沖縄県外初の琉球泡盛古酒のお披露目会「泡盛ノ逆襲」にて古酒の魅力を堪能 【レポート】

2016/11/16

先日、沖縄県酒造組合による沖縄の泡盛古酒(クース)のお披露目会「泡盛ノ逆襲@平井丸」が開かれたので、私、HIGHFLYERSのライター・高綱と代表兼フォトグラファーの田中で行ってまいりました。このレポートを通して、泡盛古酒の魅力を皆さんにも感じて頂ければと思います。

古酒と呼ばれる泡盛は、3年以上貯蔵した熟成された泡盛のことを言います。ちなみに泡盛とは、タイ米と黒麹菌で出来た米麹に水と酵母を加えて出来たもろみを、2週間ほどアルコール発酵させて、たった一度だけ蒸留した「単式蒸留焼酎」と言われる焼酎のことです。そのため、泡盛は原料の特性がそのまま風味に反映されるのが特徴で、さらに3年以上寝かせることでより風味が増し、ユニークな奥行きを持った古酒に変化していくのが、古酒最大の魅力となっています。

古酒は希少なうえ、代々沖縄の家庭で大切に嗜まれてきたものなので、今までほとんど市場に出回ることがなかったのですが、琉球泡盛古酒の魅力を多くの人に知ってもらいたいという想いを持った酒蔵が一同に集まり、今年の9月に古酒を世界に発信するプロジェクト「泡盛ノ逆襲」が動き出しました。

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沖縄県酒造組合が沖縄県外で初めて行った記念すべき古酒お披露目会「泡盛ノ逆襲@平井丸」は、11月3日に品川の「屋形船平井」で実現しました。東京湾花火大会や隅田川の桜見物の風物詩としても知られる屋形船「平井丸」に乗って、東京湾クルージングしながら古酒の魅力を堪能するという、沖縄県酒造組合と屋形船・舟宿平井によるコラボレーション。特に最高級の古酒にスポットをあてた今イベントは、今までにない新しいアプローチになっており、宴は盛大に開催されました。

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左上から時計順に:食事は鶏鍋やお刺身などたくさんの料理が振る舞われた/屋形船平井で出迎えてくれた泡盛の女王・阿波根あずささん(左)とまさひろ酒造株式会社 代表取締役社長の比嘉昌晋さん(右)/「長老」を注いでくれたアイドルのりーすさん/隣や前に座った方々と乾杯/「さくらいちばん」5年古酒・25度(山川酒造)は、多くの古酒が43度ある中、比較的女性も飲みやすい優しい柔らかさが魅力のフルーティな味わいが印象/船内のお客さんに数々の泡盛を注いでいた泡盛の女王・阿波根あずささん

 

イベントで紹介された古酒は「海乃邦10年貯蔵・43度」(沖縄県酒造協同組合)や「北谷長老 長期熟成・43度」(北谷長老酒造)、「琉球プレミアム・35度」(新里酒造)、「久米島の久米仙ブラック5年・40度」(久米島の久米仙)などを始めとする26種類。そのうち私がお試ししたのは半分くらいでしたが、驚いたのは同じ古酒とは思えない程、どれも明らかに風味が異なること。そしてその中でも印象深かったのは、泡盛ルポライター・富永麻子さんの泡盛古酒レクチャーによって紹介された特別古酒ブレンド。熟成20年と10年の古酒から作ったという43度のブレンドをワイングラスでいただいたのですが、舌に触れた瞬間から味の印象が次々とカラフルに変化し、芳醇で強いアロマと共に何層ものレイヤーを感じさせつつ最後は長く伸びてスーッと消えていくんです。私はワインを日常的に嗜みますが、これから特別な日には、泡盛古酒をワイングラスでいただきたい気持ちになりました。

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左:ワイングラスに注がれた特別古酒ブレンド 右:同じく特別古酒ブレンド沖縄の方による手作りのお猪口で頂くと、味わいも変化する

 

毎日のように古酒を嗜むという沖縄県酒造組合の玉那覇美佐子会長にとって、古酒の魅力は「コク」と「まろやかさ」。そして、寝かせることで世界に類をみないほど熟成が進むことが古酒の素晴らしさであり、なめるように飲んで、風味が伸びて続いていく感じを是非味わっていただきたいとおっしゃっていました。

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沖縄酒造組合の玉那覇美佐子会長

 

また、沖縄県酒造組合の副会長の大城勤さんが、「酒を飲む人と飲まない人、どっちが長生きするか?」というクイズを出題されました。答えは、酒を飲む人。堀江さん曰く、酒はストレスを発散できるうえ、特に泡盛や焼酎は血栓を溶かす効果があるので糖尿病の改善や血圧の安定が期待されるそうですよ。また、コニャック、ブランデー、バーボン、ラム酒、テキーラ、ウォッカ、ジン、など世界には数多くの蒸留酒がありますが、製造工程で何も足さず、何も引かないのは泡盛だけだそうです。 ウイスキー、ブランデー、コニャック、バーボンなどは琥珀色を出すために樽に入れて足し算するし、ウォッカは白樺の活性炭を用いて蒸留したものをクリーンにしていく過程で引き算をするけれど、泡盛は出来た物をただひたすら寝かせることで熟成させており、足し算も引き算もせず、酒の本来の持つ力だけで古酒になっていく唯一の蒸留酒だとおっしゃっていました。

そしてイベントが最高潮に達したのは、三線を演奏して唄う沖縄出身のシンガー、メリーさんのライブ。メリーさんの元気で明るく、なおかつ優しく包み込むような歌声に合わせ、泡盛の女王・阿波根あずささんやゲストの皆さんが立って踊り出しました。船で揺れながら43度もある古酒を何種類も味わっているのに、何事もなかったように皆であっけらかんと踊ってしまう沖縄の気質にアッパレです。

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沖縄出身のシンガー、メリーさんが三線を演奏して唄い出すと、玉那覇美佐子会長や泡盛の女王・阿波根あずささんが踊り出し、お客さん全員も合わせて手拍子をとった

 

1853年に琉球国を訪れたペリー一行 が、「まるでフランスのリキュールのようだ」と表現したという泡盛の、寝かせれば寝かせるほど芳醇で奥深い風味が育っていくという魅力を思う存分感じると共に、沖縄をこよなく愛する人達の愛と情熱によって実現した今回の古酒お披露目イベント。夕日がすっかり沈み、湾岸のあちこちに灯りがともった頃、 宴は大盛況の中、幕を閉じました。

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沖縄の真髄を心から理解した愛ある人達によって伝承されていく希少な泡盛古酒は、人々のハートをしっかり掴み、これから世界に向けてさらに羽ばたいてゆきます。イベント終わりに会場で販売していた泡盛を試飲して、海乃邦・10年貯蔵古酒がとても飲みやすかったので購入しました。これから寒くなる季節、お湯割りにして飲むのが楽しみです。

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こちらは、沖縄県酒造協同組合や「泡盛ノ逆襲」のウエブサイトにて購入出来ます。そして、「泡盛ノ逆襲の期間限定ショップが 品川で12月26日(月)までオープンしていて、こちらでも46社の泡盛が購入出来るそうなので、是非この機会をお見逃しなく。

泡盛の逆襲 – ゲリラストア
期間:9月4日(日)- 12月26日(月)
住所: 東京都品川区南品川3-5-7
営業時間:17:00 – 22:00(月曜〜土曜)日曜定休

 

文章:Kaya Takatsuna  写真:Atsuko Tanaka