新しい酒米が生んだ日本酒「沢の鶴X01」新発売。沢の鶴とヤンマーがタッグを組んだ前代未聞のプロジェクト【レポート】

2018/02/25

創業300年を誇る兵庫県の酒類製造業会社「沢の鶴」と、大手農業機械メーカー「ヤンマー」によって共同開発された「沢の鶴X01(エックスゼロワン)」がいよいよ2月26日より発売される。「沢の鶴X01」は、「日本の米作り、日本の農業を変えたい」という両社の熱い志をもとに、約2年の歳月をかけて研究・開発を重ねてできた新しい酒米による日本酒である。その一般発売に先駆け、日本酒情報サイト「SAKE美人」と堀江貴文氏が手掛けるグルメ情報サイト「TERIYAKI」のプロデュースによって、先日お披露目ペアリングディナーパーティーが「ENEKO TOKYO(エネコ東京)」にて行われた。

沢の鶴 代表取締役社長の西村隆とヤンマー株式会社・酒米プロジェクトリーダーの山岡照幸(上段左)、「X01」(上段右)、パーティーの様子(下段左)、「X01」や「実楽山田錦」などとペアリングのピンチョス(下段右、中、左)

このパーティーは、沢の鶴の酒を、パンに様々な食材を乗せたスペイン料理「ピンチョス」とペアリングして楽しむという趣旨のもので、ワイングラスに注がれた純米酒「SHUSHU」、特別純米酒「実楽山田錦」、純米大吟醸酒「沢の鶴X01」、「古酒仕込み梅酒」の4種と、それぞれにペアリングされたピンチョス4種類が振る舞われた。会場となったレストラン「ENEKO TOKYO」は、東京・六本木に2017年9月オープンしたスペイン料理店で、世界有数の美食の地、スペイン・バスク地方の都市ビルバオにあるミシュラン三つ星レストラン「Azurmendi(アスルメンディ)」 のロンドンに次ぐ海外2号店として話題の店だ。グルメ界のアカデミー賞とも称される「World’s 50 Best Restaurants(世界のレストラン・ベスト50)」では世界38位に選出されている。パーティーではまず、ENEKO TOKYOの小林シェフより料理の説明が行われた。

ENEKO TOKYOの小林シェフ

ほのかな酸味を感じる純米酒「SHUSHU」には、和食の「ぬた」をイメージしたという“キノコと青ネギのピンチョス、ネギのエマルジョン”をペアリング。次に山田錦の特A地区に指定された米100%使用の特別純米酒「実楽山田錦」には、“うなぎのタルタル、アンチョビエマルション、カラスミ添え、ライムの香”のピンチョスで、パンではなくお米を使っている。

左:「SHUSHU」とキノコと青ネギのピンチョス 右:「実楽山田錦」とうなぎのタルタル、アンチョビエマルション、カラスミ添えのピンチョス

そして本日の主役「沢の鶴X01」の登場。まずはお披露目に先駆けて沢の鶴、代表取締役社長の西村隆より挨拶が行われた。西村社長は 「ついにみなさんに披露する日を迎えることができました。この沢の鶴X01は、まだ世に出ていない、名前も付いていないお米で作ったお酒です。 農家の方々がそれぞれ新しい価値観を持ってハッピーになれるような目標を掲げてこのプロジェクトは進んでいます。日本の農業と日本酒の未来を変えたい、そういう思いでこれからも続いてまいります。乞うご期待ください。今日はめいっぱい楽しんで召し上がってください」と挨拶した。

沢の鶴、代表取締役社長の西村隆

乾杯は、ヤンマー株式会社・酒米プロジェクトリーダーの山岡照幸。「私は四六時中、酒米のことばかり考えています。沢の鶴X01の酒米は普通にご飯で食べられるようなお米を使っておりますので、今までの日本酒とは全然違ったフレーバーだと思っています」と述べた後、「X01!」という掛け声に参加者全員で「乾杯!」と声をあげ、ついにX01を嗜んだ。

ヤンマー株式会社・酒米プロジェクトリーダーの山岡照幸(写真右)のかけ声と共に乾杯

ワイングラスに顔を近付けるやいなや、フローラルで芳醇な香りがふわっと広がる。X01の舌触りはシルキーで非常に滑らかでクリアだが、口に含んでしばらくたつとミルキーさ、ほのかな甘さを感じられるとても美しい新感覚の純米大吟醸だ。そしてX01のペアリングとして出されたピンチョス、“マグロのタルタル、日本酒キューブ、アボカド”が自然に酒本来の風味を際立たせている。

X01とマグロのタルタルとアボカドのピンチョス

その後は4種目の「古酒仕込み梅酒」に合わせ、北海道産のマダラを使用した“鮮魚のフリット、菜の花のタルタル”が振る舞われた。こうして酒のフレーバーをさらに引き立てるピンチョスに舌を唸らせながら、新たな日本酒の誕生を賑やかに祝うパーティーとなった。

「古酒仕込み梅酒」とマダラと菜の花のフリット

パーティー終了後、HIGHFLYERSはイベントの感想を西村社長に伺った。

「従来の日本酒とは違う様々な楽しみかたをしていただきいという思いから、スペインのバスク地方の料理を選び、グラスもワイングラスにして楽しんでいただきました。たくさんの方にお越しいただいて本当に嬉しい。今までの日本酒とは違う味わいで、お料理に合うというお声もいただいてます。今後は今まで日本酒を扱っていただいているお店だけでなく、洋風のお店や、若い世代が来るお店で使っていただきたいし、海外にも広げていきたいと思っています。今4000本限定なので、今年はもっとお米を植えて稲刈りをして、来年はもっと増やそうと思っています」

沢の鶴、代表取締役社長の西村隆(右)とヤンマー株式会社・酒米プロジェクトリーダーの山岡照幸(左)

「沢の鶴X01」は2月26日より発売。パッケージも既存の日本酒のイメージを覆させられるほどに洗練されており、ボトルに製品プレートのアクセサリーが付いているのもユニーク。これは米つくりに欠かせない農耕機に必ず付いているプレートから発想を得たものだ。アイディアから味、パッケージに及ぶ全てが唯一無二である沢の鶴X01。ぜひこの爽やかで芳醇な味わいを楽しもう。詳しくは、沢の鶴ホームページにて。

沢の鶴X01ボトル(右)と製品プレート(左)

 

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka