レディ・ガガやクリス・ブラウンらとの共演を実現したダンサーRIEHATA。日本人が世界で認められるために必要なマインドや日本のエンターテイメントの課題を語った【インタビュー】

2018/03/08

「成功とは何か」をメインテーマとしているHIGHFLYERSでは、国内外で活躍するクリエイターやアーティスト、パフォーマーのインタビューをHIGHFLYERSON COME UPなどのコーナーで定期的に取り上げているが、これからはより多くのフィールドで華々しく活躍する人達を不定期にBLOGのコーナーでもインタビューしていく。今後、海外にも視野を広げ、日本人に限らず世界で活躍するクリエイターや、日本から世界へ羽ばたいていった先駆者に、世界で活躍するための秘訣やそこに到達するまでの経緯などを聞いていく予定だ。

今回話を伺ったのは、ダンサーのRIEHATA(リエハタ)。AIEXILE TRIBE青山テルマなどの国内アーティストのMV(ミュージックビデオ)に出演し、音楽番組「ミュージックステーション」でレディ・ガガのバックダンサーに若くして選ばれた。また、クリス・ブラウンのフィリピン公演でゲストダンサーとしてフリースタイルを本人とともに披露したほか、MV「Party ft. Gucci Mane, Usher」での共演、さらにオマリオンのショートムービー「W4W “Word 4 Word”」への出演など、海外トップアーティストとの共演も多く、まさに今注目度No.1のダンサーである。

世界のエンターテイメントに果敢に挑むRIEHATAに、現在に至るまでの経緯や、ダンサーの世界について、そして海外と日本のエンターテイメントに対する考え方の違いなどを伺った。また、日本人が海外へ進出するためには、街や企業がどういった取り組みを共にしていったら良いかなどをパフォーマーからの視点でも語ってくれた。

今のメインの仕事は、ダンサーとして舞台で踊ることですか?

アーティストのバックダンサー、振り付け、インストラクター、ダンスの大会の審査員などをしています。最近はダンサーとして出演するにしても、バックダンサーとしてではなくRIEHATAという一人のアーティストとして、アーティスト(ミュージシャン)と対等にパフォーマンスしますし、モデルとしてブランドとコラボしたり、ファッション誌に出演したりするなどダンス以外の仕事も増えてますね。ダンスだけでなく、音楽やファッションを通して自分の感性をアウトプットしたい気持ちも強いんです。

ところで、ダンスとの出会いはいつですか?

本格的に習い始めたのは11歳の時です。小さい頃から音楽とダンスが好きで、出身地の新潟にいた頃は歌手になりたくて、のど自慢大会に出たこともあります。でも、周りから「そういうことは東京じゃないとできないんじゃない?」って言われていたので、私が「もっと本格的にやりたい」って家族に言ったら、「だったら思い切って行かないと!」って。それから3ヶ月後には家族みんなで東京に引越してました(笑)。東京でダンスと歌が習えるスタジオを見つけて通い始めてからは、歌よりもダンスにハマりましたね。それが12~13歳の頃で、それからずっと踊っています。

家族がとても協力的ですね。では、ベクトルが日本国内から世界に向かっていったきっかけは?

都内でいろんなインストラクターのレッスンを受けても、自分の好きな黒人系のダンスを教えてくれる人が見つからないので、結局スクールを2年で辞めたんです。「もう次はアメリカだな」って思ったので高校には行かないことに決め、中学卒業後はアメリカ・ロサンゼルスに行きました。ロサンゼルスにある「 The Millennium Dance Complex(ミレニアム ダンス コンプレックス)」というスタジオで3ヶ月間レッスンを受けたら、もう衝撃で。レベルの差を痛感したんです。

本場は日本と何が違ったのですか?

表現の仕方から自信の持ち方まで、もう全てが違いました。日本は先生に教えられた通り忠実に踊るのがいいとされているけど、アメリカはもっと自由でオリジナリティがあるんです。レッスンを受ける時、最初はみんなの一番後ろから踊り始めたのですが、「いつか一番前で踊りたい」という思いでとにかく必死に練習しましたね。自分が興味を持ったらとことん突き進んで何かを掴むまで終われない性格なんです。

クリス・ブラウンのライブやMVに出演したきっかけは?

ずっと彼の音楽やダンスが好きで、 ダンサーのDeeと一緒にクリスの曲で踊っている動画をインスタに投稿していたら本人が気に入ってくれたみたいで、アメリカに行った時に「会いたいのでリハに遊びに来てください」と直接メッセージが来たんです。リハーサルスタジオに呼ばれて見学している時、「ん?今人生で何が起きてるんだ?目の前で踊ってるのクリス・ブラウンだよね?」って(笑)。それから3日後に家にも呼ばれて、家族ぐるみで仲良くなってその後も連絡を取り合っていたら、「ライブに出ちゃいなよ」ってなって、2015年にフィリピンのマニラで行われたライブに出演しました。

海外にいる時は、自分の中の心構えみたいなものって日本にいる時とは違います?

アメリカは常に何かが動いてる国だから、自分のモチベーションも常に高くないと置いていかれます。クリスだって当時は自分から声をかけないといなくなっちゃう。「明日会おうね」って約束したのに会えなかったとしても「来なかった。どうしよう」じゃなくて「じゃあ次を考えよう」っていう思考が絶対必要だと思いますね。

そういう考え方ができる日本人は、RIEHATAさんの周りにいますか?

モチベーションが高くてガッツがある、そして自分のことをよくわかっている人という意味ではアーティストのAIさんとか、EXILEのAKIRAさんとかですかね。

日本のエンターテイメントと海外のエンターテイメントの決定的な差は何ですか?

モチベーションが全然違います。その人が日本国内で人気があればいいっていうヴィジョンならいいんですけど、「アメリカでも売れたい」「アジアでも一番になりたい」っていうアーティストって結構たくさんいると思うんですよ。でもその割には、ダンス力、歌唱力、見た目のオーラ、存在感、オリジナリティがどれも海外に負けてますね。でも努力すれば絶対に身につくと思うんです。本当に世界に行きたいんだったらもっと死ぬ気でやれることっていっぱいあるんじゃないかなって思いますね。

今、エンターテイメントのダンスの市場で一番はアメリカですか?

アメリカです。それと規模は違うけど、 韓国はすごいと思います。ダンスの技術などもそうですが、アーティストの発信力は日本の倍のスピードです。演出方法も、PRの規模やMVへのお金のかけ方も凄いですよ。アーティストはデビューする前に、日本語、英語を喋れるようにして、さらにダンス、歌、演技全部をできるようにするんですよ。MVの作り方にしても誰もやってないことをやろうという心意気を感じますね。

ところで、ダンサーの最高峰はどこですか?

ダンサーとしてひとくくりに語るのは難しいです。なぜなら、ダンスバトルで優勝することがそうだと思う人もいれば、振付家としてブロードウェイで表彰されることや、バックダンサーとしてビヨンセのバックで踊るのがトップだって思う人もいるから。だから世間的にはわからないですけど、私が思うに、ダンスだけでトップアーティストの横に並ぶのがトップだと思います。

今、ご自身はトップにいると思いますか?

トップのフィールドに立てているとは思いますけど、スキルはまだまだですね。ヒップホップはできても、ジャズやサルサをやってくれと言われたらできないし、自分に足りないことはいっぱいあります。それに私、怪我したり妊婦だったりしてブランクが多いから、体力も感覚も全てをベストな時の状態に戻そうと今は必死なんです。

RIEHATAさんが自分より上にいると思う、到達したいアーティストはいますか?

歌とダンスが完璧な最高峰のアーティストと言ったらマイケル・ジャクソンですかね。世界の誰もが知っていると言えば間違いなく彼だし、他はやっぱりクリス・ブラウンやビヨンセですね。

プロデュースに加わっているダンススタジオ「STUDIO S.W.A.G.」は川崎にあるんですよね。そこには海外からも生徒さんが習いに来るのですか?

そうですね。特に中国、あとは韓国やアメリカから習いに来ます。「今日本にいるけど、どこでレッスンしてるの?」っていうメッセージが外国人から毎日のように来ます。私は子供が2人いるし、海外に行くことも多いので、レギュラークラスは持たずに不定期のワークショップをたまにやって教えています。

「STUDIO S.W.A.G.」に海外から人が集まることや、RIEHATAさんが日本で活躍されることが、将来の日本のエンターテイメントのレベルアップにも繋がりそうですね。

そうなることを願っていますし、必ずそうなるように努力します韓国でNO.1と言われているラッパーのZICO(ジコ)は、 実際に私とMVを撮るために日本まで来たんですよ。オマリオンのショートムービー「W4W “Word 4 Word”」に出演した時も、「日本で一番ヤバイ子を探していたら君を見つけたよ」ってインスタに直接メッセージが来たのがきっかけだったし、そうやって全編日本で撮影した作品をつくるために来日する海外アーティストが増えるのはすごいなって思います。

—「W4W “Word 4 Word”」ではオマリオン渋谷の街をスクーターで走るシーンがありましたね。ところで、ここ渋谷はエンターテイメントを発している街の代表ですが、RIEHATAさんは渋谷に縁がありますか?

昔は渋谷 eggman(エッグマン)とかVuenos Tokyo(ブエノス トーキョー)はよく行ってたんですけど、今は買い物するくらいです。今回私の撮影をしたNUDE TRUMP(ヌードトランプ)は好きでたまに来ます。あとは、撮影やイベントがある時にも渋谷に来ますね。

渋谷はRIEHATAさんにとってどんな街ですか?また、ファッションにおいてはどう思われますか?

私にとって渋谷は常に進化する東京の心臓部分であり、若者の発信地・表現する場という、ずっと変わらない唯一無二の場所です。ファッションで言ったら東京が世界で一番凄いって思います。カワイイ文化も強いので、どんなものでもカワイイものに変換させてしまう発想力や「人と違ったことをしよう」と努力をするのは本当に日本人の凄いところです。全ての人に当てはまることではないですが、外国人に比べて体格が小柄だったり顔のほりが深くなかったりすることに対しても、「ファッションで自分を濃くしよう!目立とう!」という考え方を持っている人もいるんじゃないかと思います。渋谷や原宿で見かける髪の毛も服装もカラフルで、ピアスもいっぱい開けて、タトゥーもいれてっていう人達は、自由な表現をしている反面どこかにコンプレックスや心の寂しさを感じる時がありますね。それも含め、東京っていうスタイルだと思うし、日々進化を止めない東京のファッションは、日本人としてずっと誇っていける部分だし、大好きです。

渋谷がエンターテイメントの街として世界と対等になるにはどうしたらいいと思いますか?

まずは、外で楽器を演奏したり踊ったりするのを海外のように自由に出来る環境を作ることが大切ではないかと思います。ロサンゼルスはサンタモニカやベニスビーチで演奏してると、周りでカップルや子供が音に合わせて踊り始めたり、人が集まって来てチップをあげたりっていうのが普通だけど、日本は恥ずかしいとか、お店に迷惑とか、音がうるさいとか、いろんなルールがあるけど、音楽を楽しめる環境を作らないと街全体に音楽が溢れるようなエンターテイメントを誇れる街にならないですよね。クラブも地下にあるとなんだか悪いところみたいなイメージになっちゃうじゃないですか。

なるほど。ではこれから渋谷にやってほしいことは具体的にありますか?

スクランブル交差点を止めるとか、外でイベントをやりたいですね。あの風景は世界中が知ってるから、あそこで何かしたら必ず世界中が注目しますよ。

それでは最後に、将来の夢があれば教えてください。

私は今の現状にとても感謝していて、毎日子供達が健康に過ごせればそれ以上の幸せはないと思っています。なので将来の夢というよりは、この先どんなことが待っているのか、自分には他にどんな可能性があるのかというワクワクする気持ちでいます!でもやはり目標を持つことは大事なので、しいていうと、究極はマザー・テレサのようになりたいです(笑)。人を救うとか、ボランティアとかそういう部分だけでなく、いろんな人に影響やパワーを与える太陽みたいな人になりたいって思う。調子に乗らずに真面目に成功して、「RIEHATAみたいになりたい」とか、「そういうモチベーションでいたい」って憧れてくれる人が世界中に増えたらいいなって。SNSでもポジティブな自分を見た人が元気出たり、悩みが吹き飛んだり、「私もママなんですけどダンス頑張ろうと思いました」とか、「ダンス諦めないようにしようと思いました」とか、そういうメッセージが来ると、この仕事をやってる意味を実感するんです。セレブになるとかもっと稼ぐとか、そういう目標って夢じゃなくてただの通過点だから、最終的には救いのオーラがあって、その人といると幸せになれるような、周りから尊敬される存在になりたいと思います。

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka

 

RIEHATA インスタグラム:  https://www.instagram.com/riehata/?hl=ja

RIEHATA  YouTube:  https://www.youtube.com/riechuu

取材協力: NUDE TRUMP

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