ニコライ・バーグマンと陶芸家・建築家の奈良祐希の展覧会「JAPANDI-NA」が開催!日本の伝統と北欧のミニマリズムの融合から生まれる新たな美
2021/12/07

世界を舞台に活躍するフラワーアーティスト、 ニコライ・バーグマンと、陶芸家・建築家の奈良祐希による展覧会「JAPANDI- NA(ジャパンディーエヌエー)」が、12月14日から南青山のNicolai Bergmann Flowers & Design Flagship Storeにて行われる。
「JAPANDI-NA」とは、日本のわびさびを感じるデザインと、北欧のミニマリズムを融合したJAPANDI(ジャパンディ)とDNAを合わせた造語。今展示では、350年以上の歴史を誇る茶陶、大樋⾧左衛門窯から受け継がれてきた伝統をDNAに持つ奈良が生み出す陶芸に、北欧のミニマルで時代を超越するデザイン性と日本の伝統美にインスパイアされたDNAを宿すニコライがフラワーアートを施した作品の数々を披露する。
また、奈良がニコライのシグネチャーアイテムであるフラワーボックスをイメージした新作や、奈良が陶芸を設計する際に描くCADのドローイングに、ニコライのアートを組み合わせた作品も発表されるとのこと。全く違うバックグラウンドを持つ2人が対峙し、内なるDNAを表現した作品に期待がかかる。HIGHFLYERSは、二人をインタビューし、出会ったきっかけや、お互いの作品を見て感じたこと、作品展を通して期待してほしいポイントなどを聞いた。
二人の共通点は、洗練されたミニマリズムやシンプルさを追い求めていることと、作品の中から出てくるエネルギー
―まずはお二人の出会いを教えてください。
奈良:最初のきっかけは、共通の知り合いのご夫妻を通してでしたが、それ以前もニコライさんのことはいろんな方から聞いていて、いろんなコラボレーションだったり、フラワーアレンジメントのスクールだったり、すごい社会的な活動をされているのは存じ上げていました。
―初めてニコライさんの作品をご覧になったのはいつ頃で、どんな印象を受けましたか?
奈良: 2000年ぐらいの時にちょうど金沢でポップアップをやっていて、僕がまだ高校生の頃ですね。フラワーアレンジメントって「こうあるべき」みたいなのがあるのに、黒い箱に入っているっていう、新鮮だなっていう驚きがありました。
―ニコライさんは初めて奈良さんの作品を見たのはいつ頃でしたか?
ニコライ:今回のコラボレーションが初めてでした。彼の陶器のデザインのアプローチは今まで見たものと全然違って、すごくモダンでエッジが効いていて。でも彼のコアな考え方には伝統な部分が入っていたりして、そのコンビネーションがすごく面白くて新しいと思いました。
―奈良さんは伝統的な家元のご出身ですが、この作品からそういうことは感じます?
ニコライ:デザインから直接そういうものを感じるというよりは、彼と話をしてみて、伝統的な考え方を持っていることや、日本の職人さんのいろんな素晴らしさをリスペクトしていることを感じます。彼が描く建築のドローイングはすごくドラマチックですが、そういうものにも少し伝統的な要素が入っているように思います。
―今回、奈良さんの作品を見て、お花のアレンジはすぐに浮かびましたか?
ニコライ:一見簡単に花を生けられる感じではない作風なので、久しぶりに楽しく、これはどうやったらいいのかなって考えましたね。最初は和を意識して、すごく繊細で柔らかいシルエットのものを考えたんですけど、そうすると和風になりすぎる感じがして。また、ラブリーな可愛らしいものと組み合わせると、マッチングはいいかもしれないけど、花器と花を別々に楽しめる感覚がなくなると思いました。
―全体的な一体感を意識するだけでなく、それぞれ単体として見ても楽しむことを意識されたということですか?
ニコライ:そう、今回の「JAPANDI」とか「DNA」っていうところはすごく大事だと思っていて、半分以上の方はパッと見て一つの作品として見られると思うけど、残りの半分の方は別々のものとして感じるのではないかと思うので、そこは意識しました。
―奈良さんの器に、このお花で勝負してくるニコライさんがさすがだなと思いました。奈良さんはこれを見た時、どう感じましたか?
奈良:最初写真で送られてきた時、びっくりしました。ニコライさんの頭の中って、ミニマリズムや、シンプルさとか洗練された感じのイメージがあるけど、ポイズンみたいな、調味料みたいな、何か一つスパイスがあると思うので、それこそ日本のからしですよ(笑)。からしが好きっていう意味がわかりました。

左:今展示のメイン画像としても使われている写真。奈良氏は、この写真を見て驚いたと言う
―奈良さんの想像を超えてました?
奈良:さっきニコライさんがおっしゃっていたように、この器にお花を生ける時って、器を生かしてみたいな感じになると思うのですが、別々の世界観として見るのか、一緒なものとして見るのかとかは、見る人それぞれが感じればいいんだと思います。お互いの世界観みたいなのがあると思っていて、それが「JAPANDI」、「北欧と日本の」みたいなことになるんでしょうか。花器は、花と融合しなくてもいいのかもしれない。でも、あと1年後くらいに見たら融合しているように見えるのかもしれないですね。多様な見方があるんじゃないかなと思います。
―ニコライさんの作品に日本らしさは感じますか?
奈良:フラワーボックスは完全に日本だと思います。あれは日本人が大好きな感じですよね。それをニコライさんがアイデアとして思いついて形にしたのは、日本へのリスペクトを持っているのかもしれないし、そういう意味で、今回僕とコラボレーションして、すごい面白いことになるんじゃないかなと思います。
―では、ニコライさんから見て、奈良さんにしかない唯一無二なものってなんだと思いますか?
ニコライ:まさにさっき説明した、伝統的な、家族から生まれてきたものがあると思いますけど、そこから生まれてくるのがこれっていう意外性がすごい面白い。そこが彼の特徴じゃないですか。自分の目線から伝統を再構築した感じがします。
―奈良さんから見てニコライさんの唯一無二なところは?
奈良:僕の家は当主制で、伝統的な、まさに日本のジェネレーションっていうのがあるんですが、対してニコライさんはベンチャーですよね。ニコライ・バーグマンさんという人が、一つのブランドをパーソナリティで作った。だから全然違うけど、僕もそういう人でありたいし、ベンチャー的な気持ちでいたい。そういうジレンマの中で今こういうことをやっているから、憧れるしリスペクトしています。
―お二人の共通点、似ていると感じるところはありますか?
ニコライ:まさに今回の「JAPANDI-NA」、日本と北欧のエッセンスやバランスというのは、お互いにリスペクトしていると思います。私は北欧から日本に来て、彼は日本の伝統の中で生きてきたという違いはあるけれど、デザインだったり、ミニマリズム、考え方、クラフトマンシップの部分やディテールにこだわるところとか、共通点は意外とあると思います。
奈良:洗練されたミニマリズムやシンプルさを追い求めていることと、中から出てくるエネルギーみたいな、僕の作品の刺々しい感じは、ニコライさんのお花にもそういうアクセントがあると感じます。それは多分ニコライさんの内から出てくる何かを表現したいエネルギーなんだろうなと。
―それでは最後に、この作品展をどういう人に見て欲しいですか?
ニコライ:私と奈良さんの作品を見た人たちが、インスピレーションを感じて、例えば絵を描きたくなったり、デザインしたくなったり、ワクワクするような気持ちに繋がったらとても嬉しいです。
奈良:この作品展の裏コンセプトは、喧嘩のセッションなんですよ。僕が作品を作って、ニコライさんがうぉ〜ってなってお花を生けて、僕もうぉ〜ってもっと頑張らなきゃってなって、そのスパイラルが続く感じ。ニコライさんの想像を上回るものを見せたい気持ちでいっぱいで、ニコライさんの顔がずっと毎日離れないんです。残像みたいなものが、夢にも出てくるくらい(笑)。それを乗り越えたいと思います(笑)。
Interview: Kaya Takatsuna / Text & Photo: Atsuko Tanaka
ニコライ・バーグマン×奈良祐希『JAPANDI-NA』
開催期間:2021年12月15日(火)〜2022年1月14日(金)
開催場所:Nicolai Bergmann Flowers & Design Flagship Store 2F
東京都港区南青山5-7-2 2F
TEL:03-5464-0716
開場時間:11時〜18時
休業日:2021年12月29日~2022年1月4日
入場料:無料