HIGHFLYERSにゆかりのある人物に、自身の心のオアシスとして大切にしている場所を紹介いただくコーナー「Rejuvenate(リジュビネイト)」。第7回目のゲストは、芸術家/踊絵師の神田さおりさん。以前のインタビューから約8年が経っているが、今も変わらず踊りながら自分の感じるままに絵を描き、人々の心を魅了している。
その神田さんが心のオアシスとして挙げてくれた場所は、明治神宮。大正9年(1920年)11月1日に創建され、東京ドーム約15個分の面積(約70万㎡)を誇る、緑豊かなパワースポットとしても有名な明治神宮だが、この森は昔からあったものではなく、荒れた土地を開発して創造されたもの。全国から約10万本の楠木が奉献され、約11万人の青年が造営に従事し造られたと言う。
神田さんに、明治神宮を心の拠り所とする理由や、明治神宮を訪れた時の印象深い出来事、そして最近の活動や、来月に控えているYUGENギャラリーでの個展についてなどを聞いた。
神様に手紙を書いて、自分のミッションが世界平和だということに気づいた。それをきっかけに、多くの方のサポートを得て、ニューヨークでのパフォーマンスが実現した

―まずは、心のオアシスの場所として明治神宮を選んだ理由を教えてください。
2年前くらいから活動の拠点を新宿に置いていて、そこから近いこともあって明治神宮様を訪れるようになりました。自分にとって大事な舞台の前とか、春分や夏至の節目だったり、満月や新月などに行き、自分自身と深く向き合う大切な場所となっています。
―一番最初に行った時のことは覚えていますか?
10年以上前のことになりますが、スイスから映像ディレクターの仲間が東京に来て、私を明治神宮で撮影したいと言われて行ったのが最初ですね。まず、とても立派な大鳥居の前で撮影をして、中に入っていった時に空気が変わるのを感じました。参道が美しく、気持ちの良い青々とした新緑が続いて、鳥たちのさえずりを聞きながら歩いていくと、雑念から離れて自分の真ん中にスーッと入っていく感じを受けました。
―これまで行った中で、特に印象的な出来事はありますか?
明治神宮様には神様にお手紙を書くコーナーが用意されていて、そこで私は毎回、その時の素直な魂の声や望みを宇宙にアファメーション(宣言)するつもりで手紙を書きます。去年の春分にお手紙を書いた時は、自分の内から自然に「私は世界平和に貢献します」という壮大なメッセージが出てきて、これからそういう気持ちでアートをやっていくんだって自分自身が気づけたというか、それはすごく大きな出来事でした。

―メッセージが出てきたことに対して、ご自身も結構びっくりだったんですか?
平和を願う気持ちはもちろん以前から持っていましたけど、自分の表現がそこに繋がっているんだと、はっきりクリアーになったのはその時が初めてでした。
―手紙の絵も、とても素敵ですね。
ありがとうございます。何も考えずに描いていたら、あの絵が出てきたのが嬉しかったです。私が踊りながら、そして最近は歌いながら、美と悦びのエネルギーを生み出すことが世界平和に繋がっているんだって、絵を通して感じることができました。
―それがきっかけで、昨年ニューヨークでパフォーマンスするチャンスに繋がったとお聞きしましたが。
はい、「私は世界平和に貢献するんだ」と自分の望みがクリアになったら、ニューヨークでのパフォーマンスの連絡が来たんです。元々は4年前に、TAGBOAT(タグボート)という日本のアートギャラリーがニューヨークでグループ展を開催した時に、私もいちメンバーとして行かせていただいて、パフォーマンスもしたんですけど、その展示でキュレーターを務めたKyoko Satoさんが私のパフォーマンスを覚えていてくださり、タイムズスクエアの大きなスクリーンでアーティストの活動を上映するプロジェクトにお声がけいただきました。すごく嬉しくて、すぐに「もう準備はできてます」と返信しました。
―素晴らしいです。
やるからにはスクリーンで上映するだけではなく、パフォーマンス公演も届けたいと思ったんですが、海外でそれを実現するには、かなりの額の費用がかかります。それでも迷いはなく、直感でピンときた方々にすぐさま連絡をして、熱い想いを語りました。そうしたら、とてもありがたいことに皆さん応援してくれて、3日間ぐらいで資金を集めることができたんです。自分の内側の望みがクリアだと、それがアクションに繋がって現実世界に反映していく。私はそれを「Dragon Goddess Harmony(ドラゴン ガッデス ハーモニー)」と呼んでいます。まずドラゴンは何かと言うと、内なる龍=男性性なんですね。具現化する力や行動力などを意味します。そしてガッデスは、内なる女神=女性性で、直感や潜在意識、宇宙からのメッセージをキャッチする感性のこと。この二つの性質は性別関係なく、本来みんなが内側に持っているもので、自分の直感を信じて行動に起こすと、現実が望む方向へどんどん創造される。そのハーモニーが「Dragon Goddess Harmony」なんです。
―面白いですね。それで、ニューヨークでの個展はいかがでしたか?印象に残ったことや、大変だったことなどはありましたか?
大変だったことから言うと、現地の会場を下見に行けない状況で、クオリティー高いパフォーマンスを届ける為の準備を遠隔で進めたことです。それから円安の影響をガツンと受けて、航空券や会場費を確保するだけでも想定を遥かに超えてしまい、当初集めた資金では全然足りなくなってしまって。ニューヨークでパフォーマンスをするなら絶対にドキュメンタリー映像を撮りたかったし、私は踊って歌って絵を描くので、音響設備と照明設備の手配は必須。さらには信頼している音楽ディレクターにも同行して頂く必要がありました。時間も迫ってくる中、とてもハラハラしましたが、思い描くパフォーマンス公演を届ける為には、さらなる資金が必要だ!と覚悟が決まった時に、また直感が降りてきて、パッとある方の顔が思い浮かびました。ドキドキしながら思い切って相談をしたら、「世界で活躍する神田さおりが見たい。ドンと構えて挑んで下さい。あなたが掴んだチャンス!頑張って!」と即決で資金提供してくださることになって。おかげで深く励まされ、準備に集中することができました。
ーそれは良かった。
でも、この後もまだ色々あって(笑)。いよいよニューヨークに飛ぶぞ!って飛行機に搭乗する直前に、キュレーターのKyokoさんから緊急メッセージが届き、「大変、トラブルが起きました!タイムズスクエアで上映するはずのナスダックのスクリーンが壊れました!」と言われて。
―ええ、それは大変!
スクリーンサイズにあわせてデザインを作りあげて入稿した後だったので私も焦りましたけど、とりあえず向かうしかないと搭乗しました。そうしたら、飛行機が離陸する直前にまた連絡が来て、「ミラクルが起きました!」と。普通だとありえない展開なんですけど、ナスダックのスクリーンが使えなくなった代わりに、タイムズスクエアの最も良い場所の大きなスクリーンを4つも用意してもらえることになったんです。それで慌てて飛行機の中で映像ディレクターに、新たなスクリーンサイズに合わせてグラフィックを作り直してもらって、ニューヨークに上陸すると同時に即入稿したという(笑)。ドタバタで本当に色々ありましたが、共に頑張ったみんなとタイムズスクエアにプレビューされた作品を祝福しあえて最高でした。しかも、たまたま満月の日で、みんなで大いに盛り上がりました。

左:飛行機内でデザインしている様子(Design by Little Woody)/中:タイムズスクエアにて/右:チームの皆と

タイムズスクエアの4つのモニターで上映された。SAORI KANDA NYC Art Project タイムズスクエアプレビュー キュレーター:Kyoko Sato / 協賛:Bulls Tokyo 、HINATA / 主催:Vision Art Media
―それはまさにミラクルでしたね!パフォーマンスの方はどうでしたか?
パフォーマンスはその翌日、NIPPON CLUBという会員制クラブの「NIPPON GALLERY」という場所で、アート関係のVIPのお客様の前で開催しました。自分にとっての正装の着物衣装にて、オリジナルの曲を歌い、踊り、絵を描き、全身全霊のパフォーマンスをお届けしました。曲に入りこんで描いていく途中、何か大いなる悲しみや痛みにシンクロするような感覚が起きて、一度は描いている絵を青黒く塗り潰すシーンもあったのですが、そこから力強く蘇る感じで、バーンと光が闇にほとばしって、最後には愛のエネルギーが輝く、とても美しいパワフルな作品を生み出すことができました。そして「ニューヨークへ世界平和のメッセージを届けに来たんだから、絶対にこの曲を歌いたい」と思って、描いた絵の前でジョン・レノンの「Imagine」を歌いました。皆さんとても感動していただき、涙を流して抱きしめてくれる方もいました。「あなたらしく、どんどんやり続けて」と祝福してもらえて、本当に嬉しかった。自分のお役目、大切なことを届けることができたと、魂からホッとして癒された素晴らしい体験となりました。

NIPPON GALLERYで行われたパフォーマンス。SAORI KANDA NYC Art Project アートパフォーマンス キュレーター:Kyoko Sato / 特別協賛:Bulls Tokyo / 協賛:岡田美術館、HINATA / 協力:NYC 日本クラブ
― 7月の個展は、それの延長みたいな感じになるのですか?
そうですね、その日本版というか同じメッセージのさらなる進化版です。ニューヨークで描いた大作を日本で初披露するのと、ニューヨークでのアートパフォーマンスに密着したドキュメンタリー映像をオープニングセレモニーにて初上映します。個展のタイトルは「生命讃歌-Self Love for World Peace-」。自分に与えられた、かけがえのない生命に感謝して、悦びに素直に生きていこうという意味を込めています。ピュアな悦びのエネルギーは世界への癒しそのもので、自分の内側に愛を育むと、内からあふれる愛のエネルギーが優しい態度や言葉となって、出逢う人や世界を癒していく。自分の内側の愛に丁寧に向き合うから、目の前の相手の愛に気がつけるし、尊重できて信じられる。セルフラブと世界平和は繋がっているんです。
―セルフラブとは、自分を愛するということですよね。
はい、でもセルフラブはセルフィッシュ(利己的であること)とは全く違います。セルフラブは愛の本質に迫るとても大切なテーマで、生き様を通して表現するものです。私がずっとやり続けているアートは、生きる悦びのエネルギーで、生命の神聖さを探求するスピリチュアルをテーマにしているので、コンテクストによる価値付けを主軸にする現代アートのシーンで中々理解されず、居場所のない体験をしてきました。でもコロナ以降、世界中の誰もが「死」ということを身近に感じる機会を持ち、限りある生命と、この先の生き方に向き合わされた結果、これまでの価値観の枠を超えた流れが生まれ、自分の魂と繋がって肉体を謳歌する人生の在り方と向き合うようになりました。仕事のスタイル、生活環境、パートナーシップ、生き方の根幹に変化が起きている最中、現代アート界の価値観もだんだんと変化しているのではないでしょうか。今回個展をやらせていただくYUGENギャラリーさんも、“スピリチュアルなテーマを現代アートへ昇華する先鋭アーティスト”として私の個展を企画してくださっているので、大変心強く、現代アート界の変化を肌で感じています。
―確かにコロナ以降は、人の考え方や意識が変わったから、人が求めるものとマッチしてきているのでしょうね。
例えば、自分の魂と深く繋がって望む現実を具現化することって、ふわふわしたファンタジーではなく、直感力と行動力を意識的に連動させたからこそ潜在能力を発揮できた結果なんです。必要な引き寄せや、シンクロニシティへの感度をあげるには、自分の望みをクリアーにして言葉にしたり、紙に書き出したり、公に発信する”アファメーション”を日常的に行うのも有効な手法の一つです。つまり、潜在意識へのアプローチを日々丁寧にやるということなんです。
―なるほど。
「魂の声をきちんと聴くと、現実がそっちに向かっていくよ」って、みなさんと分かちあえたら良いなと願って、私はこうして言葉にしたり、絵を描いたりしています。自分の魂と常日頃対話して、魂がYES!と望むことを、勇気をもって行動して生きていると、ふつふつと生命力が湧いてくるんです。産まれた時から授かっている自分だけの光があること、何歳になっても無限に可能性があること、魂と肉体とチームワークで生命をめいっぱい謳歌して良いこととかに気づいている人はどんどん増えてきて、世界が変わってきていると思います。アートはハートを開くもので、安心して自分の魂の声を聞くきっかけになるし、私がやっていることは時代の流れとシンクロしているんだなと感じています。
―確かにそうですね。ところで、今回の個展用に初めて磁器も制作されたんですよね。
はい。” Dragon Goddess Harmony “をいろんな方法で表現したくて、龍と女神の御神器を創りたいなとひらめいた時に、とてもいいタイミングで陶芸家の飯田浩丈さんと出会ったんです。まさに直感、そして引き寄せでした。私の御神器ビジョンを伝えたら共感してくださり、飯田さんに壺と大皿を造形して頂き、それに私が瑠璃の石を砕いた粉(呉須)と純金で絵付けをして。私達の肉体がいつか大地に還っても、龍と女神の御神器は1000年後も遺ります。遥か未来まで優しいハーモニーが巡り続くことを願って創りました。

7月の個展で初披露される御神器 ( Photo by Yoshiyasu Shimo )
―普段はキャンバスとかフラットなものに描く方が多いですよね。器のような丸みのあるものに描くのは大変でしたか?
すごく大変でした。普段使ってる絵の具とは全然違う、粉を練り状にしたものを使っているので、最初は全然うまく描けなかったんですけど、不思議なもので集中していくと手がスラスラと動くようになって。踊りながら全身で大胆に描くのも大好きですけど、緻密に細かく繊細に描くのも大好きだったことを思い出しました。
―ではアーティストとして、より上を目指して日々努力してることがあれば教えてください。
自分の魂の望みに誠実にアクションするようにしています。勇気も必要ですけど、恐れずにアクションすることが大事。魂に嘘をつかないことですね。
―実際には、メディテーションして自分の魂の望むことを感じるとかですか?
目を閉じてメディテーションすることもありますけど、私にとっては歌ったり踊ったり描くことがメディテーションなんです。そういう時の方が、自分の魂とのコネクションを強く感じるので、そういう時間を大事にしています。思考に囚われすぎないように、ひらめきを大切にしています。

―なるほど。やり方は人それぞれなんですね。
本当に人それぞれだと思います。どんな時も、魂の声を無視しないであげたいです。私はYESにもNOにも丁寧に耳を澄ませて、「なぜそうなの?」と対話を大事にしています。答えはいつも自分の内側にあると思うので、何かをやってみたい!と感じたら、とにかく勇気を出してチャレンジしてみる。最初はうまくいかなかったとしても、「それでもやりたい」と魂が言うなら、簡単に諦めずにチャレンジし続ける。そうすると、いずれ何の為だったのかがわかる、嬉しい体験がギフトされたりする。魂はそうした方が良いことをわかっているんです。私が踊りながら絵を描くことも、そうやって突如始まりました。そうしたら今度は、自分が歌を歌うという、想像もしていなかったような面白い体験がスタートしました。これからは、その歌がどんなことになっていくのか楽しみです。
―では、今後の目標と夢を教えてください。
世界平和のメッセージをアートにのせて、愛と美と悦びいっぱいに世界中に届けること。そして最高だなと感じる舞台で踊り、歌い、描き、日本を代表するアーティストとしてワールドツアーをしたいです。私の放つエネルギーが、出逢うみなさんの心の癒しや勇気になったら、とても幸せに思います。あとは、見た夢に現れた、みんなが内側の魂と安心して対話できる場所“青の神殿”をいつか造りたいです。
―最後に、神田さんにとって成功とは何ですか?
私の魂が悦ぶ大好きなことを表現して、それが人の悦びや幸せになること。 そんな生き方を、気持ちよく安心してずっと続けられることです。

神田さおり 個展「生命讃歌ーSelf Love for World Peaceー」
会期:2024.7.5 (Fri) – 2024.7.15(Mon)
会場:YUGEN Gallery
住所:東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル3F
開館時間:平日:13:00〜19:00 /初日・土日祝:13:00〜20:00 ※最終日のみ17:00終了 ※7/5は招待客のみのVIPプレビュー ※7/6はオープニングセレモニー(無料)
7月6日(土)新月 オープニングセレモニー SAORI KANDA生誕祭
16:00 オープン 17:30 NYCドキュメンタリー初上映 18:00 アートパフォーマンス開演 20:00 クローズ
詳細は以下のHPをチェックしてください。
https://yugen-gallery.com/blogs/exhibitions/saorikanda-seimeisanka