MIYAVI「SAMURAI SESSIONS vol.2 発売記念ツアー“Day 2 Begins”レポート。15周年を迎えた2017年の集大成、そして新たなフェーズの始まり【ライブレポート】

2017/12/18

2018年1月11日にHIGHFLYERSにてロングインタビューが掲載予定となっているMIYAVIの先日行われたライブレポートをお届けする。

アーティスト活動15周年を迎えたギタリスト、MIYAVI。今年は6度目のワールドツアーを成功させたほか、4月にベストアルバムを発売したり、日本で都内15本対バンライブを行ったりするなど日本国内でも精力的に活動。11月8日には日本人アーティストを多数迎えて、2012年に発表した「SAMURAI SESSIONS Vol.1」の続編にあたるニューアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.2」をリリース。“対戦型コラボレーションアルバム”というコンセプトのもと、三浦大知、SKY-HI、EXILE SHOKICHI(EXILE、EXILE THE SECOND)、VERBAL(m-flo、PKCZ®)、Masato(coldrain)、ちゃんみなKenKen(LIFE IS GROOVE、RIZE、Dragon Ash)、HYDE(L’Arc-en-Ciel、VAMPS)、シェネルという多種多彩なアーティストたちとのコラボレーションが楽しめる1枚を発表した。そしてその発売を記念して、『SAMURAI SESSIONS vol.2 発売記念ツアー“Day 2 Begins”』の東名阪ツアーが行われ、11月30日の名古屋を皮切りに、12月2日に大阪、そして12月7日には東京・お台場のZepp Diver Cityで最終公演を迎えた。完売御礼の貴重なチケットを手にした観客で溢れる超満員の会場は、終始熱気に包まれ大盛り上がりだった。

“TOKYO!! Day2 begins right here right now. Are you ready—? DAY2 Begins Final TOKYO!!! Here we go!(東京!! Day2は今この瞬間、ここで始まる。(東京!! Day2は今この瞬間、ここで始まる。ファイナル、東京!!! みんな用意はできてるか〜?行くぜ〜!”)”

MIYAVIから観客への熱い叫びと共に、「Dancing With My Fingers」に乗ってライヴの幕は開いた。ライブ冒頭からギターを激しく惜しみなく披露するMIYAVI。それもそのはず、”Day 2 Begins”とは、ギタリスト・MIYAVIとしての新たな始まりの意味が込められているのだ。 メジャーデビューしてソロとして独立するまでをDay0とするなら、Day1はスラップを始めて“サムライ・ギタリスト”と呼ばれ始めた頃 。そして今回のツアーのタイトルでもあるように、“Day2”はまさにこの場所からのスタートだった。

「もっと高く、もっと熱く、飛べるかい?首がもげるくらい頭振ってくれ! Are you ready?」

続く「So On It」「In Crowd」「Dim It」では“スラップ奏法”全開で、すでに最高潮とも言わんばかりのテンションで舞台を縦横無尽に動き廻る。「『SAMURAI SESSIONS vol.2 発売記念ツアー“Day 2 Begins”』ファイナル・東京へようこそ。今回は東京・名古屋・大阪の3本だけなんですけど、今日も満員御礼ということでありがとうございます! 1人だろうが3000人だろうが、10000人だろうが、俺たちは変わらずロックをするのみ。こうやって帰ってくるたびに毎回多くの人に出迎えてもらって本当に嬉しく思っています。 2017年の良いこと、悪いこと、全部吹っ飛ばして2018年ダイブできるように今日は楽しんで帰ってください!Are you ready? Are you ready? Here we go!」とMCが続く。

「Come Alive」を披露した後は、ニューアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.2」で共演した多くのアーティストがゲストに登場。「 前作「Fire Bird」から改めてギタリストしての自我と向き合い、新しい時代のギターミュージックを作リたいという強い思いで作ってきて、今回本当に素敵なアーティスト達とコラボレーションさせてもらい本当に嬉しいし、素晴らしいパフォーマンスのおかげで新しい境地にたどり着くことができました。俺対ゲストの戦いでもあるんだけど、みんなとの戦いでもあるんで、がっつり東京・お台場アツくしちゃってください!」と語った後、ゲストとの対バンが始まった。

まずはMIYAVIが同世代の中でも本当に熱いバンドと称するcoldrainのMasatoが「TOKYO!」と叫びながら登場し、「Bumps In The Night feat. Masato (coldrain)」を披露。次の「No Thanks Ya feat.ちゃんみな」には「10 代の女の子特有の焦燥感やヒリヒリした痛みみたいなのを素晴らしいリリックで表現してくれた」と賛辞を述べた。続いたのはSKY-HIの「Gemstone feat. SKY-HI」。「特に若い世代は夢を見失いがちな時代ですけど、常に上見てこうやって変わらず精進してスキルアップして磨き続けるアーティストを見るのは俺もすごい楽しい。本当にありがとう!」とSKY-HIに感謝を述べ、ラストは「Fight Club feat. EXILE SHOKICHI」へ。「彼の音楽に対しても人に対してもすごいピュアでアツいところに僕は惚れました。「Fight Club」は男の美学。アツくなりにくい時代にアツくなっていいじゃない!って少しでもみんなの背中を押せたらなぁと思って作りました」とSHOKICHIと曲について語り、アツい会場をさらに盛り上げた。

「SAMURAI SESSIONS vol.2」で共演した多くのアーティストたちと。上段:ちゃんみな 左下:SKY-HI 右下:SHOKICHI

また、11月20日付けで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使に任命されたことも報告。2014年にアンジェリーナ・ジョリー特使に紹介されてレバノンとタイの難民キャンプを訪問したことからUNHCRの人たちとの交流が始まった経緯も説明し、「 初めてキャンプに行って子供たちの前でギターを弾いた時に、彼ら彼女らの瞳の輝きに『自分にもできることがあるんだ』って感じて、自分にできることをやりたいなと思って今回挑戦させてもらうことになりました。ヨーロッパ、アジアではロヒンギャの問題など10万人以上の難民が住むところを追われ、なけなしのお金を持って避難している状況下で、音楽で何ができるのかわからないけれど、それでも俺たちは日本から自分たちにできることを音楽を通して作れればいいなと思っています 」と世界の難民問題に対する思いを語った。

次の「The Others」は、ロサンゼルスを拠点に活動するMIYAVIが人との違いを目の当たりにして、その状況下で暮らす厳しさを感じながら書いた、肌の色の違い、国境、文化、言葉の違いがテーマの曲である。「人と違ってて当たり前なんだ、違うからこそ素晴らしいんだということをこの曲を通じて表現できればと思って書きました。We’re all different but we can unite through music as one we are all.(俺たちはみんな違うけど、音楽を通してひとつになれる)」と語り、その後は、難民キャンプから帰って書いた一人の少女の決意を唄った「Long Nights」、そして改めてギタリストとしての自分に立ち返るきっかけとなった「Fire Bird」を披露。「心が折れなければ何度だって生まれ変われる」と話して「Day1」を、そしてラストは熱狂の中「Horizon」で締めくくった。

アンコールでは、来年2018年春から日本を含むワールドツアーを開始することを発表。「アーティストとしてももっともっと技を磨いて、たくさんの人の心を躍らせるようなギターを弾きたいと思ってます。平和じゃない時代が来そうな今、僕たちが歌うべきこと、僕たちだから歌えることをどんどん唄って世界中に発信していきたい。 先人のジョン・レノンやマイケル・ジャクソンが作ってきた音楽のように、もしかしたら僕たちの音楽が争いを止めるきっかけになるかもしれない。そして、音楽には肌の色なんて関係ないし、音楽を聴いてる時だけは一つになれることだけは確かだと思うので、音楽の力を信じてこれからもアツい音楽を作っていきたいなと思っています!」とこれからの抱負を述べた。

最高潮の熱気とは対照的に静まり返った会場の中、話はさらに続いた。「今日もどこかで誰かが生まれて誰かが亡くなって、僕たちはいつかまた、土にかえる中で、何を残せるのかを本当に強く思いながら一瞬一瞬音楽をやっています。次の世代に受け継いでいくという意味でも、未来に対してのメッセージ、生き方、意義を伝えていく責任があるのではないかと思います」と話した。そして、 「希望さえなくなりそうになりながらも、明日さえ来ると信じられれば長い夜だって乗り越えられる。As long as you know tomorrow will come, you can go through long nights.(明日という日が来ることをわかっていれば、長い夜だって乗り越えられる)」と語り、「Long Nights」をアコースティックで演奏した。その後は再びアップビートで盛り上がり、「Strong」「Slap It」 「What’s My Name」を披露し、対バンで登場したゲストも再登場、アンコールのラストを飾り、ステージと観客がこれ以上ないほどの一体感と熱気に包まれたままファイナルは幕を下ろした。

パフォーマンス中は、まるでボールを追いかけるサッカー少年のように 縦横無尽にステージを飛び回り、息つく暇もないほどのスピードで次から次へとギターを披露するMIYAVI。しかし一旦MCに入ると、話す内容は、熱く高みを目指すことの大切さだったり、難民キャンプで感じた音楽の力だったり、世界平和についてだったり、生きる意味だったり、とにかく一つひとつ発する言葉に重みがあり、ただカッコいい音楽で盛り上がるだけではなくライブの一瞬まで全てが一貫していて筋が通っている。そして、普段グローバルに世界を股にかけて活躍するMIYAVIが実際に目で見て肌で感じたことだから、発する言葉にもギターの音色にも重みがあり、それが空間全体を巻き込んで観客一人一人の心にしっかり伝わることで世界中にファンが増え続けているのだと実感できた素晴らしいライブだった。

こうしてMIYAVIの生き様や普段の世界平和に貢献する活動などは、ライブからも感じることができるが、ロックスターとして高みを突き進む中では、底知れない苦労や稀有な数々の経験も体験しているはず。その幼い頃から今に至るまでのMIYAVIの軌跡やこれからの自身についてを聞いたロングインタビューが2018年1月号のHIGHFLYERSで4回にわたって特集される。もっとMIYAVIを知りたい方は、その記事もお楽しみに!

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Yusuke Okada