真の音楽愛に包まれた、須永辰緒のラジオ番組「夜ジャズ.Net 」100回記念イベント 【レポート】

2017/02/12

「レコード番長」の呼び名を持つジャズ界の大御所DJ・須永辰緒HIGHFLEYRS 2015年9月号に出演)のラジオ番組「夜ジャズ.Net」の100回記念イベントが、2月2日に新宿PITT INNで行われた。このイベントでは、ジャズ写真家のレジェンド・中平穂積と須永によるトークショー、そしてNao Yoshiokaを始め、YUSUKE HIRADO元晴Emily Stylerらによるバンドなどのライブが行われ、会場はお祝いに駆けつけた多くの人で賑わっていた。

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「夜ジャズ.Net」はジャズをキーワードにした無料のインターネット・ミュージックステーション「JJazz.Net 」で月に一度放送されている。「SESSION:MUSIC & LIFESTYLE」(音楽と暮らしのセッション)をテーマに掲げた「JJazz.Net 」では須永始め、青木カレン等ナビゲーター達が、各コンセプトに基づいたジャズ番組を数多く展開しているが、中でも須永の番組は今年で9年目を迎えた人気長寿番組である。

第一回目の「夜ジャズ.Net」の放送で、須永は「深夜3時台に男たちが汗を飛び散らしながら、ハートバップやモダンジャズで踊ってるシーンを記録できないかと思ったのが夜ジャズの始まりだった」と語っている。初回に出演したquasimodeに始まり、大野雄二由紀さおりスチャダラパージャイルス・ピーターソンなど、今まで数多くの豪華なゲストが出演してきた。

今イベントは、2月15日に放送される101回目の公開収録を兼ねて行われた。会場に入ると、まず須永がDJをしている姿が目に入った。1965年から続く“日本ジャズの聖地”とされるこの老舗のライブハウスで、DJがプレイしたりトークショーが行われるといったことはめったにないそうだ。人前でMCをするのは苦手だと言う須永は、マイクを片手に「ライブ前に近くの安酒場で焼酎を一気飲みしてきたので、もう大丈夫。リラックスできてMCができる」と言い、会場の笑いを誘った。

そして、昨年の9月に5枚目のアルバム「Defying」をリリースしたジャズバンド「TRI4TH」から、トランペットの織田祐亮とサックスの藤田淳之介がDJブースの前に現れ、アツい演奏を披露した。須永のDJをバックに、ダブバンド「MUTE BEAT」が1988年にリリースした「Kiyev No Sora」や、1976年に公開された映画「犬神家の一族」のメインテーマ曲「愛のバラード」のカバー曲など、約5曲を聴かせてくれた。

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続いてメインステージに登場したのはEmily Stylerバンド。2015年のデビュー以降、HIP HOP & JAZZ業界に新風を吹き込むウィスパーヴォイスのシンガー・Emily Stylerをヴォーカルに、quasimode(現在は活動休止中)のピアニスト・YUSUKE HIRADO、元SOIL & “PIMP” SESSIONSのメンバーでサックスフォニストの元晴、そしてベーシストの小泉P克人とドラマー・藤井伸昭というメンバーで構成されていた。1932年にアメリカ人の作曲家、コール・ポーターが作詞、作曲を手がけた名曲の一つ「Night and Day」や1976年にリリースされたスティーヴィー・ワンダーの「Isn’t She Lovely」のジャズカバーバージョン他、約5曲を披露した。

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 そして今イベントのメインでもあるトークショーはジャズ写真家の第一人者とされる中平穂積が登壇。中平は、1961年に初来日したアート・ブレイキーや、マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンクなど、数多くのジャズ界のレジェンド達を写真に収めている。トークショーは須永の司会のもと、中平が1966年のニューポート・ジャズフェスを取材した時の映像や、裏話を交えながら過去に撮影した貴重な写真を見せてくれた。ちなみに中平が1961年に新宿にオープンしたジャズ喫茶「DIG」は、数度の引越しや名前の変更を経て、現在も「DUG」として継続中。今も尚、多くの人に愛され続けている。中平の貴重な写真がたくさん収められた写真集「JAZZ GIANTS」は、DUGで入手可能だ。

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最後に登場したのは、2016年9月に3枚目となるアルバム「The Truth」をリリースし、アメリカの大型ジャズ・ソウルのフェス「Capital Jazz Fest」にも参加した実力派シンガー、NAO YOSHIOKA。「ON COME UP」の2016年の8月号に出演し、同年の9月に行われたHIGHFLEYRSの3周年記念音楽イベントでは、須永と一緒にトークショーに出演している。1960年にアメリカのブルース歌手のエタ・ジェイムズがカバーしたことでよく知られている名曲「At Last」や、自身のターニングとなったデビュー曲「Make The Change」などを披露。キーボーディスト、Kaz Katoの演奏と共に美しい歌声が会場に響き渡った。「ON COME UP」のインタビューで、「私の生き様が伝わるような歌を歌いたいと思っている」と語っていたが、今回のライブはまさにそのもので、須永も「NAOさんの凄まじい歌声は2丁目に舞い降りた品の良いアレサ・フランクリン」と評するほど素晴らしいライブだった。

イベントの終わりに出演したミュージシャンと観客とで写真撮影が行われ、100回記念イベントは盛況の中、幕を閉じた。須永はイベントを通して、「しみじみ幸せを噛み締めると同時に『生かされてる』ということを感じた」と言う。会場に集まった須永を慕う人々は皆、音楽愛に溢れた良い夜を存分楽しんだことだろう。尚、このイベント模様は「夜ジャズ.Net」の101回目の番組(2月15日公開)で放送されるので、是非聴いてイベントの模様を体感していただきたい。

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(c) 夜ジャズ.net

Text: Atsuko Tanaka Photo: Hayata Matsuzawa

 

須永辰緒とNao Yoshiokaのロングインタビュー、二人が登壇したトークイベントの模様はこちらより。

HIGHFLEYRS 2015年9月号「DJ 須永辰緒の30年。次世代のDJ達へ

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ON COME UP 2016年8月号「アマチュアナイト準優勝後、全米デビューを果たした実力派ソウルシンガー・Nao Yoshiokaが苦悩を乗り越えて得たもの

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