っ張ってくれて、ほんわかまとめてくれるんです。年齢とかに係らず、みんなに優しくて、身を削って笑いを起こしてくれる。本当に士門君のおかげで何度も助けられた場面がありました。僕も美沙さんも気負って現場に入っていたので、そういう部分も士門君が緩和してくれたと思います。

憧れの人や尊敬をしている人は?

いっぱいいます。ある俳優さんにはまったら、その人の作品ばかりを観ます。亡くなっているから憧れになってしまうのかもしれないのですけど、リバー・フェニックスは好きです。あと「ディーン、君がいた瞬間」という作品で主演を演じたデイン・デハーンも好きです。洋画が好きなので、海外の役者さんに憧れることが結構多いんですけど、日本の若手の俳優さんだったら菅田将暉さんとか、池松壮亮さんや柳楽優弥さん、染谷将太さんなどに憧れますね。

佐藤さんにとって、地元である福岡という場所はどういう場所ですか?

今でも帰りたいと思いますし、高校の途中で東京に転校したので、今でも高校の時の夢を見るんです。だから本当は高校の最後まで向こうにいたかったんだなぁ、一番心が安らぐのは福岡なんだなぁって思います。

好きな本や音楽を一つ選ぶとしたら?

最近本をよく読んでいて、実写化したら出てみたいなと思ったものに、「95」という本がありました。1995年代の当時は18歳の渋谷の高校生で、今は40歳くらいの人達の物語を描いてるんですけど、現在と過去を上手く照らし合わせながら同時進行させていて、映像にしたら良い作品になるだろうなと思いましたし、出たいと思いました。主役までは望まないですけど、若者5人組の中に入れてもらえれば幸いです。ショウっていう登場人物がかっこ良かったな。音楽は最近エミネムにはまってます。

アートは好きですか?

この間上野美術館に行きましたけど、別にアートに詳しいというわけではないですね。でも行ってみるのは好きです。

社会で起こっていることで気になっていることはありますか?

この間、トランプ氏とクリントン氏の討論を観ましたけど、言われたことに表情を変えないでサッと返すから、頭の回転が早いんだなぁと思って観てました。あとは「君の名は。」の興行収入が100億円突破したそうで、僕は2回観に行ったので、ちょっとは貢献したのかなって思いました。

自分のやっていることで日本や世界が変えられるとしたら?

例えば僕の出ている映画やドラマを観た人が、翌日、良い気分で会社に行ったり、学校に行ったりした時、多分周りにもポジティブなことが溢れてくると思うんです。“僕が変えた”と言うのとは違うかもしれないですけど、映画や作品には人の人生を日頃から少しずつ良い方向に変えていく力があるんじゃないかなと思います。

これだけは同世代の俳優に負けないぞというのはありますか?

やる気とかですかね。それ以外は分からないです。「これだけは負けない」というのが無いと言うのは寂しいですけど、良い俳優さんだと思う人は多いので。野球は結構長い間やっていたので、野球では負けないかと思います。

他人が思う像と自分が思う像で違うと感じることはありますか?

自分で分かっているんですけど、八方美人と言うか、人によってテンションが変わるんですよ。僕が自分で変えているというか、この人とはテンションが合いやすいと感じることがあって。例えば同級生の子が、同級生といる時と、先輩や他の子といる時と違うというか、野球部にいる時のノリと、クラスにいる時のノリが違うようなのはあると思います。そんなに差があるわけじゃないですし、別に無理しているわけではないので、どれも自分なんでしょうけどね。

一気に視界が開けた瞬間や成長を実感した瞬間はありますか?

HIROさんとお話をさせて頂いた時にHIROさんがポロッと言った言葉で、「思考を張り巡らせる」という言葉がずっと残っています。自分の考えている狭い視野が一気に広がるのは、先輩やHIROさんとか、大人の人と話している時が多いです。

佐藤さんにとって成功とはなんですか?

俳優だけでもずっと食べていけて、尚且つ、いくつになっても「あの人をキャスティングしたい」と言われることですかね。多くの人に感動を届けられるポジションに自分がいられれば大成功だと思います。

3年後、5年後、10年後にはどうなっていたいですか?

3年後は日本国内で認知されていてほしいです。海外の作品に出るためではないですけど、日系人の役とか国際的な役も出来るように語学力を伸ばして、自分の視野を広げていきたいと思います。5年後、10年後はまだ先ですが、いろいろな経験を経て成長出来ていればいいなと思います。

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