全国の大人気コーヒーショップが小江戸に集結する「川越コーヒーフェスティバル」がまもなく開催!6周年を迎え、ますます注目のグルメイベントにて、極上のコーヒー&フードx音楽体験を

2022/11/10

年間700万人以上もの人々が訪れる観光地として知られる小江戸川越。コロナ禍で元気がなかった街並みもようやく活気を取り戻しつつあるが、今年も「川越コーヒーフェスティバル」が例年通り12月10日、11日の週末に開催されることが決定した。

今年は7回目の開催。今回も例年通り全国から選りすぐりのコーヒーやフードの名店ばかりが軒を連ねる。都心の人気店はもちろんのこと、全国から沖縄、長崎、島根、神戸、大阪、宮城、富山など、それぞれが独自に焙煎した個性溢れるコーヒーを披露する。最近は、店主自ら産地に赴いて、コーヒー農園の生産者たちと密にコミュニケーションをとるお店も増えているので、店舗ごとに一杯のコーヒーに対する想いやストーリーもよりユニークかつ厚みを増して来場者に届くに違いない。

(左上)音楽ライブの様子(右上)フェス終わりに恒例の一枚。tak beans 松崎、G⭐︎P COFFEE ROASTER 実、コーヒーフェス主催 高綱、HANDS COFFEE 伊藤、Life Size Cribe 吉田 (左下)Bespoke Coffee Roasters 畠山 (真ん中)MIAMIA 三木、ヴォーン(右下)ボランティアスタッフと看板

そして、音楽ライブを楽しみにしている人も多いはず。今年は3回目の出演となる奇妙礼太郎、1回目から出演しているジャズシンガーのEmaというお馴染みの豪華メンバーに加え、川越コーヒーフェス初出演となる大注目のラッパー、NAGAN SERVERがトリオで登場。さらに、若手のシンガーソングライターで、ドラマなどで俳優としても活躍している美大生アーティスト、河合ルイが2日間とも出演を決めた。

HIGHFLYERSでは、このイベントを過去に何度か取材しているが、今年は弊メディアのライターでこのフェスの主催者である高綱かやと、1回目からフェスに参加し、わずか6年間で世界トップのバリスタに成長した畠山大輝の対談を実現。川越コーヒーフェスティバルがきっかけで出会った二人の、過去のフェスの思い出や今年の見どころ、今後についてをたっぷりと伺った。

川越コーヒーフェスが運んでくれた出逢いは宝物。コーヒーの旅をすることで新しい景色を見て欲しいし、ずっと美味しいコーヒーを飲み続けられる環境を作っていきたい

ー今年で7回目を迎えるそうですね。まずは、主催者である高綱さん、川越コーヒーフェスティバルが始まったきっかけを教えてください。

高綱:私は2014年に帰国するまでの10年間、米国ロサンゼルスのハリウッドで暮らしていました。ハリウッドは世界的に有名なエンタメの街で、いろんなイベントが毎日のようにあちこちで楽しめる場所。そこから生まれ育った川越に戻ってみたら、リズムも風景もまったく違う毎日が待っていて。帰国してからしばらくの間は、病気の母の看病に追われていたのですが、母が他界し、仕事も見つかって落ち着いてきた頃、ふと「心が躍るような体験、最近何もしてないなぁ」って思って。そんな時、アメリカで出会ったコーヒーのサードウェーブの衝撃やワクワクをふと思い出し、またあんな気持ちになってみたいなって思ったのがそもそものきっかけです。

そもそものお二人の出会いは?

畠山:川越でコーヒーフェスをやるから出店者を探している、という情報を知り合いから聞いて、僕が高綱さんに出店したいと連絡したのが始まりです。当時、知り合いがやっているイベントに参加することはあったけど、東京コーヒーフェスのような大きなフェスは応募しても落選するし、知らない人の主催するイベントでOKをもらえたのは、川越コーヒーフェスが初めてだったんで、出られるって決まって嬉しかったのを覚えています。

高綱:私には、川越コーヒーフェスに関して恩人が二人いて。一人はLife Size Cribeの吉田さん。吉田さんは、もともと知り合いでしたが、フェスをやりたいって相談したら、その場でいろんなコーヒーショップのオーナーに「面白そうなイベントやるけど、出ませんか?」って電話してくれたんです。吉田さんがいなかったら川越コーヒーフェスは存在しません。そしてもう一人が畠山さん。最初に出たいって連絡をしてきてくれた人です。私がどんな人かも、どんなイベントになるかもわからないのに、出たいって言ってくれて、すごく嬉しかったんです。

そんな出会いだったんですね。それから二人はずっと仲良しなんですか?

畠山:そんな仲良くないです(笑)。川越コーヒー大学あたりからですかね。

高綱:その前に、通訳の仕事でハワイのコーヒー農園に行ったのですが、Qグレーダー仲間に「カッピングしたいから日本から豆をたくさん持ってきて」って言われて、たまたま畠山さんの豆もあったので持っていったら、アメリカ人みんな大絶賛で。そこからまた仕事をお願いすることが増えました。当時の畠山さんは、コーヒーの競技会に出るために、コーヒーとは別の仕事をしながらお金を貯めていた時期。私はもっとコーヒーフェスを楽しんでもらうために教育的なイベントを作りたいと思っていた時期だったので、タイミングも良くて、畠山さんに相談して、一緒に「川越コーヒー大学」という学びの場を作ったんです。

畠山:ハンドドリップ講座レベル別とか、味覚を鍛えるクラスとか、いろいろ無茶振りしてくるんですよ(笑)。しかも長時間なのでけっこうハードなクラスばっかりでしたけど、そこで集まったセミナー代は全部僕に渡してくれてましたもんね。

高綱:大会にかかる費用って高額だし、前年は予選落ちしていたし、畠山さんがお金もなくて、ギリギリのところで頑張っていたのわかっていたので。でも、全部ちゃんと準備してきてくれるので、コーヒーに関しては絶対にサボらなくて本当にすごいなぁって尊敬していました。いよいよ国内の大会が近づいてきた時は、オフィスのカレンダーの大会当日のところに大きく「優勝!」って書いたよね。

ーそれで本当に優勝して、世界大会で準優勝になったのは素晴らしいですね。

高綱:今でも鮮明に憶えてるんですけど、国内決勝の数日前、飲ませてもらった大会仕様のコーヒーがあったのですが、私、飲んだ瞬間に涙が止まらなくなっちゃって。15年くらいスペシャルティコーヒーを飲んできたけど、そんな経験は後にも先にもあの時だけです。そのコーヒーは、それはそれはピュアで繊細で、綺麗なサーモンピンク色が目の前に広がるような、その反面、今にも壊れそうなギリギリのところを歩いているような危うさと儚さもある。畠山さんが命をかけているのが伝わってくる、刹那的だけど本当に美しいコーヒーでした。この人に世界への扉は開かれたなって確信した瞬間でもありました。

畠山:そんなコーヒー作れるなんて、僕ってすごくないですか(笑)?

高綱:あれは、技術だけではどうにもならない、あの瞬間だけの生きたコーヒーだったと思います。 こうして世界で準優勝するまでの、見たことのない景色やコーヒーの味を体験させてもらえたことは本当に感謝しているし、畠山さんとの出逢いは、コーヒーフェスが運んできてくれた宝物だと思いますね。

畠山:やっぱり応援してくれる人のことを考えたら、さぼれないですよね。世界大会の直前も、何度もめげそうになったけど、クラファンで支援してくれた人のことを考えたり、国旗にみんなが書いてくれたメッセージを見たら、「まだまだ頑張れる。もう一回練習してみよう」って自分を奮い立たせてました。

川越コーヒーフェスでの出逢いがそんな素敵なドラマを作っていったなんて、すごくいいですね。では、お二人が今でも印象に残っているコーヒーフェスの思い出はありますか?

畠山:すぐに思い出すのは、去年行列が長すぎて高綱さんにすごく怒られたことです(笑)。あとは、1回目の時、蓮馨寺のお坊さんが袈裟を着たまま飲みに来て、それだけでもびっくりしたのに、一度飲んで感動してくださって、同じ日に何杯も買いにきてくれたのは驚いたし嬉しかったですね。あれだけたくさんの錚々たるお店があるなかで、同じ人が同じ日に何度も来てくれることって初めてだったんです。

高綱:私は1回目開催の当日の朝。フェスのためになけなしの貯金を全部注ぎ込んでいたし、雨が降ったらアウトのギャンブルだったけど、早朝に蓮馨寺に向かう車の中で、雲ひとつない晴れ渡った空を見たら涙が込み上げてきて。空を見上げながら、天国の母に「ありがとう」って言いました。会場に着くやいなや、ずっと見守ってくれていた幼馴染のまきと会った瞬間、泣いて抱き合ったのを憶えてます。本当にみんなに支えてもらってます。

川越コーヒーフェス第1回目の様子

とても良い話ですね。他のイベントと比べて、川越コーヒーフェスの特徴ってなにかありますか?

畠山:コーヒーの競技会で優勝するような、世界でも名の知れたコーヒーショップやバリスタが一度に集まっているイメージです。人気店のオーナーは実店舗にいないことも多いので、川越で創業者に会えて、コーヒーまで淹れてるっていうのは、すごく貴重ですよね。

高綱:フードも超豪華で、麻婆豆腐かかんのオーナーのしょうたさんとか、あのバーガーマニアのオーナー守口さんが自らバーガー作ってるんです。これって、本当にレアなことですから。

畠山:あとは、コーヒー豆がすごく売れるフェスだってみんな言いますよね。それは、わりとコーヒー文化は浸透していて、家飲みする人が多い街ってことかもしれないですね。あとは、お客さんが毎年覚えていて会いに来てくれるし、他のイベントやお店にもわざわざ足を運んでくれます。川越は本当に温かい、良いお客さんが多いと思います。

高綱さんにお聞きしたいですが、お店選びの基準はあるんですか?

高綱:コーヒーを詳しくない川越の友達に、どこのコーヒーを飲ませたいかが私の中の基準です。普段はなかなか飲めたり会えたりしないコーヒーショップの味や人との触れ合いの場を作りたいから、必然的にチャンピオン級の方が多いかもしれませんけど、実は、ローカルカルチャーに根ざしたショップ、独自の路線を極めているお店、人がユニークで魅力的なお店など、私が長年飲み歩きして出会ったなかでも選りすぐりの、皆さんに是非飲んでいただきたいと思うお店がぎっしり詰まってます。そして、そもそもの大前提は、主観ですがコーヒーがとても美味しいことですね。

最後に今年のコーヒーフェスに向けてと、今後の展望をお二人に伺いたいです。

畠山:今年はオペレーションを考えて、より多くの方が僕のコーヒーを楽しんでいただけるように工夫したいと思いますし、去年のように良いコーヒーも持っていくので、今まで飲んだことない味も楽しんでいただきたいです。今後の展望は、10月に初の店舗をオープンしたので、まずは10店舗目指して頑張りたい。それから、まだ獲れていない世界王者の座も手に入れたいですね。

高綱:欲張りすぎませんか(笑)?

畠山:今、コーヒー市場は中国や欧米が強くて、このままだと買い負けて、日本に良いコーヒーが入って来なくなる可能性がある。そうしたら僕が美味しいコーヒーを飲めなくなるじゃないですか。自分が美味しいコーヒーを飲みたくて頑張ってるのに、そんなことになったら僕が一番困るんです。それに僕は、競技会でもビジネスでも、攻略することに興味がある。このフィールドだったら、こうやって攻めれば攻略できるなっていつも考えているんです。だから、これからも攻略法を考えながら、自分のコーヒーを大きくしていきたいですね。

高綱:急に畠山さんが凄腕のビジネスマンに見えてきました(笑)。私は、今年から入場料をいただくので、それでもお客様が来てくださるか心配で眠れません。音楽もコーヒーも、今年も最高すぎるラインナップなので、楽しみにしてくださってる方々の心に響くフェスになるよう、大切に丁寧に準備を進めてるので、どうぞよろしくお願いします。そして今後の展望は、自分のお店「カフェパトリシア」で、コーヒーフェスの余韻を年間でずっと楽しめるようにしていきたいと思っています。イベントでいうと、1月は川越で初のラテアート大会の開催も予定していますし、そろそろ長年の夢であるコーヒーマガジンの制作に向けても動き始めたいです。いろいろ大変なことも多いけど、引き続きいろんな形で、美味しいコーヒーで豊かになるライフスタイルを提案していけたら良いなと思っています。

Text: HIGHFLYERS/Photo: Atsuko Tanaka

撮影協力:cafe patricia  Insta: @cafepatricia

川越コーヒーフェスティバル2022 -dig your coffee spirit-

【日時】 2022年12月10日(土)&11 日(日) 10:00-16:30 雨天決行

【場所】蓮馨寺 埼玉県川越市連雀町7-1

【入場料】500円 入場券付き飲み比べマグ&コーヒーチケット4枚 2500円(税込・前売り2300円)

【イベント内容】全国の人気コーヒー&フードショップ約30店、コーヒー飲み比べ、コーヒーインストラクター3級検定、音楽ライブなど

【ライブアーティスト】奇妙礼太郎、Ema、NAGAN SERVER TRIO with Takeshi Kurihara and Jackson、川合ルイ ほか

 

高綱かや プロフィール  

埼玉県川越市出身。 幼少期からダンスと歌を始め、学生時代から日本で数々のミュージカルやストレートプレイの舞台に出演。さらに追求するため、2004年に米国へ単身留学し、ステラアドラー演劇学校やステッペンウルフLAで演劇と戯曲を徹底的に学ぶが、同時に、当時米国で大きなムーブメントとなったコーヒーのサードウェーブによる街の変化に衝撃を受けて、並行してアメリカンカルチャーの取材を始める。その後、ライターとして「自遊人」などのライフスタイル誌やカルチャーマガジンのアメリカ特集やロケハン担当、通訳として活躍するが、母の末期癌が見つかり、看病のため 10年暮らしたアメリカから帰国。2016年よりHIGHFLYERSのライター・インタビュアーとして多くの著名人の取材に携わる。2017年に川越・蓮馨寺で「川越コーヒーフェスティバル」をスタート。他に、「Beautiful Coffee」や「川越コーヒー大学」を企画するほか、百貨店のコーヒー企画やコーディネート、その他のPRなども積極的に行う。2021年には自身のお店「カフェパトリシア」をオープン。Insta: @kawagoecoffee

 

畠山大輝 プロフィール 

埼玉県春日部市出身。「Bespoke Coffee Roasters」焙煎士。人材派遣会社で過酷な労働を経験したのち、前向きなニートに。ある日、親に頼まれたコーヒー豆を買いに訪れたコーヒーショップでコーヒーに興味を持ち、ハンドドドリップ教室を受けたことがきかっけでコーヒーの世界にのめり込む。2017年ジャパンブリュワーズカップ3位、カップテイスターズ2位。翌年の予選落ちを経て、2019年は同競技会で両方優勝し、史上初の2冠に輝く。2021年にイタリア・ミラノで行われたワールドブリュワーズカップではオープンサービスで世界最高得点を出し、総合で準優勝に輝く。また、2022年には、焙煎の日本一を競う大会「ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ」で国内2位となり、コーヒーに関わる競技会の多くのカテゴリーで優秀な成績を残し、真の実力を証明し続けている。2022年10月、埼玉県宮代町に初の実店舗「Bespoke Coffee Roasters」をオープンした。Insta: @daiki_hatakeyama_coffee