新たなw-inds.の幕開け!INVISIBLE TOUR 2017 FINAL in 日本武道館【ライブレポート】

2017/10/02

今や日本国内だけでなくアジアを中心とした世界で活躍する3人組男性ダンスボーカルユニットw-inds.。世界的なトレンドをいち早く昇華し、最先端のダンス・ミュージックを凝縮したニューアルバム「INVISIBLE」をひっさげ、2017年7月からスタートした全国ツアー「w-inds. LIVE TOUR 2017 “INVISIBLE”」は、9月27日に東京・日本武道館で全国ツアーのファイナル公演を迎えた。

2013年に開催された「w-inds. LIVE TOUR 2013 “AWAKE”」ぶりの日本武道館公演、会場を埋め尽くしたファンたちが3人の登場を今か今かと待ちわびる中、ふっと会場照明が消え、アルバム「INVISIBLE」2曲目に収録された「Come Back to Bed」のイントロが流れ出すと約8,000人のファンがグループカラーの青色ペンライトを持って総立ちし、ライブは幕開けした。

緞帳のように張られた巨大スクリーンにはプロジェクション映像が映しだされ、その奥に設置された奥行きのあるトライアングル型のステージ上にはスポットライトで照らされた橘慶太、千葉涼平、緒方龍一の3人の姿が見える。まるでMV映像のワンシーンかの様な世界観のオープニングに酔いしれていると、ソロパートで巨大スクリ―ンに千葉のアップが映し出され歌い終わりの笑顔でファンのボルテージが一気に上がった。

続く2曲目はアップテンポのトロピカル・ハウス「Backstage」。巨大スクリーンが上がり3人がメインステージへ登場すると、先程まで立っていたトライアングル型ステージには波模様のムービーが映し出され、会場はまるで夏の様な雰囲気に。ステージセットの中でひと際目を引くこのトライアングル型ステージは、頭上に対になった2面と足元に傾斜のある1面の計3面スクリーンで構成されており、ある時はバックスクリーンに、ある時はステージにと変化し、効果的にライブを彩っていたのが印象的だ。そして、傾斜のあるステージ上でも華麗にダンスをするメンバーのダンススキルの高さも際立たせた。

3曲目の「Complicated」を歌い上げた後、緒方が「こんなに沢山の方に集まっていただきありがとうございます!今日で最終公演となってしまいますが、今日は最高の1日にしましょう!」と呼びかけると、ファンは大歓声で応じた。その後、「No matter where you are」が始まり、「TABOO」、「CAMOUFLAGE」、「wind wind blow」と30代になった彼らだからこそ魅せられる、しっとりした大人の色気を感じるステージが休みなく続いた。

そして、続く8曲目はメインボーカル橘が作詞・作曲・編曲を担当し、初の全面プロデュースを手掛けている2017年の代表作「We Don’t Need To Talk Anymore」。ボーカルドロップ手法を駆使した耳に残るサウンドのサビパートでは、男性ダンサー4人も加わった息の合ったダンスを存分に魅せつけた。その後のMCで橘は、「自分が作詞作曲、アレンジまでした曲が武道館で爆音で流れるなんて最高です!曲作ってよかったなぁって思います!筋肉ムキムキになって迷走していた時期もありましたが(笑)、17年でこんなことができるようになりました!」と、コメントして会場を沸かせた。橘と緒方が衣装チェンジをしている間、一人MCをするのは20歳のとき以来というグループリーダーの千葉は、「全国各地からお越しいただきありがとうございます!日本武道館では2ndツアーから何度か公演をさせて頂いていて思い出のある場所ですが、今でも緊張感があるのでホームなのかアウェーなのかわかりませんが(笑)、今年またこのステージに立てることができて本当に嬉しいです!」と感謝を伝えた。

MC後は各メンバーがそれぞれ作詞したソロ曲タイムへ突入。先ずは橘のソロ曲「Separate Way」。アコースティックギターで共演する緒方と共にセンターステ―ジに用意された椅子に座り、伸びやかな歌声を披露する橘。シンプルな曲だからこそ彼の歌唱力の高さを感じる洗練されたステージとなった。

続いて千葉のソロ曲「In your warmth」は、千葉の柔らかく透き通った歌声がとても心地よく、男女一組のダンサーを率いた演出も歌詞の世界観を上手く表現していた。トライアングル型ステージ上で歌い終えた千葉の隣に緒方が登場すると、緒方が作詞し、橘が作曲・編曲を手掛けた緒方と千葉の初のデュエット曲「A trip in my hard days」が始まり、スクリーンに映し出される「RYUICHI」「RYOHEI」のグラフィックアニメーションがラップメインのテンポの良いこの曲を彩っていた。そして、続く緒方のソロ曲「ORIGINAL LOVE」は、自身が得意とする力強いラップと柔らかな歌声で構成され、緒方の表現の幅の広さを感じる印象を受けた。

ステージ上にフェンスやドラム缶、ビッグサイズのスピーカーなどストリートカルチャーを彷彿させるアイテムが設置されると、今回のライブで一番色鮮やかな衣装を身にまとったメンバー3人が登場し、13曲目の80年代風のファンクナンバー「Boom Word Up」が始まった。足元のスクリーンに映し出されたYellow×Blackカラーのみで表現されたリリックアニメーションも、ただ歌詞を表示するのではなくストリート感のあるグラフィックデザインとしてとても印象的だった。その後、「Players」、「Drop Drop」とダンスナンバーが続いたが、緒方が曲終わりで「あぁ…楽しかったぁ…」とマイクで拾えない本音を橘の耳元でこぼしてしまうほど、本人たちもノリノリな様子だ。

ライブも終盤にさしかかった頃のMCでは、緒方が「本当に皆さんから幸せを頂いています。今回のINVISIBLEからw-inds.的にもサウンド的にも新しい挑戦をしてきたので、こうして皆さんの楽しんでいる姿を見ていると、この半年間やってきたことが形になって現れたんだなと思いました」、橘が「デビュー当時と今のw-inds.とは全然変わってきていて、変わることに関してファンの皆さんに受け入れてもらえるのか、自己満足になっていないかと不安になることもあったけれど、こうやって皆さんに楽しんでもらえて安心した」と、自分たちを変わらず応援し続けてくれるファンへの想いを伝えた。

その後、昔の映像を見ると自分とは思えない程はしゃいでいて恥ずかしがる千葉、昔は前髪で前が見えない程クールにしていたのに今ではその反動ではしゃぎまくっている緒方、3人で同居をしている頃に夜な夜なリビングで腹筋ローラーをしていたのにガリガリのままだった橘など3人の過去の話で会場を沸かせ、話題はこの日発売の新シングル「Time Has Gone」に。

橘:「自分たちで曲が作れるようになってからスタッフが少なくなったので、この前インタビューで『w-inds.お金ないんですか?』と聞かれたんですけど、そういうわけじゃないんですよ(笑)」。千葉:「けど、スタッフが少ないほうが集中できるんだよね。沢山の方がいると気を使ってしまって、時間も押してはいけないんじゃないかなと焦っちゃう」。緒方:「リーダーの言うことは絶対だから大丈夫だよ」。橘:「リーダーの言うことは〜?」、観客:「絶対!!」と返す場面もあり、彼らの仲の良さが滲み出ていたMCが終了。

そして、更なる彼らの成長を象徴する39枚目の新シングル「Time Has Gone」を披露し、MCの時とは別人かの様な大人な色気のあるステージで観客を魅了した。「We Don’t Need To Talk Anymore」に続く、橘全面プロデュースの2作品目となる「Time Has Gone」は、フューチャー・ベースを採り入れた哀愁のあるダンス・ミュージックとなっており、秋めいた今の季節にぴったりの1曲。発売を記念してこの曲のみスマホでの撮影可、そしてSNSへのアップ可となったが、「SNSで今日発売って宣伝してね!」と、普段からSNSで情報発信をし続けている彼ららしい発言もあった。

新曲を披露した後は、フィナーレへ向けて「Let’s get it on remix」、「Superstar remix」、「SAY YES remix」、「New World remix」と過去作品がまるで新作のように感じるほどのEDMリミックスメドレーで一気に加速し、会場の盛り上がりは最高潮になったところで本編が終了した。

興奮冷めやらぬファン達のアンコールの声が鳴り響く中、ツアーグッズを身にまとった3人が登場し、まだまだパーティーは終わらないと代弁するかのようにスタイリッシュな印象のパーティーチューン「FANTASY」を披露した。「あっという間にアンコールだったけど、まだ思い残すことあるよね?もうちょっと僕たちに皆の時間をくれますか?」と緒方が確認すると、ファンたちも大歓声で応え、続くアンコール2曲目はファンクとモダンが融合した大人なダンスナンバー「In Love With The Music」。洋楽調のメロディーだけでなく軽快に踊っている様に見えて難易度の高いダンスもとても見どころがあった。そして、「皆で一緒に歌いましょう!」という橘の呼びかけに会場が沸いて始まったアンコールのクライマックスは、2001年に発売された2ndシングル「Feel The Fate」。とうの昔に変声期を迎えているのにもかかわらず、当時と同じキーで歌う橘の歌唱力に脱帽しながらも、センターステージで当時を彷彿させるロックダンスを踊る3人の姿に思わず顔が綻んだ。

ラストソング終了後、メンバーの名前を叫ぶファンたちの大歓声の中、「本当にこんな最高な時間があっていいのかな…生きていたらといいことがあるんだな…。皆が僕たちのことをこうやって観に来てくれて最高って言ってくれますけど、僕たちからしたら皆さんの方が最高です!17年目でもまた武道館に立つことができるのは、ずっと応援してくれる皆さん一人ひとりのおかげです。まだまだ未熟だからこそ、皆さんの力を借りてこれからも次のステージへステップアップしていきたいです」と、橘が感謝を述べた。そして、「これからももっともっと自分たちのスキルを上げて、もっともっといい音楽を、もっともっといいステ―ジを、来年、再来年、20周年、30周年も届けることを約束します!だから安心してついて来てください!」と、ファンに向けて約束した。

2000年に結成、そして2001年にデビューしたw-inds.にとって、2017年は新たなw-inds.の幕開けとなった。その記念すべき新しいw-inds.が誕生したことを頷かせるステージを肌で感じることができたことを嬉しく思い、自分たちの信じる道を突き進み世界に発信し続ける彼らの活躍をこれからも追っていきたい。

 

Text: しまめ