【自分の目標への想いを思い返す・俯瞰する】~何度も自分の人生全体の目標への想いを思い返す~
抱えていた問題
■「世界」という、日本チャンピオンの次のステップに進めず、苛立って何も上手くいかない
その後2022年に日本ライト級王座を勝ち取ってチャンピオンとなり、2回王座防衛することも出来た。しかし2023年4月の3回目の防衛戦となる仲里選手戦に向け、「こんな試合はしても意味がない」「タイトルは返上して世界へ行きたい」と苛立っていた。
宇津木選手:「タイトルを返上して世界に行きたいという思いが強すぎて、「こんな試合やっても意味ないでしょ」と思って、「なんで次のステップに行かせてくれないんだ!」っていう欲が出すぎてしまって。試合に向けて練習をしていく中でも、自分の中では嫌だから何もうまくいかないし、やめたい位にしか思えなかったです」
解決方法
■もう一度、ボクサーとしての最終目標は何なのかを思い出す
柘植コーチからの提案で、以前立てたボクサーとしての目標である「まずは日本を取る、そして防衛をして東洋を取る、最終目標は世界チャンピオンになる」をしっかり思い起こした。すると、初めて取った日本ベルトに執着している自分に気づき、「取られてもまた取り返せばいい、違うベルトもあるし、それを取って統一してしまえば関係ない」と、一気に気持ちが吹っ切れた。
宇津木選手:「自分の最終目標を思い出してみた時、柘植さんから「今って『日本タイトルを守る』の気持ちしか持ってないよね」って言っていただいて、確かにそうだなって思いました。そして、「そうだ、俺の最終目標は世界だ。ここはただの通過点じゃん。俺は日本で止まらないよね」っていう気持ちが出てきて、世界を取るためにやっているのだったら、日本ベルトにこんな執着する必要はないなと、吹っ切れた感覚を得ました」
得られた結果
■試合には負けたが「恐れず驕らず侮らず」という大切なことに気づけた
仲里選手戦は負けてしまったが、試合前に吹っ切れていたからこそ、驕っていた自分に気づき、それを受け入れ、「この試合があったからこそ今がある」と、新しい自分を取り入れられた。そして試合後は、自身の欲の塊だったベルトがなくなったことで、逆にリフレッシュされてスッキリし、とても楽になった。
宇津木選手: 「この試合では自分の悪い部分が出てしまいました。僕の武訓で「恐れず驕らず侮らず」という言葉があるのですが、あの時は驕って侮ってしまい、なめてしまっていたのだと思います。試合には負けたけど、新たに自分の弱い部分がさらけ出せたので、そこを見つめ直すきっかけにはなり、おかげで今強くなったと感じています。世界に行くためのステップというか、自分はここで終わるたまじゃないと、ここから這い上がって再スタートを切れたらいいなという思いが強くなりました」
コーチ補足
■自分の目標や想いを、五感も使って改めて思い返す
柘植コーチ: 「当時の宇津木選手は、見ていてとても辛そうに感じたので、一旦いろいろな不安や苛立ちなどを全部吐き出してもらえたらいいかと思いました。また、継続的にサポートをする中で、「世界チャンピオンになる」などの今後の目標や世界に対する想いを、言語化し書き出したことがあったので、そこを忘れて欲しくないのもあり、あの時の目標や想いを改めて思い返すことを提案しました。過去に選手自身が自分で書いたものを見返すことで、その時の感覚や気持ちが蘇ることもあるので、「こうだったよね」と、自分の目標や未来への想いを思い返してもらうのです」
コーチングはさらなる問題を解決する。次は、最近の事例を