「ウルトラ植物博覧会2016ー西畠清順と愉快な植物たちー」に行ってきた【HIGHFLYERSの現場レポVol.5】

2016/08/07

昨年のHIGHFLYERS11月号でご紹介させて頂いたプラントハンターの西畠清順さん。現在銀座のPOLA MUSEUM ANNEXで「ウルトラ植物博覧会2016-西畠清順と愉快な植物たち-の展示を行っています。先日プレビューパーティーにご招待頂き、ハイフライヤーズのライーター・高綱草子さんと行ってまいりました。

右から2番目: 西畠清順さん 左: ソニー・デジタルエンタテイメント 代表取締役社長の福田淳さん

プラントハンターとは世界中の珍しい植物を探し求めて探検する人達のことを言い、西畠さんは日本ではプラントハンターの第一人者です。明治元年から続く植物卸問屋「株式会社花宇」の5代目として育ち、2012年にひとの心に植物を植える活動「そら植物園」をスタートして、数々の企業や団代などと植物の展示やプロジェクトを多く展開しています。西畠さんは普段は大事にしているコレクションを一般に見せることはしないそうですが、長い距離と時間を経て出逢った様々な植物たちをみんなに見てもらいたいという想いとPOLA美術館とのご縁を感じて、今回の展示をする運びとなったそうです。

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会場内で大きな存在を放っていた推定樹齢200年のバオバブ

昨年も同ミュージアムで展示を行い大好評に終わったそうですが、2回目となる今回の展示は和食料理店「八雲茶寮」や「HIGASHI-YAMA Tokyo」、和菓子店「HIGASHIYA」などを手掛けているSIMPLICITY の代表兼クリエティブディレクターの緒方慎一郎氏が会場構成を担当されたことにより、厳かな「和」の雰囲気が醸し出されていました。西畠さんの大事なコレクションである植物達と陶芸家の内田鋼一さんが作った植木鉢とのコラボレーションが大変素晴らしく、大きなものから小さなものまで数多く展示されています。

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”絞め殺しの木”とも呼ばれるガジュマルの木

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コルクガシ。ワインのコルク栓はこの木の樹皮が原材料となっている

今展示の開催にあたり、西畠さんは伝えたい大事なこととして「現代のプラントハンターが世界を変えるとしたら、何をすべきか?」とご自身に問い、「価値観を変えること。ひとりでも多くの人に魅力を共有し、気付きをもたらし、世の中の植物に対する価値観を変えることができたなら、世界はもう少し有機的に変わるだろう」と思ったそうです。

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カランコエ シンセパーラ(写真左上)など、小さめの植物達が天井から紐で吊るされ展示されている

価値観というのは、固定観念により変えるのは中々難しいことがあります。私は今回の展示を観たことによって、想像力が広がり、植物に対する期待や価値観が変わっていくことを実感しました。ひと言で言えば、植物を通して「生命」を感じたのです。そこにある隆々とした名前も知らない植物たちは、街にある木々や売られている花々以上に生きるパワーを放っていました。西畠さんの様に自らの足で、この大きな地球を歩き回り、世界中の人々や多くの植物と触れ合ってきた人が選び抜いたものには、とてつもなく偉大で説得力があるからなのでしょう。

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タカワラビの一種である太古の植物・ソフトツリーファーン

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空中に飾れた圧倒するほど大きな植物

昨年のHIGHFLYERS11月号で、西畠さんに叶えたい夢は何かを聞いた時くと、こう答えました。

「大事なことを決める決定権のある人達、例えば建築家とか、特に政治家のような偉い方達がたくさん集まって、難しい大事なことを決める時に、セキュリティー や同時通訳とかいう話も全部置いておいて、会議室のような建物の中ではなく一本の木の下やガーデンとか、それが建物の中だとしても、そこに木があった りしたらどうなのかな〜って思っていて。例えばG12のような、ゲストが世界中から来る時に、そこに植物持っていくみたいな仕事は何回もしてるんです。でもこの木の下で語らおうとか、この木の下で発表しようとか、例えば日中の大事な話だったら植物は日本の木と中国の木が仲良く咲いてるところで話し合おうとか、そういうような事が出来たらと思います」

西畠さんならいつか必ず実現するだろうと期待しています。その日が来るのを楽しみにしたいと思います。

さて、今回は「HIGASHIYA」で植物の販売も行われています。全部で7種類あり、私はそのうちの一つ、アデニウム・アラビクム、通称「砂漠のバラ」と呼ばれる植物に強烈に惹かれて購入を決めました。

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購入したアデニウム・アラビクム

西畠さんは2011年にイエメンを訪れていました。当時、エジプトはムバラク大統領政権が崩壊する緊張感に包まれていて、近隣国のイエメンも例外ではなく、騒乱の真っ只中にありました。そんな過酷な状況の中、街の片隅で、可憐に、そして力強く花を咲かせたアデニウム・アラビクムを見つけたそうです。「一輪の花が美しいと思えることは、なんて平和なことなのか」と気付かされたと仰っていました。

植物の販売価格は10,800円から13,000円までと、とてもお手頃な価格です。プレビューパーティーの翌日に買いに行ったら、私が欲しいと思っていたアデニウム・アラビクムは、残念ながら既にどなたかが購入されていました。展示の初日はお店のオープンと同時に、多くのお客さんが買い求めに来ていたそうです。さすがの人気ですね。結局、数あるアデニウム・アラビクムの中から、う〜んと悩んで、この大仏が座ったようなスタイルのものに決めました。「念ずれば花開く」の西畠さんの言葉を信じて、いつかバラが咲いてくれるよう大事に育てたいと思います。

皆さんも是非西畠さんの展示をご覧になって、植物のエネルギーを体感してみて下さい。

 

「ウルトラ植物博覧会2016」-西畠清順と愉快な植物たち-

・日時: 8/4(木)-9/25(日)まで開催

・場所: POLA MUSEUM ANNEX 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階

詳しい情報はこちらをご参照下さい。

 

HIGHFLYERSでの西畠さんのインタビュー記事は以下のリンクからお読み下さい。

【HIGHFLYERSの現場レポ】Vol.1~Vol.3まではFacebookページよりお読み下さい。

 

文章: Atsuko Tanaka