新メンバーを迎え、ズートスーツを纏い東京キネマ倶楽部で圧巻のパフォーマンスを披露。ジャズとラップがダイナミックに絡み合った、SANABAGUN.ワンマンライブ「DEAD PRESIDENTS」【インタビュー&ライブレポート】

2019/04/04

新感覚でユニークな、平成生まれの若手ヒップホップアーティスト集団SANABAGUN.(サナバガン)。岩間俊樹(MC)、高岩遼(Vo.)、隅垣元佐(Gt.)、澤村一平(Dr.)、谷本大河(Sax./Fl.)、髙橋紘一(Tp./Flh.)、大林亮三(Ba.)、大樋祐大 (Key.)のメンバー8人で織りなす、ストリートにジャズのエッセンスを散りばめた個性的でセンスの光る音楽が人気を博している。

2013年に結成されたSANABAGUN.は、その翌年より路上パフォーマンスをメインに活動を開始。メジャーデビューして以来、これまでに2015 年 に1st アルバム「メジャー」、2016 年に2nd アルバム「デンジャー」を、そして2018年には3rdアルバム「OCTAVE」と4thアルバム「7shot」をリリースしている。GREENROOM FESTIVALやRISING SUN ROCK FESTIVALなどの音楽フェス参加のほか昨年は全国ツアー「TOUR OCTAVE」も成功させるなど、その人気と知名度は年々高まりをみせている。

そして先日、今年2月に加入したばかりの新メンバー・大樋祐大のお披露目会も兼ねたワンマンライブ「DEAD PRESIDENTS」が東京と大阪で開催された。東京公演は鶯谷の東京キネマ倶楽部で3月14日、15日に、大阪公演は千日前の味園ユニバースで3月21日に行われ、SANABAGUN.の魅力全開のステージを繰り広げた。HIGHFLYERSはライブ終演後、高岩と岩間にインタビューを行い、東京キネマ倶楽部の感想やライブに至った経緯、また新メンバーについてや二人の共通点、今後叶えたい野望などを伺った。

30歳を目前にようやく8人揃ってキネマに立てた。新メンバーは、SANABAGUN.のマインドを持った、 れっきとした“ならず者”

ー今回雰囲気がガラッと変わりましたが、いかがでしたか?

岩間:あっという間でした。 今回のライブはコンセプトやストーリーがしっかりあるというよりも、昔お金持ちで名を馳せていたマフィアっぽく、イケイケで音楽をやっていくみたいなノリでしたね。やってる音楽には自信があるので、そういう感じのモチベーションで臨んでたのはあります。

高岩:タイトルが“DEAD PRESIDENTS” (アメリカ紙幣のこと。亡くなった大統領の顔が紙幣に印刷されていることから、DEAD PRESIDENTSと呼ぶ)だったんで、ヒップホップマナーに則って、ハスリングしてメイクマネーしていくようなところを誇張してやってました。

ー衣装はどうしたんですか?

高岩:これはズートスーツと言って、その昔、ハーレムとかで白人社会に向けてテーラードをルーズな感じで着られていた頃のものです。ギャング映画でマフィアも着るようなスーツで、僕たちも昔からズートを着たかったけど、まあ予算もなかったので放っておいたんですけど、30歳手前になってそろそろズート似合うんじゃない?って話になって。ようやく念願のズートって感じですね。

―高岩さんのハットの羽が凄く印象的でした。どこで見つけたんですか?

高岩:昔渋谷にあって大阪に移転したJuvenile Delinquentっていう店の人に協力してもらったのですが、それぞれ「君はこれかな」みたいな感じで話してやっていく中で、「高岩は羽でしょ」ってなりました。このハットも羽の長さも昔の黒人がやっていたスタイルです。

―キネマ倶楽部でやるのは今回が初めてですか?

岩間:初です。今まではライブハウスばっかりでしたが、スタッフもこの空間だったらSANABAGUN.は合うって確信したみたいで、演出とかも色々選択肢があって凄く面白いなと思いました。

高岩:SANABAGUN.が元来持っていたイメージに逆に合いすぎて、昔だったらToo Muchな感じがあったと思うんですけど、 俺らも結成してから6年くらい経って、まだまだガキンチョながらも徐々に大人になって、ようやくキネマに立てたなぁって感じですね。

―今回新たに加入された新メンバー、キーボード担当の大樋祐大さんのお披露目という意味もあったそうですが、彼はいかがですか?

岩間:彼しかいなかったと思います。

高岩:いいですよ、彼。22歳だし、もちろん彼のようにスキルとリズム感があればそれだけでミュージシャンとして食ってけますけど、 まあ彼は “Son of a Gun”(「ならず者」の意味。SANABAGUN.の由来となった英語のスラング)ですね。つまりちゃんとクズだっていうことです、マインドが(笑)。 SANABAGUN.にとっては、それが一番重要なんです。

― 逆にSANABAGUN.にとってNGなことってあるんですか?

岩間:いや、ないんじゃないですかね。それがSANABAGUN.なんじゃないですか。なんでもその時にエンターテイメントの本物だと思ったことを選択し続けてるんで、NGは生まれてこないと思います。基本的には大きい舵は俺たち二人が取るけど、毎回ちゃんと8人で話し合う。誰かの一存で全てが決まることはないですね。

―話は変わりますが、お二人の幼い頃のことをお聞きしたいです。どんな子供でした?

岩間:自然とおちゃらけちゃって先生の言うことを全く聞かないから、小学校の時は毎日廊下に立たされてました。

高岩:秘密です。

―二人の似ているところや共通点はありますか?

高岩:出身が東北なんですよ。僕は岩手で、岩間が青森で、高2くらいからの仲なんですよね。高校は別だったんですけど、俊樹(岩間)が高校3年生の時に僕の地元の海洋技術学校っていうところに来てて、彼はラッパー、僕はダンサーだったので、ラップしてるところに僕が飛び込みでダンスするみたいなことをやっていました。

岩間:似てるところは、わからないです(笑)。まあそういうジャイアン気質なところと、ヒップホップ聴いてきた年代が割と一緒だったりとか、そういうところじゃないですか、共通点は。

高岩:割とNGがない感じで、何でもいいかなっていう、どうでもいいなっていうところは似てるかもしれないですね。

―では、もしSANABAGUN.に入りたいという人がいたらどうしたらいいですか?

岩間:「これがSANABAGUN.だ味わえ〜」ってことを一芸でやることじゃないですか。俺らが認めるようなことを。頭使って近づいてきて、やっぱ一芸できる人ですね。そもそも「入りたいっす」って正面から来るやつは多分入れない。

高岩:気合い見せてもらえば。15階建くらいからパラシュートなしで降りてきて、それで元気だったらいいすよ、みたいな(笑)。

―それでぴったりの人がいたらメンバーになれますか?

岩間:いや、もう入れないっす。お金8等分なんでこれ以上はもうキツイっす(笑)。

―わかりました(笑)。最後に、6月からマンスリーライブが始まりますが、詳細を教えてください。

岩間:アルバムごとに2013年からのSANABAGUN.の歴史を辿るようにマンスリーをやったら面白いんじゃないっていう話になって。ライブのタイトルが6月は「White Black」で、路上限定で発売した1作目のアルバム(通称、白盤)と、インディーズからの初の流通作品 「Son of a Gun」(通称、黒盤)、7月は「Red Green」でメジャーデビュー盤「メジャー」と、路上限定で発売した2作目のアルバム(通称、緑盤)の中からっていう感じで、毎回過去のアルバムごとにセットリストを作ります。東京と大阪で4回やります。

―楽しみです!最後に、これから叶えたい夢があれば教えてください。

岩間:NFLのハーフタイムショーに出て、いつか自分がお札の顔になる。

高岩:同じくです。

―凄い!ではスーパースターになる日を楽しみにしています。

 

以下は、3月15日の東京キネマ倶楽部で行われた「DEAD PRESIDENTS」ライブレポート。

パトカーのサイレンの音と共に、舞台上手からアタッシュケースを右手に、ズートスーツに身を包んだ岩間が登場。手に持っていた黒色のスーツケースを舞台中央の赤い椅子の横に置く。すると下手のバルコニーには同じくズート姿の高岩が現れる。ハットには超長い孔雀の羽、そして右手には葉巻。哀愁漂うサックスの音色。ミラーボールが回り始める。「カネー」が始まり、一曲目からしっとりとしたラップで会場を深く包み込んだ。「俺らはレペゼンゆとり教育、平成生まれのヒップホップチーム、これがサナバガンだ味わえ〜」と低く声を響かせると、そのまま「SANABAGUN.テーマへ
」。そのまま「Be Bop」が続き、観客を一気にSANABAGUN.の世界に引き込み「L.G.M」へ。

その後は打って変わってキーボードのソロから静かに「Stuck IN Traffick」が始まりジャムセッションへと続いた。 ソロパートでは22歳と思えぬ見事なソロを披露した新メンバーの大樋は、すでにSANABAGUN.という新世界の中で居場所を見つけ気持ちよく泳いでいるのが伝わってくる。続けてようやく8人揃ったSANABAGUN.で「8 manz 」、「 ing」
、「 居酒屋JAZZ」、
「 Zoo What」、
「BooOOO!!!」、「 デパ地下」
を立て続けに披露し、時に会場を笑いで包みながら大いに盛り上げた。

高岩が上手にはけた後、静まり返った会場には9人目のSANABAGUN.(マネージャー)が登場し、岩間とのやりとりで会場を笑わせつつ、岩間の「俺たちの音楽は俺たちのものだ!」という雄叫びと共に、自分たちの音楽は会社のものではなく、それを楽しみにしてくれているファンのものだという演出表現から会場のボルテージをマックスに上げる 「三種の神器」へ。「このままラストまで行きますか!」と更に会場を盛り上げると、
「BED」、
「アカペララップ」、「 Yukichi Fukuzawa」が続き、 ラストは「FLASH 」を歌い、時折メンバーの顔がプリントされアメリカドルに見立てた紙幣をステージからばら撒いた。アンコール「8MC 」ではメンバー全員がマイクを持ってラップを披露し、「SFT 」、「人間」 で締めくくった。

音楽的スキルと粋な笑いが随所に散りばめられたライブの中、岩間のソロでは高岩がハットを取り、激しくダンスをしたり、サックスとフルートの谷本と3人でラップをしたり、曲ごとに一人一人のメンバーの個性もたっぷり堪能することができる贅沢な時間だった。また、東京キネマ倶楽部の持つゴージャスでレトロな独特の空気感と、SANABAGUN.の唯一無二の音楽センスやダイナミズムが瞬間的に化学反応を起こしたような、未来にロマンを抱きつつも終わりゆく平成や昭和を懐かしみ黄昏れるような、この空間でしか成し得なかった雰囲気を何度も体感し、ライブ後は心地良い満足感だけが残った。

Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka

SANABAGUN. ONE-MAN STAGE「2013 – 2018」

“ White Black “

日時:2019年6月25日(火) 開場18:15 開演19:00

会場:東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO

前売り:¥3,780+1ドリンクオーダー

(問い合わせ:VINTAGE ROCK 03-3770-6900)

“Green Red “

日時:2019年7月30日(火) 開場18:15 開演19:00

会場:東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO

前売り:¥3,780+1ドリンクオーダー

(問い合わせ:VINTAGE ROCK 03-3770-6900)

“ Danger Blue “

日時:2019年8月4日(日) 開場17:15 開演18:00

会場:大阪 BANANA HALL

前売り:¥3,780+1ドリンクオーダー

(問い合わせ:GREENS 06-6882-1224)

“Eight Seven “

日時:2019年8月27日(火) 開場18:15 開演19:00

会場:東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO

前売り:¥3,780+1ドリンクオーダー

(問い合わせ:VINTAGE ROCK 03-3770-6900)

詳細はオフィシャルHPにて :http://sanabagun.jp/