秦佐和子
どうして声優になりたかったのですか?
子供の頃からお芝居が好きで、最初は女優さんになりたいと思ったのですが、声優さんという職業があるのを知って、声優さんなら自分とまったく違うものになれると思ったからです。
自分のスタイルを言葉で表すと?
サービス業。
物品ではなく、声を提供するという意味?
相手の方にいかに楽しんで頂けるか、ということに重点を置いているということです。
オリジナルでいるために気をつけていることは?
想定のものをなぞるのではなく、自分の中にあるものを表現することです。
自分の中にあるものの中で、特徴的なことはありますか?
やり始めてみると、自分は特徴的な部分がないな、と強く思うようになりました。
強い特徴がある方が、唯一無二の役者さんと言われる方々なのかもしれません。
最近気付いた自分に足りないこととは?
勇気と自信です。昔からある方ではありませんでしたが、最近それが枷になっていると、とても感じてます。
学生時代に通っていた学校はあなたにとってどんな場所でしたか?その理由も教えて下さい。
中学と高校は、吹奏楽部とオーケストラ部の部活をしに行く場所で、私の学生生活はすべて部活で廻っていました。単純に“学校”だけでいうと、特に不満があったわけではありませんが、いつも慢性的な“お休みしたい病”にかかっていて、「どうして水曜日が休みじゃないんだろう?」というのが日々の疑問でした。そんな私を「部活に行きたい!」という気持ちにさせて、学校に登校させてくれたので、部活には感謝しています。
声優の学校にも通われましたが、一番印象に残っている勉強や出来事は何ですか?
一番最初の先生に「君たちには君たちを後ろから羽交い絞めにして、そんなことをするな!と止めるもう一人の自分がいるのだ。それをまずは振り切ることが必要なのだ」と教わったことです。あと、「親戚のおっさんとかで、やたらと声がでかい人がいるだろ?あいつらは羞恥心がないから声がでかいんだ」というのにも、なるほどー!と感激しました。面白い先生でした。
SKE48で活動していた時に学んだ一番大事なこととは?
真摯であることの大切さです。たまに気が抜けてダメな時は、必ずやんわりと周りの方や応援して下さる方の反応で、それはダメなんだなって教えて頂けて、そういうのをすぐに感じることが出来る場所にいられたのは有り難いことだったと思います。
SKE48をやめてから、「私、やめたんだ…」と実感した瞬間を教えて下さい。
また、やめた後でも心の支えとなっているメンバーはいますか?
実はやめた瞬間から悪い意味ではなく、すっぱりと切り離されていて、活躍するメンバーを微笑ましくみたり、「昔のことを知っていたよ!」とおっしゃって頂くと嬉しい気持ちもあるのですが、自分のことであって自分のことでないような感じでいます。なので、「私、やめたんだ…」と感じることはないかもしれません。平行世界の自分を見ているような気分ですかね。
“心の支えになっているメンバー”というと大仰かもしれませんが、同期の須田さんは会って話すだけで、今の自分とはまた違うあの頃の自分に連れて行ってくれると思います。この業界に移って、大なり小なり昔のままの自分ではいられないことがあって、本当の自分って何なんだろうと悩んだりもするので有り難い存在です。
あと、先輩で同じ業界に入ってこられた中西さんは、現場でご一緒だとすごく気持ちが楽で嬉しいです!私が末っ子気質なのですが、どうしても末っ子でいられないことが多い中、先輩が一緒だと心置きなく末っ子というか、後輩でいられて一番楽な本来の自分でいられます!
アイドルから声優に転身されて学んだことや、新しい業界のルールで戸惑ったことは?
大きく違うと思うことは、こちらの業界では個人事業主という観念が大きい事でしょうか。もちろん事務所が管理をして下さることが多いと思いますが、事務所に売ってもらうのではなく、自分で営業をしてお仕事を繋げていかなければいけないという風潮が強く思います。前にいた業界はどちらかというと、そういったことは推奨されていない様に感じたので、その違いに当初かなり戸惑いを感じました。駄目だと思っていたことを、やっていかなければいけないし、今はまだまだ良い個人事業主にはなれていないです。
「VENUS PROJECT」では、初の主役となりますが、決定した時の気持ちはどうでしたか?
決定の連絡を頂いた時は、嬉しい!という気持ちが半分と不安が半分という感じでした。自分が声優として本当にやっていけるのか、ということにすごく不安を感じていた時期で、私に出来るのだろうか、駄目にしてしまうのではないか、と後ろ向きな気持ちでいっぱいでした。
競争が激しい声優業界で活躍し続けるために、努力、勉強は欠かせないと思いますが、欠かさずにやっているトレーニングなどありますか?
滑舌に自信がないので、その練習は日常も含めて欠かさずしています。後は表情筋の動きが小さくなっていたので、よく動かす練習をしてます。昔の写真と見比べると、顔が変わったというか、笑った口元がちゃんと笑ったラインになったなー!と思います。昔は横に引っ張るしかできなかったのですが、今はちゃんと弓形になるのが感動です。
あなたにとって「個性」とは何ですか?
何も考えなくても自然と出てくるものでしょうか。本当に驚いた時に出る声とか反応みたいな。計算ではなく、自然と生まれるもの。
憧れの人や尊敬している人は誰ですか?その理由も教えて下さい。
ありきたりですが、人として尊敬しているのは母です。懐の深い所と忍耐力はすごいと思います。母には今現在も含めて沢山の迷惑をかけていますが、本当によく出来た人だなと思います。自分も母のようだったらもっと大成している気がします……。
好きな音楽、映画や本、演劇などで一番影響を受けたものは?
東宝ミュージカルの「エリザベート」です。元のお話や音楽が素晴らしいのはもちろんなのですが、キャストによって全く受ける印象が違うというか、違うお話になるように感じるところが面白いです。それぞれの役者さんが演じる役の個性の組み合わせによって、大きな運命の流れは変わらなくても、毎公演がまったく違う作品の様で、つい何度も足を運んでしまいます。それは同じセリフの同じ役ではありながら、型にはまった演じ方ではなく、自分なりの役を皆さんがちゃんと演じられているからなのかなーと思います。
息抜きの方法を教えて下さい。
息抜きが必要なほど何事も深く考え込まないようにはしています。よく友人と“どこか遠くへ行こう!”と言っていますが、中々予定が合わず、行けることは少ないです(笑)。でもそんな話をしたり、笑ったり、友人と過ごす時間が一番の息抜きかもしれません。後は、もやもやの原因は大抵お仕事なので、お仕事で上手くいったりすると晴れる気がします。“目には目を、歯には歯を”なのかもしれませんね。
他人が思う自分の像と、実際の自分自身との差があると感じる部分を教えて下さい。
よく、ぱっと見は大人しくて従順そうに見えると言われますが、しばらく経つと、案外明るいというか、変わった性格をしていると言われます。差があるというより、性格って多面的なので、単面をとりあげられると違うなーと思うのですが、それは私の一面でもあるので、まるっきり違う自分でもないという感じです。
自分のやっていることで、日本や世界が変えれるとしたら、どんなところだと思いますか?
声優的なところで言うと、このまま私が100歳くらいまで声優が出来れば、記録が変わると思います。
一気に視界が開けた瞬間や、自分が成長したと実感した出来事があったら教えて下さい。又、その時の感想も教えて下さい。
今回「VENUS PROJECT」で主演をやらせて頂くにあたって、かなりしっかりと講師の方に個人指導をして頂いたのですが、その時に“思いっきりやる”ということが分かった気がします。自由にやるというか、「え!こんな風にいっても大丈夫なんですか?」みたいな。その瞬間、今までご指導頂いた方々のおっしゃっていたことが一気に分かって感動しました。なので、頭が固く、迷走ばかりする私に根気強く付き合って下さった先生には本当に感謝しています。
3年後、5年後の自分はどうなっていると思いますか?そして、どうしたらそれになれますか?
少し前まで、3年後には消えている気がする!と思っていました。でもこの数か月で、自分でも少し前に進めたと思えるので、今は5年後には消えている気がする!という感じです。その後も、3年後にはその次の3年後にもお仕事を続けていられるように成長し続けなければいけないと思っています。大きなことを言ってしまいました!もし3年後に消えていたら、どうぞこの質問項目だけで良いので、そっと消しておいてください。
wikipediaにも載っていない様な、とっておきの秘密を教えて下さい。
なんだかんだクレジットカードは3枚持っています。(多重債務じゃないです!)でも枚数は今後変わるかもしれないので、wikipediaには書かないでくださいね!