世界初の人工流れ星!2019年、すべての人が上を向く日に向けて、宇宙エンターテインメントの挑戦を応援するプロジェクト「SHOOTING STAR challenge 」の初のオフィシャル・パートナーが決定【レポート】

2017/11/15

「あなたは星が降る瞬間を見たことがありますか?もし私たち人類の手で夜空を彩る流れ星を作れるとしたら?」

そんな素敵なナレーションで始まったのは、世界初の人工流れ星という科学エンターテインメントへ挑戦する壮大なプロジェクト「SHOOTING STAR challenge」のオフィシャル・パートナー発表会。これは、人工衛星を宇宙空間に打ち上げ、流れ星の素材となる粒を大気圏へ突入させることで、成功すれば地上から直径200キロメートルという広大な範囲から明るく輝く流れ星を見ることができるという夢のような話だ。まるで遠い未来のように聞こえる話だが、その最初の人工流れ星は2019年初夏、晴天率の最も高い広島・瀬戸内地域で、誰もが見られるように実施に向けすでに動き出している。そして、この果敢なチャレンジを応援しようと、ファミリーマートと日本航空の2社が名乗りをあげ、この度、晴れて初のオフィシャル・パートナーとなった。そのお披露目会が、2017年11月7日恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホールにて盛大に行われ、プロジェクトの紹介、進捗状況の報告、パートナー企業の紹介と質疑応答、開発担当者より「SHOOTING STAR challenge」の技術面に関する説明が2部構成にて行われた。

プロジェクトメンバーの代表で、株式会社ALE代表・岡島礼奈は、ファミリーマートがオフィシャル・パートナーになったことに対し、「新しいことにチャレンジし続けるコーポレートブランドという点に親和性を感じる。日常生活からは遠いことのように感じてしまう宇宙事業を、人々の日常に入り込んだコンビニエンスストアとコラボレーションすることでもっと身近なものに感じてもらうきっかけになっていただければ」と話し、日本航空に対しては、「ライト兄弟の時代に、これほど飛行機が当たり前に乗るようになることを誰が想像したでしょうか。宇宙事業もそうなって欲しいという思いがあるし、宇宙産業を共に考えていけるパートナーだと感じています」とそれぞれの企業への期待を述べた。

株式会社ALE代表・岡島礼奈

株式会社ファミリーマート代表取締役社長の澤田貴司は、「多くの人に流れ星を見せたいという岡島さんの夢が素敵。広島には300店舗弱のお店がありますが、ますます地域密着として協力をしていきたいし、一緒にいろんなイベントや商品を企画して作っていきたいと思っています。こんな素敵な夢のチャレンジを応援できることを本当に嬉しく思っています。どうぞ応援宜しくお願いいたします」と挨拶。売上高3兆円のファミリーマートだが、現在このプロジェクトを紹介している大企業がすでに5、6社存在していることも明かした。

株式会社ファミリーマート代表取締役社長の澤田貴司

また、日本航空株式会社代表取締役専務の大川順子は、「これまで宇宙といえば、偶然流れ星を見たということはあっても作り出すことができるとは思ってもいませんでした。 非常に高いレベルのチャレンジであると同時に、人間が花火に感動するように、感情にも訴えかけることができることに大変共感しました。多くの子供達が興味を持つことに間違いないし、これからもっと宇宙が身近なものになっていくと思う。私達も全力で応援したいし、2019年は是非みなさんで感動をわかちあいたいと思います」と述べた。

日本航空株式会社取締役の大川順子

コラボレーションの具体的な内容はこれから随時発表されていくが、アーティストとのコラボレーション、流れ星とのコラボ商品や宇宙博など様々なイベントを企画しているという。

この後、実際に2019年の人工流れ星がどのように見えるのかを、澤田がヘッドマウントディスプレイを装着して 疑似体験。 お台場、浅草、横浜、東京タワー下、六本木ヒルズ、渋谷の6箇所に実際の人工流れ星と同じような速度、光の明るさ、長さで流れ星が降り注ぐ様子がVR動画に映し出されると、「ワオ!綺麗ですね〜。孫にも見せたい」と感動した様子だった。

VRのヘッドマウントディスプレイを装着して、人口流れ星を疑似体験する澤田(中央)

プロジェクトメンバーの代表で、株式会社ALE代表・岡島礼奈は、星の綺麗な鳥取県で育ち、東京大学理学部では天文学を専攻、在学中に同級生としし座流星群を見に行った時に人工流れ星のことを思いついた。「 2001年は数十年に一度大出現するというしし座流星群の当たり年だったので、千葉の牧場まで行って空を眺めていると、火球に近い凄い流星を見ることができました。でもその時でさえ一度に見えたのは2個だけ。私たちが今やろうとしているのは一気に5個とか、天然の流れ星では出来ないことなんです。自然ができないことをやりたい」と話す岡島。2009年から細々と人工流れ星の基礎研究開発を進め、2011年に株式会社ALEを立ち上げ、東北大学院工学研究科准教授で株式会社ALEのCTO・桒原聡文を始め、首都大学東京、神奈川工科大学、日大理工学部の研究者達とプロジェクトチームを組んで数年に及ぶ研究を重ねてきた。

ここまでくるのに最も辛かったことを尋ねると、「毎日大変なことが起こり、それを超えたと思ったらまた次に大変な起こり、そのハードルがどんどん高くなっている感じです。今は、最初一人だった会社も20人ほどに増え、会社が急成長していく中で、みんなが働きやすい環境を作ることが大変だと思っています」と述べた。多くの苦労がありながらも、ここまで進んできたその原動力はどこにあるのかという問いには、「もちろん流れ星をみて感動を共有したいという気持ちもあるけれど、この科学実験を通して基礎科学へ貢献したいという思いが原動力となって流れ星を作っています 。宇宙開発といったら、今まではテレビやインターネットを通した楽しみ方が多かったと思うのですが、これは肉眼で見えるリアルエンターテインメント。そして、それと同時に壮大な科学実験のひとつでもあります」と未来の科学とエンターテインメントへの志を語った。

左から右:株式会社ALEチーフエンジニア・蒲池康、代表・岡島礼奈、CTO・桒原聡文

株式会社ALE、CTOの桒原聡文によれば、このプロジェクトの背景には、小型高性能化が進み、小型の打ち上げ機械が充実した“Large to Small(大型から小型へ)”の動きがあるいう。また、小型化されたことで、民間の団体が参入できるようになり、これまで科学通信放送などの国家主導型だったものから“Public to Private(公共から民間へ)”という動きも生まれた。今、科学はこれらのパラダイムシフトが起こっている真っ只中にあるという。

株式会社ALE、CTOの桒原聡文

また、先ほど澤田が体験したVRは、LIFE STYLE株式会社が「Make a Dream〜VR PROJECT〜」と題し、「VRを通して人々の思いや夢を形にし、感動を作り出していく」プロジェクトの第一弾でもある。「人工流れ星プロジェクト」へ参加することで、人工流れ星をVR上で体験するためのコンテンツを制作しており、専用のヘッドマウントディスプレイを装着するだけで、未だ見ることのできない人も、流れ星が各地に降り注ぐ様子を体験できるというものだ。発表会会場のロビーにはVR体験会スペースが用意され、来場者は人工流れ星が降り注ぐ様子を先取りして体験することができた。

人口流れ星が降り注ぐ様子をVRで体験

「スマホの普及で下を向くことが多い日常ですが、2019年は誰もが上を向く日を作りたい」と力強く語った岡島。宇宙スペースを使った壮大なエンターテインメントが間も無く実現しようとしているという現実を目の当たりにして、これからの科学の進歩・発展が非常に身近なものに感じられた、希望に溢れた発表会だった。

人工衛星の打ち上げは2018年年末から2019年初旬、人工流れ星の実施は2019年初夏を予定しており、株式会社ALEは、今後もパートナーを募集していく。

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka