「Nulbarich ONE MAN TOUR 2018」ツアーファイナル。11月には初の武道館ライブも決定!【ライブレポート】

2018/05/11

シンガーソングライターのJQがプロデュースし、2016年に結成されたバンド、Nulbarich(ナルバリッチ)の勢いが止まらない。彼らはファンクやアシッド・ジャズなどのブラックミュージックをベースに、ポップスやロックなどの要素も取り入れた特徴的なサウンドが国内外で高く評価されており、今日本の音楽シーンで最も注目を集めているバンドの一つである。

2016年6月にシングル「Hometown」、同年10月にアルバム「Guess Who?」、2017年には「Who We Are」「Long Long Time Ago」と2枚のEPをリリース。「GUESS WHO?」に収録された「NEW ERA」がHONDA 「GRACE」のCMに、また「Follow Me」が楽天カードのCMに起用されるなど、テレビやラジオで音楽が頻繁に流れるようになると一気に認知度が高まった。

今年に入ってからは、3月に早くも2枚目のアルバム「H.O.T」をリリース。その後も資生堂「アネッサ」のCMソングを手がけたり、JQがZoffのメインビジュアルモデルに大抜擢されたりするなどその勢いはとどまることを知らず、なんと11月には初の武道館ワンマンライブが決定。気がつけばわずか2年足らずで日本の音楽シーンの最前線に躍り出てしまったのだ。

このようにデビュー以来、急速で走り続けてきたNulbarich が、2018年3月より大阪を皮切りに、東京、宮城、広島、福岡、愛知と全国8カ所でツアー“ain’t on the map yet”を行なった。チケットは全てソールドアウト。追加公演が4月25日に東京・お台場のZepp DiverCityで行われ、大盛況の中最終日を締めくくった。

超満員の会場にバンドの演奏が流れる中、軽やかにステージ下手から登場したボーカルのJQ。バンドはドラム、ギタリストとキーボード、そしてベーシストがそれぞれ2人という編成。「ごきげんよう。ナルバリッチです。この日のために走り続けてきました。そして今日は一つ区切りを、そしてナルバリッチの新たな始まりをここで共有したいと思います」と挨拶すると、「It’s who we are」からライブをスタート。観客の高まる興奮や緊張感をものともせず、スニーカーにジャケット姿で軽快にステージを歩き回り、とても自由でリラックスした佇まいのJQ。気心の知れたバンドメンバーに見守られた安心感の中で、気持ち良く泳いでいるかのようだ。「Lipstick」、「Onliest」のあとはMCが続く。

「なんとなくセッションを重ねてここまで来て、ここからまた新たな夢が生まれて、ここにいるみんなと次の景色に行きたいと思ったりするわけじゃないですか。みんなが生んでくれたものに、僕は応え続けるだけ。本当にマジでいつもありがとう」と伝えると、「Follow Me」をボーカルで最初にたっぷりと聴かせてからノリの良いリズムで観客を惹きつけていく。その後、赤いスポットライトの下で「Handcuffed」「Spread Butter On My Bread」を丁寧に歌い上げ、バンドメンバーによるジャムセッションへ。Jay-Zのサンプリングからキーボード、ギターそしてベース、再びギターがソロを披露し、痺れるサウンドとリズムで存分に観客を魅了した。そして、「Supernova」「On and On」「Spellbound」「Ordinary」を歌い後半へ続く。

「たくさんの愛に包まれてるなって日々思うんです。終わりたくねぇけど、終わりに向かって行くよ!」と伝え、「NEW ERA」の前奏が流れると、会場には大きな歓声が響いた。「Zero Gravity」「ain’t on the map yet」「In your pocket」とNulbarichの幕開けを感じずにはいられない極上のナンバーが続き、「次の曲で気持ち的には最後」と言って「Almost There」を歌った。

「僕たちはぶん投げスタイルで、曲にどういう思いを込めたかとかよりも、皆さんの日常の1分にでも入り込むことが全て。ファイナルだから、言いたいことたくさんありすぎて、俺もうパニック」と言い、会場を笑いに誘う。「次のワンマンは武道館なんですよ。カオス!出来るのかなぁ。出来ねぇのかなぁ。でも、諦めない(笑)。とりあえず、ここまで信じて僕たちみたいな音楽を共有してくれたこと、今ここにいる人、ツアーに一緒に来てくれた人、ご家族のかた、関係者の方々、本当に僕たちを見続けてくれてありがとうございます。やっぱ改めて、音楽ってみんなで作るものだなって思って。もしみんなのどこかに僕たちの入る隙間があるなら、また好きな時に手を繋ぎましょう。いつでも待ってっから、俺ら。本当にマジでありがとう!」と言って、「Heart Like a pool」で締めくくった。

ライブが終わって心に残ったのは、ステージ上でのJQの一貫したリラックス感、心地よいグルーヴとスキルのせめぎ合い、歌唱力、そしてバンドメンバーたちが生き生きと笑顔で演奏する姿。観客は音楽と空間を共有することを心から素直に楽しみ、終演後も上質な余韻がしばらく続いているようだった。今年のストーリーはまだまだ始まったばかりのNulbarich。これからたくさんの大型フェスに参加した後は、11月の武道館ライブが待っている。このままラフにタフにどんな新時代を築くのか。今後のNulbarichの動向に目が離せない。

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka