フォトグラファー、ヨシダナギの旅の世界を体感する展示イベント「ヨシダナギx NAKED ”Sing-Sing!」。ベスト作品集「HEROES」発売記念写真展も同時開催中!【レポート】

2018/04/22

世界の少数民族に魅せられ、今まで世界45カ国を巡り、彼らの勇士ある姿を撮り続けているフォトグラファー、ヨシダ ナギ。彼女の作品の集大成とも言えるベスト作品集「HEROES」が4月25日に発売されるのを記念し、「ヨシダナギーHEROES—写真展」が東京の西武渋谷店にある美術画廊・オルタナティブスペースで開催されている。会場には、アマゾンのエナウェ・ナウェ族、最後の楽園パプアニューギニアのオモマサライ族、フリ族、アサロ族の3部族、サハラ砂漠の青の民と呼ばれるトゥアレグ族などの作品が所狭しと展示され、彼女にしか作り上げることのできない独自の世界を展開している。また、写真集購入者にはサイン会も行う予定だ。

そして、先進技術でアートを作り出すクリエーティブカンパニーNAKED(ネイキッド)が、ヨシダの世界観を表現して作り上げた空間が西武渋谷店内の別会場に登場。作品の世界を疑似体験できるコラボレーション体感型イベント「『西武渋谷店50周年特別企画』ヨシダナギx NAKED ”Sing-Sing!” 」を開催している。開催に先駆けて行われたプレス発表会では、ヨシダナギとNAKEDのアートディレクター竹内沙也香が登場してトークイベントを行なった。

ヨシダナギ(右)と竹内沙也香(左)

イベントのタイトル「Sing-Sing(シンシン)」とは、英語のSing(歌う)からきたピジン語で、パプアニューギニアの伝統舞踏の総称。現地では、伝統儀式や宗教儀式でそれぞれの民族がその地に伝わるSing-Singを披露する文化があるという。「Sing-Singは、さまざまな民族を撮り続けるヨシダさんの作品に共通した言葉がないかと探していた時に見つけた言葉」と竹内はこのコンセプトについて説明した。会場メインエリアには、ジャンベなどアフリカの民族楽器等が置かれ、それを鳴らすとリアルタイムに空間が音と映像で変化、来場者による「Sing-Sing」を作り上げる非日常体験型のインスタレーションが完成した。

竹内は「NAKED は視覚的な作品が多いが、今回は音によりフォーカスし、音のインタラクティブに挑戦しています。色と音、そして動物たち、タトゥーの柄などの要素が混じって、ヨシダさんが見てきたものを体験しながら、来場者の皆さんが楽器を叩いて、皆さんのSing-Singを作りながら楽しんでいただけたら」とこのイベントへの抱負を語った。

今回NAKEDとの初展示についてヨシダは、「今まで第三者の目線で写真や世界観を解釈して表現してもらうということがなかったので、NAKEDさんがどういう風に表現してくれるのかと展示前から凄くワクワクしていました。私が今まで見ていたものとは違う世界観と解釈があり、それでも何か通じる民族の色があるのが面白いと思いました」と率直な感想を述べた。

ヨシダの作品の「色」に着目したというNAKEDは、作品展示エリアではそれぞれの作品の下にカラーチャートを付けて展示しているのもユニーク。「例えばトワレグ族だったら黒と緑と灰色など、色を抽出してそれぞれの民族を色で表したかった」と竹内。インスタレーションの多彩な色も印象的だ。

それぞれの作品の下にカラーチャートが設置されている

今回のNAKEDの着眼点もそうであるように、ヨシダの作品は色から強烈な印象を受けるが、この色はヨシダ自身が最初から意識して撮影しているのだろうか。この質問に対してヨシダは、「今までの写真家が撮った少数民族の作品は、どちらかというとドキュメンタリー調の土臭いものが多かった気がするけれど、実際にアフリカに足を運んでみると、土臭い色だけではなく、日本にはありえないような鮮やかな色彩の組み合わせが凄く素敵だった。現地の色をより伝えられる作品を撮りたいと思っていたら今の作風に辿りつきました。Rawデータで撮るので、そのままだと色はほとんどありませんが、それを帰国してから自分の記憶の色で編集しています」と後から記憶の色を辿って作品に反映させている様子を説明した。

また、「たくさんの先住民族と少数民族がいるんですけど、彼らの共通点は生活に音楽があるということ。音楽が始まると彼らは自然に動き出したり、歌い出したりと常に楽しそうな時間が流れます。今回は視覚的な色と、民族の音楽の両方からより彼らを身近に感じてもらえるんじゃないかと思うので、是非視覚だけでなく耳を澄ませて楽しんでいただけたらなって思います」と今イベントに対するコメントを寄せた。

HIGHFLYERSでは、ON COME UP4月号でヨシダナギのインタビューを掲載しているが、「少数民族の方々に会って、自身は一番何を得たと思うか?」と質問に対してヨシダは以下のように答えた。

「考えすぎないことかな。(中略) 彼らと出会って、“生きる”ってもっと楽で良いんだなって思えるようになりました。人にそんなに大きな迷惑をかけなければ、自分の人生なんだから好き勝手に生きて良いんだなと。嫌なことがあったらその時にどうするか考えればいいし、今を楽しくしていれば、そんなに嫌なことって起きないのかなって、彼らを見ていてそう思う。生きることが本当に楽になりました」。

「ヨシダナギx NAKED ”Sing-Sing!」展で、少数民族のいる風景や音と撮影までの過程をじっくり体感して、「ヨシダナギーHEROES—写真展」で完成した作品をじっくり堪能できるのが同時開催の魅力。写真展で展示されている作品は、最大で180cm x 120cmサイズまであり迫力も充分楽しめる。さらに開催中の5月13日までの期間は、西武渋谷店全館で「ETHNIC TRAVEL」と題したトライバルフェアが行われ、アフリカンモチーフをはじめ、エキゾチックな色彩や柄など「部族」を表す“TRIBAL”を、渋谷らしくモダンにアレンジした最新モードを各フロアで紹介している。4階の連絡通路や1階の正面玄関、ショーウィンドウなど全館に渡ってくまなくヨシダナギx NAKEDの世界を体験できる工夫が施されているのも要チェックだ。これからゴールデンウィークに向けて渋谷西武へ行き、新しい視点で普段触れる機会の少ない少数民族の色や音の世界を体感しよう。

上段:写真展会場 下段:4階の連絡通路と1階のショーウィンドウに飾られているヨシダの作品

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka

 

[西武渋谷店50周年特別企画]ヨシダナギ×NAKED“Sing-Sing!”

日時:4月19日(木)〜5月13日(日)
[月〜土]午前10時〜午後9時/[日・祝休日]午前10時〜午後8時
場所:西武渋谷A館7階 特設会場
※ご入場は各日閉場の30分前まで
※最終日は午後5時閉場

【BEST作品集 発売記念】ヨシダ ナギ-HEROES-写真展

日時:4月19日(木)〜5月13日(日)
場所:西武渋谷B館8階 美術画廊・オルタナティブスペース

詳細は西武渋谷HPにて