「WE HAVE A DREAM 201カ国202⼈の夢 × SDGs」が6/2に発売!持続可能な開発や問題に取り組む、Z世代・ミレニアル世代の若者たちが描く夢とは

2021/05/21

世界201の国と地域でSDGsの達成に取り組む202⼈の若者たちが夢について書いた本「WE HAVE A DREAM 201カ国202⼈の夢 × SDGs」が、6月2日に、いろは出版株式会社よりリリースされる。

この本は、WORLD ROAD Inc.代表、そして次世代リーダーが参加する世界最⼤の国際会議「One Young World (OYW)」⽇本代表である市川太⼀と平原依⽂が企画提案し、世界の同世代へ呼びかけ、各国の持続可能な開発や問題に取り組むZ世代・ミレニアル世代の若者たちの⾏動や、描く夢を⼀冊にまとめたものである。新しい⽬線からSDGsを捉え、同じ今を⽣きる若者たちの夢を通じて、多様な⽣き⽅や多彩な価値観、多岐にわたる課題など、様々な “世界”を知ることができる。

One Young World に参加した時の様子 写真左真ん中が市川、写真右の左端が平原

市川と平原が代表を務めるWORLD ROADは、「地球を1つの学校にする」というビジョンを掲げ、SDGsを起点とした学校・育成事業、サステナビリティのPRとブランディング事業を、全国の企業や⾃治体に向けて展開している。「夢で未来を照らし、世界を元気にするプロジェクト」として、WORLD DREAM PROJECTをいろは出版と共同で⽴ち上げ、本書の出版に至った。これをきっかけに、次はドネーションを募って世界201カ国にこの本を届けることを⽬指していると言う。

そこで、小学生の時から海外の様々な国に留学し、多様な文化や価値観に触れてきた平原を取材し、本の制作のきっかけや、共著書たちの境遇や想いを通して感じたこと、今後の夢などを聞いた。

国籍・性別・年齢・宗教関係なく、「夢」という誰しもが持つ共通の輪を軸に、202人の生きた物語を通して、少しでも世界を近く感じてほしい

―まず、この本を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

私が市川と共同経営するWORLD ROADのミッションは、「地球を一つの学校にする」です。私たちは、最前線で社会問題を解決する世界中の人たちが、お互いから学び合える環境づくりをしたいという想いから、「世界 x SDGs」を軸とした企業や自治体向けの研修・コンサルティングを通して、教育機関向けの授業作りをしてきました。そうした活動をしていく中で、市川と「いつか、生きた教科書を作りたいね」という話になって。どんな本がいいかなとカフェで妄想していたら、彼が高校時代にお母様からプレゼントしてもらった「高校生の夢」の話になり、「この本の世界 x SDGs版を作ろう!」となって、すぐに企画書を作って、いろは出版さんに送りました。

―思い立ってすぐに行動に移されるとは、さすがですね!

SDGsと聞くと、遠い国の難しい話に聞こえてしまい、なかなか身近に感じることが難しいため、国籍・性別・年齢・宗教関係なく、夢という、誰しもが持つ共通の輪を軸に、202人の生きた物語を通して、読者の皆さまに少しでも世界を近く感じてほしいという切実な思いのもと、本作りが始まりました。

―本のベースにある「WORLD DREAM PROJECT」は、どのようにして始まったのですか?

元々、いろは出版の代表である木村さんが「日本ドリームプロジェクト」と題して、日本中から夢を集め、「〇〇 x 夢」をテーマとした本を出版していたのですが、今回は日本から世界に夢集めが広がるので、わかりやすく「WORLD DREAM PROJECT」と題しました。最初は196カ国を目標に夢集めをして、市川と私が参加したことのある青年版ダボス会議One Young World(世界最大のユースサミット)で出会った、世界の代表者の中でも最も印象に残っている方にFacebookで連絡したり、One Young Worldのホームページに応募概要を掲載してもらいました。本当は世界中を飛び回って、夢集めをしたかったのですが、本作りが始まった瞬間にコロナ禍になってしまったため、SNS上で可能な限り拡散を試みました。

―本に参加した202名の選出はどうやって?

応募したら世界各国の約800人から連絡が来て、正直どの夢もすごく魅力的で選ぶのが大変でした。夢が届くたびにチーム全体に向けSlack上で共有し、毎週開催される編集会議で各国の代表者を決めていきました。選定する中で特に重要視したのは、代表者の物語の中で語られている、これまでの「生い立ち」と「夢」に一貫性があるかどうかです。その方がこれまで経験してきたことがどのように今の夢と紐づいているのか、そして、夢を通じてどのような景色を見たいのか、そこが明確になっている方を最終的に本の「共著者」として選びました。

―共著者たちの活動を知って、平原さんが感じたことや影響を受けたこと、新たな発見などあれば教えてください。

私が一番感じたことは、誰しもが「目の前にある世界と戦い、世界を愛している」ことです。共著者のほとんどは、日本では考えられないくらいの壮絶な体験や困難を体験しているのにも関わらず、誰一人悲観的に考えずに、「より良い世界にしたい」という想いを持って活動しています。皆さんの勇気に対して、共感を得ることができるのも、夢の力があってのことだなと改めて実感しました。同時に、これまで国際ニュースとして見ていた海外の出来事が一気に身近になり、自分ごとのように感じるようになりました。

―しかし、200カ国の202人とやり取りするのは想像するだけでかなり大変そうですね。どんなことに苦労されましたか?

202人それぞれとは、市川がリードしながら、原稿の確認や追加質問、写真の再撮影依頼、大陸の確認等など、15回くらいやりとりをしました。みんな母国語がそれぞれ違うので、わからない言語に関してはGoogleの翻訳を使ったりして日本語に訳して。翻訳は心が折れるくらい本当に大変でした。それと、SDGsの目標が偏ってしまい、6番の「安全できれいな水とトイレを世界中に」と7番の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の夢が全く集まらなくて探すのに苦労しましたし、原稿を印刷にかける1週間前に、ある国の代表者が辞退し、新たに探さなければいけなくなるなんてこともありました。また、時差があるので、やり取りはその国の時間に合わせてしないといけなかったですし、当初は本の制作は半年くらいあればできるだろうと思っていたら、結局1年半かかりました。

左上:集まった国や足りない国を、共著者とのFacebookグループにシェアして、みんなから協力を募った 右上:母国語から英語、日本語に翻訳 右下:最終原稿確認中 左下:各共著者とは、Google documentなどで原稿のやりとりをした

―いろんな苦労があって、実現できた本なんですね!この本をどんな方に読んでほしいと思いますか?

社会貢献をしたい方々に読んでほしいです。特に日本においては、受験に追われながらも世界についてもっと知りたいと思っている学生の方や、お子さんに世界についてもっと知ってほしいと思っているお父さんやお母さん、自身の仕事のパーパス(存在意義)を見失っている社会人の方や、企業のCSRの方、経営陣の方に読んでいただきたいです。

―ところで、平原さんは、小学生の頃から中国、カナダ、メキシコ、スペインと、色んな国に留学された経験をお持ちですが、それぞれの国からはどんなことを学びましたか?印象的な出来事などあれば教えてください。

色んなことを学びましたが、全てに共通することは「人間らしくいれば、国籍は関係ない」ということです。留学に行く前は、日本人としての私や、言語の壁を意識しすぎていましたが、行ってみると本当に関係ないんだなと思って。誰しもが「何人」である前に、一人の人間であるからこそ、自分は目の前にいる人に何を伝えたいか、それに尽きると心底感じました。まず、中国では教育の重要性を学びました。同じ歴史一つとっても、国が違えば伝えられ方が異なります。それが理由で子供の時から偏見が起きることもあります。教えられていないから知らないではなく、ただ答えしかくれない教育でもなく、自ら好奇心を持って調べることも大切なんだと実感しました。また、カナダでは、教育は選択問題の中から選ぶものではなく、自ら選択を作っていくものだと学びました。中学2年生の時に “Life Planning”という全生徒共通の授業を受けてショックを受けたのが、ことの発端です。その授業の内容はシンプルで、30人がいる教室の中で、「自分が高校を卒業したら何をするのか」を順番にスピーチしていく授業でした。高校を卒業した後は自然と大学に行くことしか頭になかった私は、周りの同級生のスピーチを聞いて驚きを隠せないと同時に、自分自身の視野の狭さにすごく反省しました。学校は受験のためにあるのではなく、将来社会に出た時に向けて、人間としての基礎を作ってくれる場所だからこそ、高校を卒業した時にどんな人生を過ごしたいのか、そのために、どんなことが学生時代に必要なのか考えなければならないと思いました。

カナダ留学時 左:卒業写真の撮影会にて 右:当時習っていたインドの伝統舞踊ボリウッドダンスのお披露目会にて

―とても貴重な経験をされたんですね。メキシコとスペインはいかがでしたか?

メキシコは、LA FAMILIA(家族)の重要性を学びました。仕事、学業、家事がどんなに大変であっても、家族のような大切な人たちとの時間は絶対に削ってはいけない。むしろそのために時間があることを教えてくれました。そして、家族というのは血筋が繋がっている家族だけではなく、心と心がつながり合っている存在全てを含む拡張型家族も含まれることを学びました。なので、近いからこそ、オーバーにコミュニケーションを取ることを今でも心がけています。そして、スペインでは人間らしさを学びました。どんなに発展した都市で、資本主義が進んでいる国だとしても、何よりも大事なのは人間らしさから生まれる人と人の繋がり。その地区の住民しか参加できないCALCOTADA というネギ祭りに、初めてバルセロナを訪れた両親を、ルームメイトや区長さんが招待してくれて、みんなでねぎ焼きを楽しみました。言葉も何も分からなくても、人間としてお互いを想い合っているからこそ、言葉を超えた心のコミュニケーションが成立するんです。

スペイン留学時 左:大学の授業を終えて、バルセロナの都市を背景に 右:留学先のバルセロナ大学の同級生たちと

―素晴らしいですね。

こんなにも美しい4カ国で、生涯に残る経験ができたのも、両親のお陰です。両親の教育方針として「やりたいことを全部挑戦させる」「良いことも、悪いことも自己責任」の2つがあり、その揺るぎない信頼と応援があったからこそ、当時中国に行った時私はまだ8歳でしたが、小さな一歩を踏み出すことができました。海外での経験もそうですが、それ以上に両親から大きなことを学びました。

平原の両親

―留学時に教育の大事さを痛感したことも、平原さんにとってとても大きなことだったと聞いていますが、今後日本の教育はどうあるべきだと思いますか?

受験型教育をやめて、個人の「生き方」や「志」に焦点を置いた、自己探究型教育に力を入れるべきだと思います。これからは日本の雇用システムは終身雇用ではなく、個を軸とした雇用(一人がプロジェクトベースで複数企業と仕事をする)に変化する時代が来ると思うので、そうした時代に適応する人材は、やはり自身のパッションや志が明確で、専門性がある人になってきます。だからこそ、小さい時から与えられたレールの上で満足するのではなく、一歩レールから出てみて、「これってなんだろう?」「のぞいてみたいな」「もっと学びたいな」と思えるような、個に特化した自己探究教育が主流になってくると信じています。

―では、情熱を持って突き進む平原さんが、習慣にしていることを教えてください。

自分自身が感じたこと、決断に対して自信を常に持っていたいので、今の自分に宛てた手紙を毎晩書いています。21歳の時に始めました。

―それ以来ずっと続けているのですね。ちなみに昨日はなんと書いたのですか?

今の自分へ

喜(その日の気持ちを喜怒哀楽のどれかで必ず表現しています)

今日は夢本に推薦文をくれた世界中のリーダーたちに手紙を書いた。

一人ひとりの言葉を読み返してみると、改めてこの1冊の無限に広がる可能性を感じ、

同時により一層身が引き締った。

今日の反省点:一人で抱え込まない!先走って物事を決めない!少しでも迷ったら誰かに相談するようにする

今日の印象:不器用(今日の自分の印象を客観的に見て書いています)

―素敵ですね!平原さんが実現したい今後の夢は?

私の夢は教育を通じて境界線のない社会を実現することです。国境を超えて、誰がいつどこからでも、好きな時に、夢で共感した同志が、お互いから学び合える世界を当たり前にしたいです。それを実現するための目標として、この本を世界201カ国に届けていきたいです。まずは日本から。47都道府県の各一都市に足を運んで、夢の可能性についてみんなに話し、本を手渡ししていきたいです。その次は、コロナが落ち着いたら海外に行って、共著者と一緒にその国の学生に配ったり、寄付を募って共著者の活動の応援や、本を世界中の教育機関に寄贈したいです。

―みんながそれぞれの夢を実現するのに必要なことや心がけるべきことはどんなことでしょうか?

夢を周りの人に伝え続けることです!この本が1人の夢から始まって、最終的には202人の夢になったように。青臭いかもしれないですが、ご自身の夢を発信すれば、きっと誰かが共感し、それがみんなの夢になり、実現がもっと早く進んでいくと思います。

―最後に、平原さんにとって成功とは?

何歳になっても自分の気持ちに真っすぐ向き合って、正直でいることです。

Text & Photo: Atsuko Tanaka

 

WE HAVE A DREAM 201カ国202⼈の夢 × SDGs
英語版タイトル: WE HAVE A DREAM 201 Countries 201 Dreams with Sustainable Development Goals
価格:¥2,600+税
サイズ:A5判
ページ数:544 ページ
編者:WORLD DREAM PROJECT
※⽇本語版/英語版ともに、書籍は国内のみ販売。電⼦書籍(kindle)にて世界同時発売

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『WE HAVE A DREAM -201カ国202人の夢×SDGs-』出版記念展開催

本書の出版を記念して、より深く本書を読んでいただくための展覧会を開催します。夢を選り抜き、立体的に本書の魅力をお伝えします。

日時:2021 年6月3日(木)〜6日(日)9:00-20:00(最終入場19:45)
場所:代官山T-SITE GARDEN GALLARY
入場料:無料

※会期中は新型コロナウィルス感染症対策の徹底に努めますが、社会情勢により急遽イベントプログラムが変更になる可能性がございます。