地元の緑を大切にする音楽フェス「Local Green Festival」が初開催。BJ The Chicago Kidの来日や、くるり、大橋トリオ、iri、SIRUP、 TENDRE など国内外からアーティストが横浜に大集結!【ライブレポート & インタビュー】

2019/10/02

「Local(地元)のGreen(緑)を大切にしよう」をコンセプトに掲げる、MUSIC(音楽)、GREEN(緑)、WATER(水)がテーマの音楽フェスティバル「Local Green Festival(ローカル・グリーン・フェスティバル)」が2019年8月31日と9月1日に横浜赤レンガ倉庫で開催された。これは、未来に綺麗な地球を残すために持続可能な活動を目指す一環として昨年初めて行われ、今回が2回目となる。 春に来場者が11万人を超える人気の音楽フェスティバル「GREENROOM FESTIVAL」を開催している株式会社「GREENROOM」が主催する注目のイベントで、開催中の2 日間は、テーマにふさわしい話題のミュージシャンのライブや、ボタニカルショップなどのグリーンを中心とした日本最大級のマーケットが軒を連ねる。人気アーティストが集結することでも話題のライブステージは3 つ。メインの「CACTUS」、その向かいに「SOL STAGE」があり、交互にアーティストがパフォーマンスを披露。そして赤レンガ倉庫の横に、誰でも観ることのできる「RED BRICK CLUB」もある。

初日は、Templay、Chelmico、WONK、 iri、SIRUP、 TENDRE、そしてアメリカからBJ the Chicago Kidが来日した。2日目はSANABAGUN. 、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND、 Kan Sano、大橋トリオ、Nllbarich、くるり などが出演した。HIGHFLYERSは、初日の数組のライブレポートをお届けする。

我々は、CACTUS ステージのWONKからスタートした。WONKは、東京を拠点に活動する4人組のバンドで、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ロックのフィールドで活動する異色なメンバーで構成されている。エンジニア、プロューサー、プレイヤーとして、土岐麻子、m-flo、冨田ラボ、King Gnuなど多くのアーティストへ楽曲提供も行う。涼しげに颯爽と登場したヴォーカルの長塚健斗は、「楽しんでいこうぜー!」と言うと、2017年のアルバム「Castor」に収録された「Gether Round」からスタート。「Dance on the Water」からそのまま 今年のEP「Moon Dance」収録曲「Mad Puppet」へ。そして「Orange Mug」、 「Midnight Cruise」、「Blue Moon」、「Crusin’」、「Sweeter,More Bitter」、「Small Things」を披露し、会場にはソフトで爽やかな美声が響き渡った。

続いて向かいのSOL STAGEに登場したのは、以前にHIGHFLYERSのON COME UPに登場した、シンガーソングライターのiri。今年リリースしたアルバム「Shade」の曲を中心に、個性際立つソウルフルでグルーヴィーな心地良い低音ヴォイスを響かせた。一曲目に「Sway」を歌うと、「みなさん盛り上がってますか?楽しんでいってください」と言って「CAKE」へ。そして、アルバム「Groove it」から「半端じゃない」、 2昨年前リリースのアルバム「Juice」より「Slowly drive」、他にも「Corner」や「Wonderland」 、「ナイトグルーヴ」、「Come Away」、 「Only One」、「Fruits」、 「rhythm」を披露した。

その後、「CACTUS」にはSIRUPが登場。この日一番の盛り上がりを見せた。イントロ途中でステージに登場すると会場からは大歓声が湧き上がり、今年リリースした「Feel Good」収録曲を中心に、「Pool」、「Synapse」、 「SIRUP EP2」より「Maybe」、 「LOOP」、「Rain」、「Crazy」、「Evergreen」、「一瞬」、「SWIM」、「LMN」を披露。しなやかで強く伸びやかなヴォイスとグルーヴを空に響かせ、ライブ同様、フェスでもシンガーとしての実力を証明してみせた。そして最後に、「Do Well」のイントロが流れると会場中がさらに一段と盛り上がり、あちこちでダンスしながらライブを楽しむ姿が見られた。

暗くなりかけた頃、TENDREが登場。彼のライブレポートは、インタビューと一緒に別記事でまとめているので、こちらをチェックしてほしい。

そして、初日のトリを飾ったのは、アメリカから来日したBJ the Chicago Kid。まるでサウンドチェックとの境目がないかのように、リラックスした雰囲気のまま始まったショータイム。一度始まると、ノンストップで「Champagne」や「Get Away」、「CHURCH」、「Love Inside」、「Time Today」、「SUPERBOWL VIBE」など次々と歌い上げ、70分のショータイムを完成させた。そして、最後の曲「Nothing into Something」が終わってもアンコールを求めて残る観客たちに向けて、特別にもう一曲を披露してくれた。

夏の終わりを感じたこの日、「CACTUS」ステージで一番の盛り上がりを見せた、シンガーソングライターのSIRUPにインタビューし、最近の活動やご自身の環境への意識などを伺った。

「Feel Good」ツアーを終えて、人間的にも、音楽的にも、仲間と関係値がかなり深まっていくのを体験した。12月の単独公演「channel 01」は、これまでの総集編のような、お祭りみたいなライブにしたい

―Local Green Fesへの出演は2回目、このフェスにどのような印象を持たれてますか?

特に今年はSIRUPとしてたくさんフェスに出させてもらったのですが、その中でも出演者の人たちも自分がいるシーンと同じような人が多いし、雰囲気を楽しめて盛り上がるけど、ゆったりと時間が流れてる感じもありますね。来る人もみんなおしゃれで、素敵な新型フェスというイメージです。

―このフェスのテーマは、“Sustainable Life”「街を綺麗にすると海も山も綺麗になる」ですが、SIRUPさんが自然や環境に対して、普段から心がけていることは何かありますか?

難しい課題ですけど、プラスチックごみを減らしたいので、自分のグッズでアルミボトルを作ったりはしてます。

― SIRUPさんは、出場されたどの夏フェスでも大人気で、例えばサマーソニックでは入場規制もあったと聞いています。最近また一段階成長されたと思いますが、ご自身で実感はありますか?

お客さんが凄く入ってくれているのは感じていて、初めて出たフェスが大体入場規制になったり、サマソニの時は、ビーチステージが記録的に人が入ったとも聞きました。ビーチの奥の方まで人がいて、見たことのない景色で感動しました。

―単独ライブとは違うフェスの魅力は?

お客さんとしては、今日で言うとTempalayもTENDREも、iriちゃんも、eillも、僕がよく対バンしてるアーティストだし、このシーン全体を好きな人は凄く来やすくて、いっぺんに観れてむちゃくちゃお得やなって思います。逆に出る側としては、友達がいっぱい出るから、単純に控え室が楽しいとかもあるんですけど、みんなと一緒にライブを観れるのも嬉しいです。あと、フェスはワンマンと比べて時間が短かったり、野外でのライブというのが多いので、単独でやるのとは違う見せ方でライブできるっていうのがあります。

―ファーストアルバム「Feel Good」のツアーはどうでしたか?ご自身の中で感じた成長や変化などはありますか?

ちゃんとしたツアーは初めてだったんですけど、今回からPAチームも一緒に入って回っていて、バンドのsoulflexも、みんな同世代で付き合いの長い10年来のチームでできたことが嬉しかったです。人間的にも、音楽的にも、関係値がかなり深まって、回を重ねていくごとにそれを体験したのは初めてだったんで、すごい経験になったと思います。

―音楽でもそれ以外でも、最近気になることはありますか?

音楽だと、BROCKHAMPTON(ブロックハンプトン)っていうヒップホップのクルーがめちゃくちゃ気になってて。 あとは、怖い話がめちゃ好きなんで、夏が終わるにつれてSNSとかでも募集してます。稲川淳二さんが好きなのでいっぱい観てます。

― BROCKHAMPTONは、SIRUPさんから見てどういうところが魅力なんですか?

音楽性の幅広いところ。ゴリゴリのヒップホップもあるけど、新しいアルバム「Ginger」は大分メローな感じやったりとか、いい意味で雑多かつ粗めだったり。あと、とにかく曲を作っていっては出している。それって結局アルバムとしてコンセプチュアルなものではなくても、自分らのクルーの空気を落とし込んだものが全体の表現になってる。それがわかりやすく出てるのって新しいと思います。

―ところで、11月には 「Feel Good」 のLP版が発売されるそうですね。

CDのデザイン自体も、もともとレコードにしたらというイメージで作っていたんで、割とそのままなんですけど、CDやストリーミングで聴く感じとはまた音の聴こえ方が変わってくると思うので、めちゃくちゃ楽しみです。

—他にも今後の予定を聞かせてください。

有り難いことにチケットは既にソールドアウトになってしまったのですが、「channel 01」というタイトルの単独公演を、東京と大阪のZeppで12月に開催します。これまでの総集編のような、お祭りみたいなライブにしようと思っています。

 

Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka (SIRUP・雑感はオフィシャル使用)