MIYAVIの魅力を間近で体感。活動15周年記念ツアー「NEO TOKYO 15」【ライブレポート】
2017/07/20
MIYAVIの活動15周年を記念した対バンライブ「NTT DOCOMO presents MIYAVI 15th Anniversary Live “NEO TOKYO 15”」ツアーは、5月21日(日)の東京・赤坂BRITZを皮切りに、都内15ヶ所で毎回異なるゲストアーティストを迎えて行われ、6月29日(木)に東京・新木場のSTUDIO COASTで大盛況のうちに幕を閉じた。登場したゲストアーティストは、金子ノブアキ、氣志團、三浦大知、THE ORAL CIGARETTES、OKAMOTO’Sなど、MIYAVI と仕事やプライベートで交流のある豪華な面々。毎回違ったゲストとの対バンを楽しみながら、さまざまな規模の会場で新たなMIYAVIの魅力を体感できるという、ファンにとっては堪らない15周年記念ツアーとなった。そして、全15公演のうち5公演は全世界にリアルタイム配信された。
HIGHFLEYRSは6月22日(ゲスト:OKAMOTO’S)、6月29日(ゲスト:三浦大知、KREVA)の公演を拝見したが、毎回ステージに登場するそれぞれのアーティストがMIYAVIへの揺るぎない尊敬と感謝の念を表現しつつ、会場を盛り上げていたのがとても印象的だった。
6月22日のTSUTAYA O-WESTでの公演は、OKAMOTO’Sが対バンとして登場し会場を盛り上げる。MIYAVIが登場すると、「RISE ME UP」「So On It」、「 In Crowd」、本田技研工業株式会社「FIT」のCMソングとして話題沸騰中の「Fire Bird」、「Cocoon」、「Dim it」と観客に息をつく暇も与えぬほどのテンションとスピードで次々と激しいパフォーマンスを披露していく。アンコールでは映画「無限の住人」の主題歌「Live to Die Another Day—存在証明—」、「Strong」、「Wonderful World」等の後、OKAMOTO’Sのオカモトショウとハマ・オカモトが登場し、最後まで熱い盛り上がりをみせた。
今回のライブで興味深かったのが、全面協賛した株式会社NTTドコモが提供している2種類のアプリの存在である。1種類は「ライブVR」というVRアプリで、このアプリをダウンロードするとライブ会場にいなくても4Kの高画質でツアーを360度見渡せ、好きなカメラの視点から MIYAVIの映像がリアルタイムで楽しめるというもの。2017年8月末までは、THE ORAL CIGARETTES、OKAMOTO’Sとの対バンライブなど、いくつかのアーカイブ映像が視聴可能だ。もう1種類の「MIYAVI NEO TOKYOアプリ」は会場でライブ中に使用するもので、同アプリを立ち上げてライブを観ると、演奏に合わせてスマホ画面が点滅したり、色が変化したりして、イルミネーションが機能して会場全体の一体感が生まれるような仕組みになっている。また、バイブレーション機能によって、MIYAVIのギター演奏やアンコールの声の大きさに反応してスマホが振動するのだ。
そして、いよいよツアーファイナルの6月29日。「ついにファイナルです!長かったような、長かったような….長かったです(笑)。今回2月からアジア、アメリカ、ヨーロッパと回って帰ってきたんですけど、東京で15箇所、日本で一番アツいアーティストたちが駆けつけてくれて、毎晩それぞれが本気のショーをぶつけてくれて、こっちも毎晩燃え尽きて燃え尽きて、それでも立ち上がって….風邪ひきました(笑)。これからまた俺たちは世界に旅立つんだけど、皆んなのサポートがあって世界中飛び回れてます。本当にありがとう!ギターぶっ叩いて、一緒に騒いで、アツい夜にしたいと思ってるんで、Are you ready?」。
そうして始まったファイナル公演の対バンアーティストは、三浦大知。以前、MIYAVIとはクインシー・ジョーンズの来日公演でのセッションをきっかけに、テレビの音楽番組でも度々共演しており、お互いソロアーティストとしての才能は認め合っている同士。三浦大知が激しいダンスナンバーやバラードで観客を一つにして盛り上げて、MIYAVIの登場へと繋げる。オープニングの「What’s My Name」から始まり、「So On It」、「In Crowd」、そして手塚治虫「火の鳥」とのコラボレーションビデオが同時にスクリーン上に映し出され、美しく輝く火の鳥が舞った「Fire Bird」、そのあと「Cocoon」、「Dim it」と続く。
MCでは、「俺はガキの頃サッカー選手になりたくて、挫折して、ギターに救われて、ギターと出会って、こうしてギターが世界中色んなところに連れてってくれて、俺はギター弾いている時だけは自由になれる。ドキドキ、ワクワク、初期衝動を皆んなに共有し、自由に感じて欲しい。今日はガッツリ解放して、世界で一番アツい夜にしたいと思っています」と語ったMIYAVI。
その後の「Ha! 」、「Universe」、 「Futuristic Love」のあと、「Strong」では満を辞してKREVAが登場。二人のセッションに会場はさらに盛り上がりを見せた。アンコールではまず三浦大知を呼んで「Cry & Fight」を演奏し、2人で製作中の未発表曲を特別に披露した後、再びKREVAも加わって3人で「What’s My Name? –Day 2 mix」を奏でた。
「今回、15周年ということで、東京での15公演ライブを通じて昔の仲間やスタッフも来てくれました。皆んな変わらず頑張っていて、嬉しかったし、ホッとしたし、心地良かった。でも、ここで止まってられない。音楽でやれることは限られてるけど、たとえ綺麗事でも歌い続けていきたいと思ってます。俺たちは、これからも止まらないし、決して、昔の方が良かったと言いたくない。いくつになっても、絶対に“今が最高”と言えるように、毎日、一瞬一瞬燃え尽きて、前進していきたい。そしてまたお互い成長して会えたら」。そうしてファイナル公演も大熱狂のクライマックスを迎えて幕を閉じた。
毎回「The Others」を演奏する前にMIYAVIが必ず語っていた言葉がある。
「世界中でテロや紛争やいろんな事件が起こってるけど、俺たち音楽やってる時は本気で国境も言葉の壁も、人種の違いも、肌の色の違いも超えられると信じてます。皆んなそれぞれ違うけど、皆んなひとつなんだ、皆んなひとつになれる。Through music we are all different, but we are one」
MIYAVIは現在、アーティストとして精力的な活動のする一方、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)のプロジェクトにも参加し、シリア国境に近いレバノンの難民キャンプを訪れるなどして難民問題にも取り組んでいる。「The Others」を演奏中、後ろのスクリーンにはキラキラ輝く目をした難民キャンプで暮らす子供達の姿が数多く映し出されていく。
アーティストという既存のボーダーを越えて、あらゆるジャンルや人、そして世界を繋いでいくMIYAVI。音楽という枠を超えてグローバルに世界に果敢に羽ばたく彼がこれからどう世界に向き合い、どう世界を変えていくのか。今後のMIYAVIの活躍にさらに注目していきたい。
Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka, Yusuke Okada