世界が注目する新進気鋭の女性アーティスト、iri。全公演ソールドアウトの「iri 1st Tour 2018」で見せた、ずば抜けた実力と果てしない未来への可能性【ライブレポート】

2018/04/04

ヒップホップ、R&B、ソウルなど、あらゆるボーダーを超えたリズムセンスを持ち、心地良くもスモーキーな歌声を響かせる 才能溢れる女性アーティスト、iri(イリ)。1994年生まれ、神奈川県逗子市在住のiriは、幼い頃に自宅にあった母のアコースティックギターを独学で習得すると、学生時代のアルバイト先の老舗 JAZZ BAR で弾き語りのライブから音楽活動をスタートさせる。そして2014 年、雑誌「NYLON JAPAN」と「Sony Music」が開催したオーディション「JAM」で見事グランプリを獲得。2016 年 10 月には、ビクターカラフルレコーズよりアルバム「Groove it」で瞬く間にメジャーデビューを果たした新進気鋭のアーティストなのである。

Tokyo RecordingsWONKケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)、 高橋海(LUCKY TAPES)、ESME MORI(Pistachio Studio)、TOSHIKI HAYASHI(%C)、yahyel など、まさに音楽シーンの最先端を行く、錚々たるクリエイタ―達がiriの作品に参加しており、ハイクオリティな完成度の高い作品ばかりを誕生させていることも話題になっている。また、昨年 11 月にリリースとなった EP「life ep」に収録された、カリスマラッパーでトラックメイカーの5lackとのコラボレーション曲 「Telephone feat. 5lack」は、iTunes ストアのヒップホップ/ラップチャートで1 位を獲得した。さらに昨年、iriがコリーヌ・ベイリー・レイの6年ぶり来日公演の際にオープンニングアクトを務めたことが注目された。

他のアーティスト達とは一線を画すクールで独特な符割のリリックを用い、ソウルフルな歌声で心地良い音楽を聴かせてくれるiri。2 月 28 日に 1 年 4 か月ぶりにリリースした待望の セカンドアルバム「Juice」をひっさげ、3月15日の名古屋を皮切りに、全国5ヶ所で「iri 1st Tour 2018」を行った。今回は、全公演ソールドアウトとなった今ツアーの、恵比寿のLIQUIDROOMでのライブの模様をお届けしたい。

DJ:Licaxxx によるDJがしばらく続いた後、超満員の観客の前にiriが颯爽と登場。今回のツアーで初めてキーボードをバンドに加え、メンバーはキーボードのGeorge(MOP of HEAD)、ドラムの荒田洸(WONK)、DJ TAARとなった。超満員の観客の前で全く臆することもなく、iriは最新アルバムの中から「Keepin’」「Slowly Drive」「Corner」を堂々と歌い上げる。そして、「こんばんは、iriです。ありがとうございます。後ろの方も一応見えてます!」と短く挨拶したあと、ファーストアルバム「Groove it」から 「Wandering」、アコースティックギターを弾きながら「ナイトグルーヴ」、そして「半疑じゃない」を一気に披露。続いてNike Women「わたしに驚け」キャンペーンソングとなった「Watashi」のイントロがかかると観客はさらに盛り上がり、次の曲「For life」では観客がiriのコールに応えるなど、熱気はますます高まりをみせた。

その後、「楽しんでますか〜?セカンドアルバムがやっと出来上がったかと思ったら、あっという間にツアーが始まっちゃいました。でも超楽しみにしてて、みんなも色々メッセージとかSNSとかくれるじゃん?超嬉しいんで。ありがとうございます!」とmcを挟んだあと、「Never end」、「ガールズトーク」「無理相反」を続けて歌う。iTunes ストアのHIP HOP/RAPチャートで1 位を獲得した話題曲「Telephone feat. 5lack」のイントロがかかると、観客の中には「やばい〜」と叫んで盛り上がる女性の姿も。そして再びギターを持って「会いたいわ」を歌い、「rhythm」では多くの人が手をふりかざしながらそのグルーヴ感溢れるサウンドを楽しんでいた。

「歌い続けちゃった(笑)」とMCすると、ライブ終演後に本人自身も一番テンションが上がったと話していた「Dramatic Love」へ。多くの女性の観客が盛り上がる雰囲気から、この曲が女性に人気なことがよく感じ取れる。後半はリラックスしたメローな曲が続き、会場にその類い稀な歌声を自然体でしっとりと響かせた。そして「fruits (midnight)」「Night Dream」と続き、次の曲のイントロが始まると「もう最後の曲になっちゃった〜(笑)。今日は本当にありがとうございました!」と明るく言って、ラストの「Mellow Light」へ。アンコールで再び登場したiriは「最後に喋って終わりたいけど、喋るのが下手くそだからやめておきます」と照れ臭そうに言い、ギターを弾きながら「brother」をしっとりと歌いあげた。スポットライトで照らされたiriの姿と、彼女が放つ美しい世界観に観客は皆魅了されていた。

MCも短く、アンコールの後も会場からの大きな拍手の中、足早に舞台から立ち去るなど、シャイな一面を感じさせるiriだが、その歌声は太くてスモーキーで、ダイナミックな力強さを持っている。今回のツアーは、名古屋、大阪、仙台、東京、福岡と全国5カ所で行われたが、それぞれの土地の雰囲気で観客の反応も様々だったようだ。一瞬で会場全体を包み込むような心地良さと、巨大な才能を秘めているアーティストの急成長の過程を垣間見たようで、未来への果てなき可能性を感じずにはいられないライブとなった。これからの活躍がますます楽しみなアーティスト、iriに注目していきたい。

Text: Kaya Takatsuna / Photo: 田中聖太郎

 

iri/ Juice  初回限定盤(CD+DVD)

2018年2月28日発売 ¥3,700 +税

Victor Entertainment /VIZL-1310

iri/ Juice  通常盤(CD)

2018年2月28日発売 ¥2,900 +税

Victor Entertainment /VICL-64926