コーヒー豆を生産者で選ぶコーヒー専門店「丸山珈琲 表参道 Single Origin Store」がオープン!世界トップクラスのコーヒーを楽しめるカフェが誕生【レポート】

2017/09/26

長野・軽井沢や東京・西麻布などに9店舗を構え、スタイリッシュで上品な空間でスペシャルティコーヒーを楽しめるカフェとして人気の高い「丸山珈琲」が9月23日(土)に表参道に国内10店舗目となる新しいコンセプトのコーヒーショップ「丸山珈琲 表参道 Single Origin Store」をオープンした。

上段左:外観 上段中:丸山珈琲のサイン 上段右、下段右:1階。エスプレッソマシンが置かれ、メニューは全てテイクアウトも可能 下段左:2階のカフェスペースでは避暑地に来たかのような落ち着いた雰囲気の中、美味しいコーヒーが飲める

コンセプトは 「Discover Coffee(ディスカバーコーヒー)」=「コーヒー豆生産者との出会い」。ブレンドの豆を一切置かず、約30種類ものシングルオリジン(単一農家)の豆を揃え、それら全ての豆には生産者の名前がつけられている。年間150日以上生産地に出向き、生産者から直接コーヒー豆を買い付けている丸山珈琲らしく、コーヒー豆で生産者とお客様を繋ぐ架け橋のようなコーヒーショップだ。

厳選されたコーヒー豆。生産者の顔がわかるようになっている。写真左は、ホンジュラスで四代続く老舗エルプエンテ農園のマリサベル・カバジェロ

1階は豆の販売スペースで、2階がカフェとなっている店舗は、青山通りから路地を入ったところにひっそりと佇む、まるで隠れ家のような一軒家。社長の丸山健太郎は「 ふと出会った物件でしたが、直感で「ここだ」と思いました。駅から近いのもいいし、前のオーナーが植栽を生かされていたうえ、雰囲気は生産者の農園ハウスにも通じるものがあって、ある意味丸山珈琲らしいと思う」と述べた。

丸山珈琲社長の丸山健太郎

店舗ではバリスタチャンピオンシップの優勝経験者を始め、各競技会で活躍するトップレベルのバリスタがコーヒー豆のコンシェルジュとして店舗に常駐し、生産者の顔写真がずらりと並ぶディスプレイ棚とメニューリストからお客様にぴったりの豆を探してくれる。店長の宇野晋平は、「 ここに来て生産者の顔を見て、コーヒーにはたくさんの人が関わっていることを知っていただく機会が提供できれば」と意気込みを語った。コーヒー好きが国内外から集まる聖地的スポットになりそうな雰囲気が漂う。

左:メニューリスト 右:店長の宇野晋平

内覧会では、ケニアのニエリ・ヒル、キニャリ、カムワンギ地区の、小粒で丸い形の希少な品種ピーベリー3種類と、今年のホンジュラスのカップ・オブ・エクセレンス(COE)で丸山珈琲が史上最高価格で落札した「オスカー・ラミレス」をフレンチプレスで抽出し、試飲が行われた。

左:ケニア産の3種類。ニエリ・ヒルはライムジャスミン、赤ワインのような印象で、キニャリはブラッドオレンジ、ジャスミンなどのフレーバーがあり、ジューシーさが特徴。カムワンギはオレンジなどのシトラスフレーバーで爽やかな上品さがあり滑らかな舌触り。3銘柄全て988円(税込)/100g  802円(税込)/喫茶 中央:ホンジュラス産のオスカー・ラミレスは、赤ワイン、プルーン、ピーチ、ジャスミンなど甘くて複雑な味わい。8100円(税込)/80g 900円(税込)/喫茶  右:バリスタの山岡亮太朗は、先日行われたJBC(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)で準決勝まで進んだ実力の持ち主

また、提供するコーヒーは、フレンチプレスのほかサイフォンでも抽出。サイフォンで淹れたコーヒーをいただける店舗は丸山珈琲としても珍しい。サイフォンを導入したことについて丸山は、「もっとサイフォニストに活躍してほしいという思いもあって選びました。 サイフォンのこと知らない人って意外と多く、特に若い人には「これは何の機械ですか?」って聞かれるんです。サイフォンは海外でも人気ですし、魅力を再認識してもらいたい」と述べた。

カウンターに並ぶサイフォン

そして、23日のオープンに先立って22日には「Commune 2nd」にてオープニングレセプションが行われ、丸山を始め、丸山珈琲とゆかりのある世界的バリスタやコーヒー生産者が来日しオープニング前夜を盛り上げた。

生産者にスポットをあてたお店をオープンすることが長年の夢だったという丸山は「 コーヒーの生産現場に行き始めた20年以上前から、コーヒー生産者の情熱や技術はワインの生産者に負けないくらい素晴らしいのに、全く彼らの努力が顧みられていないということを感じていました。いつか彼らのことを最高の場所で伝えたかったので、ようやく夢が叶いました。みなさんに感謝を伝えたい」とステージ上で喜びを語った。

丸山健太郎

2014年に日本人初のバリスタ世界チャンピオンとなった井崎英典もお祝いに駆けつけ、「これはFrom Seed to Cup (タネからカップまで)というのをまさに体現されたプロジェクトで、30種類のシングルオリジンを同時に提供するというのは国際的にみてもコーヒー業界にとって前代未聞の出来事。丸山社長との出会ったのは16歳の頃ですが、時には厳しく時には優しく今までずっと息子のように愛情を持って接してくださいました。 僕はコンサルタントとして2016年に丸山珈琲から独立しましたが、一人になってみて社長の凄さがよりわかるようになった。社長の背中は本当に大きい 」とコーヒー業界の父に対して最高の賛辞を述べた。

2014年に日本人初のバリスタ世界チャンピオンに輝いた井崎英典

その後、ステージには2013年バリスタ世界チャンピオンのPete Licata(ピート・リカータ)、グアテマラからTheodro Engelhardt the4th(テオドロ・インゲルハート4世)、Paul Starry(ポール・スターリー)と、エル・サルバドルからFernando Lima(フェルナンド・リマ)の生産者が登壇。リカータがそれぞれの生産者が作った豆の特徴を解説し、 同時に来場者にはその豆でバリスタが淹れたコーヒーが振る舞われた。

インゲルハート4世は、「ここで僕のコーヒーを日本の皆さんが飲んでくださっていることを嬉しく思う。そして丸山社長がグアテマラの市街地から6時間かけて山奥まで私のコーヒーを見つけに来てくれたことに感動している」と述べ、リマは「日本人は最も洗練されていて、文化に対する造詣も素晴らしい。コーヒーの良さをしっかり理解してくれる、最も尊敬している人たちです。丸山さんはコーヒーの裏に隠されたストーリーをしっかり伝えてくれている」と日本人への敬意を表した。スターリーは、「とても嬉しく誇りに思う。今エスプレッソを飲むために並んでる皆さんの列の長さを見れば、私のコーヒーを日本人の皆さんが楽しんでくださっていることがよくわかります」と喜びを語った。

写真左から、コーヒー生産者のポール・スターリー、フェルナンド・リマ、テオドロ・インゲルハート4世、2013年バリスタ世界チャンピオンのピート・リカータ、丸山健太郎、司会を務めたコーヒールンバの平岡佐智男

その後、エル・サルバドルとグアテマラの農園をイメージしてアレンジした楽曲の5重奏が行われるなど、オープニングレセプションは大盛況のまま幕を閉じた。また、2016年JBCの優勝者で11月に世界大会へ挑む鈴木樹や、今年のJBCでファイナリストの一人となった櫛浜健治など一流のバリスタ達が淹れたコーヒーやエスプレッソを作るブースには、パーティが終わっても来場者が長い行列を作っていた。

上段左:エル・サルバドルとグアテマラの農園をイメージしてアレンジした楽曲の演奏 中:2016年JBCで優勝した鈴木樹 上段右:イベント締めに行われた乾杯 下段右と左:一流のバリスタ達が淹れるコーヒーやエスプレッソを求めて並ぶ来場者たち

ちなみに、鈴木樹のインタビューは世界大会終了後、HIGHFLYERSON COME UP12月号で公開予定。こちらもお楽しみに。

 

丸山珈琲 表参道 Single Origin Store
住所:港区南青山3-14‐28(東京メトロ表参道駅A4出口より徒歩3分)
営業時間:10:00~21:00
電話番号:03-6447-5238
HP:www.maruyamacoffee.com

Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka